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御神火ライド2018

人気3モデルを安井行生さんが比較洗練を極めたデュラエースDi2油圧ディスク、キャニオン・ディスクロード完成車を徹底解剖

by 安井行生/Yukio YASUI
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 シマノの新型デュラエースディスクや新型アルテグラディスクのデリバリーが始まり、それらを搭載した完成車もデビューし、着実にロードバイクのディスク化が進んでいる2017~2018シーズン。ドイツのバイクブランド「Canyon」(キャニオン)もロードのディスク化に積極的だ。2017年、コンペティティブロードのアルティメット、エアロロードのエアロード、エンデュランスロードのエンデュレースという3モデル全てにディスク版を追加した。ロードバイク機材について多くの知識と意見を持つ自転車ライターの安井行生さんが、「頂上、最高、究極」の名を持つキャニオン・アルティメットCF SLX ディスクの完成車3モデルを徹底解剖。シマノ・デュラエースの機械式&電動式VSスラム・レッドeTap HRDという、ディスクロードコンポの頂上対決となるインプレッションを2回に渡ってお届けする。

シマノ・デュラエースDi2仕様の「アルティメットCF SLXディスク9.0Di2」 Photo: Masami SATOU

◇         ◇

ディスク化が進むロードバイクシーン

 この度、アルティメットシリーズの上位機種、アルティメットCF SLXディスクの完成車3モデルに試乗できることとなった。シマノ・デュラエースDi2仕様の「アルティメットCF SLXディスク9.0Di2」、スラム・レッドeタップHRD仕様の「アルティメットCF SLXディスク9.0SL」、シマノ・デュラエース機械式仕様の「アルティメットCF SLXディスク9.0」という3台である。

 自転車ライターとしては願ってもいない話だ。これを機に、デュラエースDi2、デュラエース機械式、レッドeタップHRDという3種類のディスクコンポの比較をしつつ、最新ディスクロードの印象を書き留めてみようと思う。

シマノ・デュラエース機械式仕様の「アルティメットCF SLXディスク9.0」(サイズは2XS) Photo: Masami SATOU

ディスク化のメリットとデメリット

 本題に入る前に、ロードバイクをディスク化する際のメリットとデメリットを押さえておこう。メリットは、小さな力で制動力を発揮させることができる(=レバーの引きが軽くなる)こと、雨天やダートなどでも制動力が低下しにくいこと、リムをブレーキシューで挟む必要がないためリムの設計自由度が上がり、ホイールの軽量化や空力・剛性向上の可能性が広がること、リムが摩耗しなくなることなど。スルーアクスル化によってホイール固定部の剛性が上がることもメリットかもしれない。

「アルティメットCF SLXディスク9.0Di2」のインプレッションを行った安井行生さん Photo: Masami SATOU

 デメリットは、キャリパーが付くフレーム末端の剛性が上がってしまいやすい(=しなやかさや快適性が低下しやすい)こと、制動時に高温が発生すること、空力面や重量面で不利なこと、ブレーキフィールがリムブレーキとは異なること、メンテナンスの難易度が上がることなどが考えられる。手持ちのリムブレーキ用のパーツやホイールが流用できなくなることもデメリットだろう。

 初期のディスクロードは、規格が乱立したうえ、ロードをディスク化するためのノウハウが蓄積されておらず、走りや作りがイマイチなものも多かった。しかし最近は規格も収斂しつつあり、納得できる出来のモデルも多くなってきた。最新のディスクコンポで組んだキャニオンはどうだろうか。

安井さんは実走で「ラフに操作しても一切もたつくことがなかった」とアルティメットCF SLXディスク9.0Di2の印象を語った Photo: Masami SATOU 

「完璧」に肉薄する、デュラエースDi2油圧ディスク

 まずはデュラエースDi2仕様の「アルティメットCF SLXディスク9.0Di2」に乗る。デュラエースDi2油圧ディスク(R9170)のブラケットはかなりコンパクトで、フィット感はほぼ完璧。機械式とは違ってメカニカルな変速ユニットが必要なく、ブラケットを細く作ることができるためだ。機械式変速&油圧ディスクのR9120ではこうはいかない(後述)。

デュラエースDi2のブラケットは、かなりコンパクトだ Photo: Masami SATOU
安井さんが「フィット感はほぼ完璧」と話したシマノ・デュラエースDi2のブラケット Photo: Masami SATOU
試乗したアルティメットCF SLXディスク9.0Di2は前後ともローター径が160mm Photo: Masami SATOU

 制動性能にも文句は付けられない。試乗車のローター径が前後160mmだったからか、制動力の立ち上がりは強め。しかしコントロール性はよく、パッドがディスクに当たったあとはレバーへの入力と発生する制動力が美しく比例する。セッティングにもよるだろうが、コントロール性はよく整備されたリムブレーキとさほど変わらないだろう。

 制動性能だけではなく、変速フィールも洗練されている。前々作(7970系)や前作(R9070系)より変速スイッチのクリック感が強くなり、「変速している」という実感が強くなった。シンクロシフトなどを含めた変速性能はデュラエースの独壇場。ラフに操作しても一切もたつくことなく、電光石火のスピードで変速してくれる。

 少なくともR9170系デュラエースに関しては、コンポの性能がバイクの足を引っ張ることはない。今までのロードディスク用コンポは明らかに発展途上だったが、徐々に完成に近づいてきた。そんな印象だ。

フレームのバランスも良好

 ではフレームの検分だ。アルティメットCF SLXのディスク仕様は、基本的な設計はリムブレーキ仕様と同一。キャリパーが付くフォークブレードとチェーンステーの形状は当然変更されているが、それだけではなくカーボン繊維のグレードを変えて強度を確保したうえ、それを固めている樹脂を耐熱性の高いものにし、制動時に発生する高熱に対処しているという。

シマノ・デュラエース機械式仕様の「アルティメットCF SLXディスク9.0」との乗り比べも入念に行った Photo: Masami SATOU
アルティメットCF SLXのディスク仕様は32Cのタイヤまで入るクリアランス Photo: Masami SATOU
非常にすっきりとした「アルティメットCF SLXディスク9.0Di2」のシートステー Photo: Masami SATOU

 台座は世界基準になりつつあるフラットマウント×エンド幅142mmのスルーアクスル。フレーム重量はリムブレーキ版に比べて約100g増だが、それでも800gと軽い。プロユースのロードバイクながら32Cタイヤまで許容する多様性もポイントである。

東京・矢野口のCROSS COFFEEで「アルティメットCF SLXディスク9.0」のインプレッションを振り返る Photo: Masami SATOU

 前述したが、ロードバイクをディスク化すると、フォークブレードとチェーンステーの末端の剛性が上がりすぎてしまい、快適性やロードバイクらしいバランスを欠く可能性がある。しかしアルティメットの場合は、リムブレーキ仕様の剛性感・俊敏性が健在だった。同時に試乗できていないうえホイールも違うので正確な比較にはならないが、フレームの動的性能はリムブレーキ版とかなり近いのではないかと思う。

 加速は鋭く、挙動に破綻はなく、快適性も悪くない。リムブレーキ版と比較してわずかに末端の剛性が高いような気もするが、性能差は最小限に抑えられている印象だ。むしろそれが加速時やバイクを左右に振ったときのスタビリティなど、動的性能の向上につながっているかもしれない。

Ultimate CF SLX Disc 9.0 Di2(アルティメットCF SLXディスク9.0Di2)

価格:729,800円(完成車、ドイツ付加価値税不要送料・梱包料別)
サイズ:2XS、XS、S、M、L、XL
カラー:stealth-asphalt grey 、gran tourismo blue
問い合わせ先:キャニオンバイシクルズ https://www.canyon.com/ja/about-us/contact/
スペック
フレーム:Canyon Ultimate CF SLX Disc R049
フォーク:Canyon One One Four SLX Disc F38
変速機:シマノ・デュラエースDi2
ギヤ:シマノ・デュラエース 52-36T、11-28T(11s)
ホイール:DT Swiss PRC 1400 Spline DB 65
重量:7,0 kg (Mサイズ完成車)

◇         ◇
 次回はスラム・レッドeタップディスク仕様の「アルティメットCF SLXディスク9.0SL」、シマノ・デュラエース機械式仕様の「アルティメットCF SLXディスク9.0」、各モデルのホイールとの相性についてインプレッションします。

<スラム・レッドeタップか機械式デュラエースか、お勧めの1台は?>→

福光俊介
インプレッションライダー・安井行生

大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。ひょんなことから自転車ライターへと転身し、現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆する。今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた自転車大好き人間。

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