プロスペックをそのままカスタマーへ「レースで武器」UAE・エミレーツが語る、チャンピオンシステムの高機能ウェア開発に密着

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 オーダーウェアブランドのチャンピオンシステムは、簡単かつスピーディーな手順でオリジナルウェアを発注でき、全国のクラブチームなどから好評を博している。そのクオリティには妥協がなく、サポートを続けるプロチームからフィードバックを経て開発。UCI(国際自転車競技連合)ワールドチーム「UAE・エミレーツ」に密着し、チャンピオンシステムの製品作りに迫った。

チャンピオンシステムの「サマーレーススーツ」や「APEX」シリーズの性能をアピールしたUAE・エミレーツ Photo: Shusaku MATSUO

「とにかくエアロ効果が重要」

高温多湿の環境で汗を流すUAE・エミレーツの選手たち Photo: Shusaku MATSUO

 UAE・エミレーツは10月6日、チャンピオンシステムがヘッドオフィスを構える香港に訪れた。UCI1クラスのワンデーレース「サンフンカイプロパティーズ 香港チャレンジ」に参戦するためだ。元U23(23歳未満)で世界選手権を制したマテイ・モホリッチ(スロベニア)、スプリンターのアンドレア・グアルディーニ(イタリア)、ベン・スイフト(イギリス)、研修生のセド・リージ(イタリア)の強力な布陣で勝利を狙う。

 選手たちはレース前日、トレーニングのために香港郊外へと向かった。普段、滞在するヨーロッパとは違う香港の高温多湿な気候に慣れるため、レース本番を想定したスピードで汗を流す。この時、タイムトライアルや独走が得意なモホリッチは「サマーレーススーツ」を着用していた。

隆起する体の凹凸にも完璧にフィットするチャンピオンシステムの「サマーレーススーツ」 Photo: Shusaku MATSUO

 サマーレーススーツの最大の特長は優れたエアロ性能だ。袖口はまさに肌の一部のごとく、完璧に乗車姿勢をとった体へフィット。空気の流れを乱す段差やシワは見当たらない。薄く、柔軟性があり、パンチ加工された袖口の生地は身体の放熱を助けている。暫くのウォーミングアップを終えたモホリッチは、仲間を置き去りにする鋭い加速でスピードを上げると独走を開始。得意な走りで本番のシミュレーションを重ねていた。

肌との段差がわからないほどフィットする袖口 Photo: Shusaku MATSUO
サイドパネルは通気性を追求 Photo: Shusaku MATSUO

 モホリッチは言う。「いまワールドツアーレベルで求められているのはエアロ効果だ。とにかくチームや選手は空気抵抗を削減したい。瞬間瞬間では僅かな差であっても、長いレースを終えるころにはアドバンテージにもディスアドバンテージにもなる。チャンピオンシステムのサマーレーススーツは高いエアロ効果と、体の動きを阻害しない着心地の良さが気に入ってるよ」と高く自らが着用するウェアを評価した。

深い姿勢で加速するマテイ・モホリッチ Photo: Shusaku MATSUO

 また、スプリンターのグアルディーニも「ロードレースは風や空気抵抗との闘いだ」と強調する。「スプリンターの我々は、ゴール前に70km/hを軽く超えるスピードで勝負を展開する。その際、凄まじい空気の壁に阻まれるが、より良い機材で有利に走ることも可能。優れたウェアもその一つで、間違いなく武器になる」と断言。

 「スプリンターはゴール前で勝つことが仕事だが、勝負はゴール前から始まっている。スプリントが始まるときには、最適なポジションを取らなければならないし、そのポジションに行くための前段階のポジションも重要。位置によって風向きや空気抵抗が変化し続けるから、ホイールやバイク、ウェアには総合的なエアロ効果が求められる。ウェアは面積が大きく、重要度も高いだけにチャンピオンシステムのウェアには満足しているよ」と続けた。

トップチームの経験を製品作りへ

「全てカスタマーのため」とワールドチームとの開発理由を語ったクリス・レイノルズ氏 Photo: Shusaku MATSUO

 なぜUAE・エミレーツのスポンサーとなり、ウェアを供給するのか。マーケティング担当のクリス・レイノルズ氏に聞いた。「UCIワールドチームに供給する最大の理由はレース数とクオリティがトップレベルだからです。チームは1月からシーズンが始まり、10月までとにかくにレース、レース、レースです。クラシックシーズンの寒さや、酷暑の夏季レースなど、経験するクオリティも下位チームと比較になりません。トップチームに供給し、彼らから得たフィードバックで製品開発を進めることで得た品質は、結果的にカスタマーに還元されます。選手が着用しているものと同じものを購入できますからね」と理由を明かした。

アンドレア・グアルディーニは「エアロ効果が優れたウェアは武器になる」と断言 Photo: Shusaku MATSUO
現場でのフィードバックは製品開発に欠かせない Photo: Shusaku MATSUO

 創業者のルイス・シー氏は開発工程を語ってくれた。「まず、体にフィットしたものを作るには完璧なボディスキャンが必要です。スタンディングとライディングポジションでスキャンし、同時に、ウィンドトンネルを使って多くのファブリックをテスト。その後に選手と自転車を使い、ウェアの各パーツをそれぞれのファブリックで作り、テストします。もちろん優れたエアロ効果だけでなく、自然なフィット感も追求する必要もあります」

「さらに強力になる来季の選手と開発を進める」と語るルイス・シー氏 Photo: Shusaku MATSUO

 「このスピードスーツは、今度の東京オリンピックでも使用されるでしょう。マレーシア、ニュージランド、香港のナショナルチームが使用し結果を残してくれるはず。ビブショーツもチームからの要求で改良。よりタイトにフィット感を高める為に、3Dパータンを作成し、ピース毎に型を作って絶妙なカーブを作りました。熱を開放するベンチレーションも実装し、背中のラジオポケットも改良しました」と続けた。このビブショーツはUAEが今年のツールでもテストしており、今は製品化の工程に入っているという。

 スピーディーな開発で選手へ供給し、同品質のプロダクトをカスタマーに用意するサイクルが出来上がっていると明かしたシー氏。ワールドツアーチームをサポートしているのは、アジアではチャンピオンシステムだけで、チームへ供給しているアイテム数は3000着を超える。チームとの契約は開発の為といっても過言ではない。

 チームはさらに戦力を強化すべく、スプリントやクラシックレースで勝利を目指すアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)や、総合成績を狙うファビオ・アルー(イタリア)やダニエル・マーティン(アイルランド)の加入が決まっている。チームから、軽く抵抗の少ないスピードスーツを要求されている。

ファイナルラップに入り、さらにスピードを上げるマテイ・モホリッチ Photo: Shusaku MATSUO
積極的な走りをみせるUAE・エミレーツ Photo: Shusaku MATSUO

 レース当日、UAE・エミレーツは積極的な走りで存在感を示した。モホリッチやスイフトらが常に先頭集団でレースを展開。アタックが連発し、メイングループの人数が減っていく終盤、モホリッチが逃げを2人で決めた。持ち前の独走力で後続を引き離し、さらにゴール1kmで加速したモホリッチは単独でゴールラインを切って優勝。モホリッチがウェアに求めた性能を存分に発揮した勝利となった。

2年連続勝利を飾ったマテイ・モホリッチを祝福するベン・スイフト Photo: Shusaku MATSUO

 彼らUCIワールドチームが手掛けたウェアの数々はチャンピオンシステムのウェブサイトからオーダーが可能。いろんなアイテム、サイズから合計10着集まれば注文でき、4週間以内に納品される。価格には送料やデザイン料も含まれ、5着からのミニマムオーダーや最速1週間のエクスプレスオーダーのオプションもある。春先のシーズンに向け、クラブチームや仲間内でお揃いのジャージをチャンピオンシステムでオーダーしてみてはいかがだろうか。世界トップレベルのクオリティを体感しよう。

「APEXサマーショートスリーブジャージ」インプレッション

 通気性に優れたメッシュ素材を前面と側面に使用しており、気温と湿度が高い香港のライドで威力を発揮した。風が通り抜けるのがよく分かるほどだ。体に対してややタイトなSサイズを選択したが、窮屈に感じるどころか体へと完璧にフィットしたおかげで不快感は皆無だった。着丈が短く、袖丈が長いのも好みだ。乗車時に丈のずり上がりを防止するグリップ面積が広く、余計なシワを作らない。レーシーな造りながら優れたフィット感で快適にライドすることができた。

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