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2018年新春インタビュー<1>新城幸也、8度目ツール出場へ「上れる選手に」 ワールドツアー優勝も目指す

by 平澤尚威 / Naoi HIRASAWA
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 日本ロードレース界のエース、新城幸也は2017年、新興のUCIワールドチーム「バーレーン・メリダ」に所属し、ツール・ド・フランス7度目の完走など、シーズンの序盤から終盤まで、けがなく走り抜けた。バーレーン・メリダで2年目を迎える新城は、ツール・ド・フランス出場を目指すとともに「UCIワールドツアーで優勝したい」といまだ達成していない大きな勝利を見据える。昨年末、オフシーズンのトレーニングキャンプに旅立つ前の新城に、2018年シーズンの目標を聞いた。

2018年はバーレーン・メリダでの2シーズン目に挑む新城幸也 Photo: Naoi HIRASAWA

「居心地がいい」バーレーン・メリダ

――2017年は、1月17日開幕のツアー・ダウンアンダー(オーストラリア、UCIワールドツアー)に始まり、10月24日に閉幕したツアー・オブ・広西(中国、UCIワールドツアー)まで、80レースに及ぶ長いシーズンでした。

 落車がなかったのがよかったですね。新チームでスタートして不安もあったけれど、終わってみたら、とてもいいシーズンでした。チームにとっては初めて経験することばかりでバタバタする場面もありましたが、(ヴィンチェンツォ・)ニーバリがグランツールで2度の表彰台(ジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャ)に登っているし、大成功のスタートですね。

――チーム初年度は、いろいろ大変なことがあったんでしょうか?

新チームで過ごしたシーズンを振り返る新城幸也 Photo: Naoi HIRASAWA

 新しいチームだからといって、そこまで変わりません。(組織力のある)チーム スカイが一番いいというものではなくて、完璧なチームは存在しない。居心地がいいかが自分にとっての大事な評価ポイントであって、バーレーン・メリダにいてストレスは感じないので、僕は問題ありません。

 チームによって食事も違って、チーム ヨーロッパカー(2011~15年に在籍)では自分の分は完全に用意されていたけど、バーレーンではシェフは来るけど自分でよそって食べる。ヨーロッパカーでは赤い肉は休みの日しかでなかったけれど、こっちでは疲労したステージだと食べるようにしたり。国によってメニューも違ってくるし、2つの国のやり方を見られてよかった。

 チームにはイタリア人、スペイン人が多いけれど、コミュニケーションをとる言葉は英語です。オフィシャルメールもまず英語で流れてきて、後からイタリア語がくる。自分は監督と話す時はフランス語を話しますが、選手では(ヴァレリオ・)アニョーリくらい。僕のアジアン英語でもなんとかなるので、みんながネイティブじゃないのがありがたいですね。オーストラリア人とかイギリス人の英語って、発音がなに言ってるかわかんないんですよ(笑)。

世界選手権で手応え「まだまだ勝負できる」

――2017年で最もいい走りができたレースは?

 ヨーロッパで走ったなかでは、リエージュ~バストーニュ~リエージュ(ベルギー、UCIワールドツアー)は完璧な仕事ができました。自分で勝負したレースの中では、世界選手権が一番感触がよかった。終盤に落車で足止めをくらったけれど、「まだまだ強くなれるな」「まだまだ勝負できるな」と思いました。

――世界選手権で日本人は新城選手1人で、難しいレースだったと思います。いい走りができた要因はなんだったんでしょうか?

単独での参戦ながら手応えのあるレースを展開した新城幸也 =世界選手権ロードレース男子エリート、2017年9月24日 Photo: Yuzuru SUNADA

 2年間ワールドツアーでやってきたのが大きいですね。普段はチーム別で走っていて、世界選手権は国別ですが、レースが変わっても集団内で走ってる人は同じ。そこでの経験があるので、どの選手が動くかもわかります。ブエルタとか、9月の(グランプリ・シクリスト・ド・)ケベックあたりを見れば、どの選手がくるかわかるんですよ。普段はアシストの選手でも、その時期に走れていると、国別になったら脅威になることもあります。

――年間で多くのレースを走っているわけですが、「身体の強さ」や「回復力」は新城選手の強さとして挙げられるでしょうか?

 ワールドツアーになると、強い人が集まってる。FTPを2%、3%上げるためにどうするか、というトレーニングをやっている選手たち。その域の選手になってくると、みんな身体も回復力も強いです。(自主トレーニングの)タイ合宿とかで一緒に走った日本の選手と比べると、違いはあるかなと思います。日本人でもワンデーで数レースを狙うくらいはできるかもしれないけれど、グランツールは難しいですね。

チームが「欲しい」選手に

――2018年もツールやアルデンヌクラシックが中心になりますか?

 もちろんツールが目標にはなるけれど、ニーバリが出場するかにもよります。アルデンヌクラシックも出たいですね。あとは、ワールドツアーで優勝したい。世界選手権の出場枠が、これまでのような大陸別ではなく(世界ランキング順に)なったので、3枠とか獲得するのは遠い。でもワールドツアーで一つ勝てば、大きなポイントが入るので3枠くらいになる。それが自分のためにもなると思います。

ボルボスタジオ青山でインタビューに応じた新城幸也 =東京・港区 Photo: Naoi HIRASAWA

――世界選手権をかなり重要視しているということでしょうか?

 コースによって世界戦の比重は変わります。ノルウェー(2017年)のコースは、走ってみると話に聞いていたよりも楽な印象でしたが、獲得標高が4000mを超えるオーストリア(2018年)は難しいと思う。大会によって目標が変わってきます。

――2018年のコースを見るとパヴェがあったりして、ニーバリがツールに出る可能性が高そうですね。

 表彰台の可能性があるから、できることなら走りたいですよ。そのためには上れないといけない。チームが「欲しい」という選手になる必要があります。それで選ばれなかったらしょうがない。

「手を抜いていたら、僕は今頃いない」

――ツール以外で目標とするレースは?

 ほかには特にありません。勝てそうな総合系のエースがいるレースかな。エースがいないと、誰にも想いを伝えられない。やっぱり総合の選手がいれば、彼を連れて前に上がる仕事があるから、モチベーションが違います。エースがいると「前に前に前に」という気持ちになるし、パンクがあるといけないから近くで走ります。

――グランツールの出場人数が、1チーム8人になります。

 競争率が上がったなという感じ。1席は大きいです。チームが目標をどの方向に振るかによりますよね。もっとオールラウンダーにならないといけないのか、もっとクライマーになる必要があるのか。8人に入らなくてはいけないので、厳しい戦いが待っています。

ツール・ド・フランス8度目の出場を目指す新城幸也 Photo: Naoi HIRASAWA

 今年のツールは上りが多いので、上れる選手にならないといけないと思っています。アシストなら上れるか、平坦をずっと引けるかという能力が必要になりますけど、平坦を引ける大きい選手と戦うのは大変ですからね。僕は集団内の位置取りは大丈夫なので、チームに貢献するために、上りの力を伸ばしたいです。

――アシストをしているときに「特に勝たせてあげたい」と思うような選手はこれまでにいましたか?

 勝たせてあげたいという気持ちは、誰がエースでも同じです。レースのデータを見れば、誰がどれくらい仕事をしたかわかってしまうので、いつでも全力です。手を抜いていたら、僕は今頃いませんよ。

「新城ロード」はユキヤの意見も反映

――試走もされましたが、岩手県北上市に「きたかみ新城ロード100」ができますね。そのきっかけを教えてください。

 石垣(出身地の沖縄県石垣市)と北上市が友好都市で、北上の市長が熱心なサイクリストで、ツール・ド・ラフランスという大会とかにも参加されている。ヒルクライムレースを7年くらいやっていて、それによってサイクリストが最近増えてきた。新城ロードの前にも、マラソンの有森裕子さんのランニングコースとかもできてるんですよ。

笑顔でインタビューに応える新城幸也 Photo: Naoi HIRASAWA

――コースを走った印象はどうでしたか?

 走ってみると、ほどよく序盤と後半にアップダウンがありました。1月に完成しますけど、雪も降るから走るのは夏になるかな。お寺とかありますし、遺跡も見られるようにコースを設計しています。北上市の周りを通るルートにしているから、気楽にリタイアできるんです。50kmだけ走ってもいいし、途中から合流して、途中で戻ってこようかな、ということもできる。国道は避けるようにルートを見直してもらったり、道案内の看板についてアイデアを出したり、意見を出しました。

――今オフは恒例のタイ合宿は行くんでしょうか?

 タイ合宿にいける時間はとれるようにしたいですね。雨が降ると練習内容変わるし、僕はタイで練習するのが一番いい。タイに行かなきゃはじまらないです。1月はダウンアンダーの出場を予定しているから、その前に行って、そのあとにも行けるかどうか。

今年も初戦はダウンアンダー

――ダウンアンダーは2017年も出ていますが、どういう印象でしたか?

 2回出場していますが、1回目(2014年)は普通のワールドツアーという感じで、1月に国内選手権のあるオーストラリアの選手が元気でした。だけど去年は参加している選手たちが絶好調で、「みんなここまで仕上げてくるんだ」と驚きました。

 観戦するのにオススメのレースですよ。1週間同じところに滞在するので見やすい。コアラが動物園だけじゃなくて、普通に道沿いの木にいたりするんですよ!海も近くて、バカンス気分で楽しめます。

――日本のレースに出る可能性は?

 選手がどのレースに出るかはチームが決めます。チームと主催者のビジネスでもあるので、口を挟めるものではないんです。昨年のツアー・オブ・ジャパン(TOJ)はチームが出場しましたが、自分は休みに入っていました。TOJ、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ、それからツールとなると時間的に難しいので、どこかで休みが必要になります。

――ジャパンカップサイクルロードレースはチームも出場せず、新城選手はツアー・オブ・広西に臨みましたね。

 ジャパンカップに出られないのは残念です。僕は日本ナショナルチームで出るという方法もあるんですけど。でもツアー・オブ・広西もいいレースでした。同じ中国のレースだと環境汚染や食べられるものがなかったりと評判が悪いこともありますが、広西はホテルもいいし海沿いのところで、今年もワールドツアーとして開催されます。

 高速止めたり、信号止めたり、ホテルの前の道路を封鎖してレース関係者用の駐車場にしたり。中国は警察の権力が強くて、市民も言うことを聞かなきゃいけないからやるんです。チームとしては、金銭面の条件がよくて運営がしっかりしているレースがあればそちらを選びます。ワールドツアーなら大きなポイントもとれますし。ジャパンカップも開催時期を考えないといけないかもしれません。

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