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栗村修の“輪”生相談<116>20代男性「笑える走行中の偶然の出来事を教えてください」

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 今日、サイクリングをしていたら前輪で跳ね上げた石が靴で蹴られてフレームとFDとタイヤの間に見事に挟まるという事がありました。幸いにも落車はせず、あまりにも偶然が重なって出来た不運に笑えてきました。

 きっと、膨大な走行経験をお持ちのプロの皆さんならもっと面白い偶然もあるはずと思い質問させて頂きます。栗村さん自身が経験した、もしくは聞いたことのある笑える走行中の偶然の出来事を教えてください。

(20代男性)

 あります。サイクリストは奇跡と日常的に接している人種なんです。いくつか挙げてみましょうか。

 よくある、という表現は変ですが、定番(あくまで自分のなかではありますが…)の偶然ネタはサイクリングロードでの出会いです。誰もいない真冬のサイクリングロードを気持ちよく走っていると、ふと車止めが現れる。そして、そういう時に限って、前から別の自転車がやってくるわけです。車止めで一緒になってしまったら困るな…と思って微妙にスピード調整をするわけですが、相手も同じことを考えているのか、見事に車止めで鉢合わせして詰まって停車してしまう。

 車止めを「犬を連れたおじさん」などに置き換えても、よくあるケースです。あれ、なんなんでしょうか。無意識のうちに引き寄せ合っているのでしょうか。時にはそれまで10分以上誰ともすれ違っていなかったのに、ポツンと設置してある車止めで、自転車2台、歩行者一人、犬一匹が鉢合わせになって、全員立ち往生なんてこともありました。

2010年ミラノ〜サンレモでのひとコマ Photo: Yuzuru SUNADA

 あと、サイクリングロードというと、虫ですね。人体の表面積のうち、ごくわずかな面積を占めているにすぎない目に、なぜあの小さい虫が飛び込んでくるのか。奇跡的な確率だと思うんですが、不思議です。

 パンクの神様も、よく奇跡を起こしてくれます。前輪が跳ね上げた釘がタイヤに垂直に刺さったり、替えのチューブを用意していない日に限って2回連続でパンクしたり。

 たくさんの選手が一斉に走るレース中は、もっとたくさんの奇跡にお目に書かれます。ベルギーを走っていたころの話ですが、前を走る選手がダンシングをしようとお尻を上げた瞬間、ヤグラが緩んでいたのかサドルがぽろっと落ちたんですね。おいおい、と思っている間に彼はシートポストに腰を落とし、見事にホールインワン!プロトンに悲鳴が響き渡りました。シートポストが今みたいにエアロじゃなく、細い円柱だった時代ですので大変だったと思います。

 それと、私が選手時代にツアー・オブ・ジャパンに出場した時、実際にプロトン内で目撃した奇跡があります。二人の選手が絡んで落車発生!と思いきや、転びかけた選手がもう一方の選手のトップチューブ上にいわゆる「女の子座り」で着座し、そのまましばらく「パリのカップル」のようなスタイルで二人乗り状態で走行を続けたのです。

恋人同士ならロマンチックな光景ですが… © iStock.com/davidf

 そのままゴールスプリントになったら順位はいったいどうなるのと思っていたら、やはりバランスをとるのが難しかったらしく、仲良く中央分離帯に激突して離れ離れになってしまいました。

 しかし、こうして振り返ると、ありがたくない奇跡ばかりですね。自転車の神様の、なんと意地悪なことでしょう。まあ、神様はレースでは感動的な奇跡を準備してくれるわけですから、我慢しましょうか。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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