脇本「最高速が80km/hまで向上」ワールドカップ躍進を支えたコーチ陣の新指導 「勢いをつけて来年のアジア、世界戦へ」

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 メダルラッシュに沸いたUCIトラックワールドカップ第3、4戦の日本選手団。短距離の「ケイリン」や、中距離の「団体追抜き(チームパーシュート)」、「オムニアム」で好成績を出し、チーム全体の底上げを実現。以前の体制から何が変わったのか、選手や短距離ヘッドコーチのブノワ・ベトゥ氏(フランス)に話を聞いた。

ワールドカップの連戦で2つの金メダルと銅メダルを獲得した梶原悠未(左)と、ケイリンで優勝を飾った脇本雄太 Photo: Naoi HIRASAWA

脇本は映像解析で「想定より早く結果」

新たな取り組みが実り、ケイリンで金メダルを獲得した脇本雄太 Photo: Shusaku MATSUO

 男子ケイリンで14年ぶりの金メダルを獲得した脇本雄太はトップスピードを向上させるトレーニングを重ねたと明かした。以前は76km/h位だったが、現在では80km/hまで速度を上げることができるようになったという。「映像解析を行っています。全体的にぼやっと見るのではなく、細かく一つ一つ直していくやり方に驚きました。無意識で行う動作や踏み方までチェックすることで自覚が生まれました」と新たな取り組みについても言及。200mのタイムトライアル(ハロン)では10秒2から9秒8に自己ベストを向上させた脇本は「1年でこれだけ上がるとは思ってなかったです。想定より早く結果が出てると思う」と話した。

ベトゥ氏「選手同士での滞在時間増やす」

「伊豆の合宿で選手同士が一緒にいる時間を増やしたことが多くな違い」と語ったブノワ・ベトゥ短距離ヘッドコーチ Photo: Shusaku MATSUO

 2016年からヘッド―コーチについたベトゥ氏は、就任前から現在の取り組みについて変化を聞くと「以前にどんな姿勢で、何をやっていたかは単純に比較できないし、私は知りたくない」と断言。選手同士が高めあうことが重要だと明かした。一方で、SRM(パワーメーター)を使用したトレーニングや、新たなテクノロジーの活用は積極的に取り入れているが、さらに知識の深いスポーツサイエンスの支援も待っているという。

 「ヴェロドロームがある伊豆に選手同士で滞在する時間を増やしたことが大きな違いです。長い時間、一緒にトレーニングを行うことで、毎日選手同士で競争心を持って、お互いの限界を超えることが可能です。結果的に選手はハロンで自己ベストを更新し続けています」と短距離班の躍進の理由を振り返った。

 また、チームパーシュートで男子は銀、女子が銅、梶原悠未が2戦連続のオムニアムで金、橋本英也(日本競輪学校)が銀と世界の強豪を相手に健闘。男子のチームパーシュートでは日本記録を更新する活躍をみせた。

日本記録を更新した男子チームパーシュートのメンバー Photo: Shusaku MATSUO

梶原は母がバイクペーサー

 今年の10月に中距離ヘッドコーチに就任したイアン・メルビン氏(オーストラリア)は「チームが秘めるポテンシャルに期待を感じていました。私や、私指導方法に対して選手たちの反応が良く、ここ10週間で良い発展を遂げてきました」とコメントを発表している。

 梶原は「第2戦のマンチェスターでは踏み遅れが目立ち、外から来た選手が蓋をすることで全力を出し切れませんでしたが、映像を見て一つ一つ改善しました」と振り返り、「第3戦のカナダでは、スクラッチでコーチから何度も自信をもって走るように言われ、強気のレースをすることができました」と明かした。ウエイトや体幹トレーニングに加え、母にペーサーをやってもらい最高速度も上げ、フィジカルの強化も行ったという。

「母とのバイクペーサーで最高速を上げた」という梶原悠未 Photo: Shusaku MATSUO
競輪学校でフィジカルを強化した橋本英也 Photo: Shusaku MATSUO

 また、橋本と男子チームパーシュートのメンバーである一丸尚伍もメルビン氏の指示が結果につながったと口を揃えた。橋本は「競輪学校に入学しパワーが付き、確実にほかの選手に加速で勝ったことも好成績につながった要因の一つですが、イアンからの指示も活きました。彼はオーストラリアやカナダのコーチも歴任した経験があり、知識が豊富です。『序盤から力を出した方がいい』と言われ、その通りに走ったら、言われた通りの展開になりました」と語った。

 一丸は「イアンとはレース前にプランを決めて臨みますが、『レース中は何があるかわからない。自分たちで声を出し合って対応するように』という指示をもらい、考えながら走りました」と話す。練習内容についても「「実は今までやってきたトレーニングとあまり内容は変わっておらず、どちらかというとスキルより、精度を上げることを目指しています。コミュニケーションを非常に重要視しているんです。それは交代のタイミングや、力の出し方など、チーム内でお互いを信頼したり、理解し合わないと結果が出ないことが分かっているからです」と振り返った。

 一丸は「今回は4分を切ることができましたが、まだまだ修正点はありました。今回のワールドカップも来年のアジア選手権、世界選手権への通過点。伸びしろと捉え、さらなる結果を目指したいです」と抱負を語った。

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