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三つ巴の女子エリートは今井美穂に軍配「親父、勝ったぞ!」小坂光、親子2代で挑み続けた全日本シクロクロスで初勝利

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 12月10日、長野県南牧村で行われた全日本シクロクロス選手権は、男女エリートクラスともに終始拮抗したレースを展開。ライバルと熾烈な接戦を繰り広げ小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロスチーム)、今井美穂(CO2bicycle)が悲願のタイトルを手にした。U23は織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が独走で勝利。男子ジュニアは村上功太郎(松山工業高校)が制した。

レース後、父親と抱き合う小坂光 Photo: Shusaku MATSUO

ギリギリの勝負を制した小坂「集中した結果」

八ヶ岳を望む滝沢牧場が全日本選手権の舞台となった Photo: Shusaku MATSUO

 大会の舞台は「Raphaスーパークロス野辺山」のコースにもなっている滝沢牧場。コースの半分以上は柔らかな土のセクションが続くが、降り積もった雪の影響で朝はシャーベット状の路面と凍結した地面が混在し、国内最高峰の全日本選手権大会らしくテクニカルなコンディションとなった。また、時間とともに雪や氷が溶け、刻一刻とコンディションが変化するため、試走時間ギリギリまでコースの確認をする選手の姿が目立った。

 この日、最後のレースとして開催されたのが男子エリートクラス。最前列には、ディフェンディングチャンピオンとしてレースに臨む沢田時(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)や、昨年のU23(23歳未満)で優勝した横山航太(シマノレーシング)らが顔を揃えた。

有力選手が最前列にコールアップされる Photo: Shusaku MATSUO
第一コーナーに最初に飛び込んだのは前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) Photo: Shusaku MATSUO

 60分間のレースとなる男子エリートは午後2時にスタート。ホールショットを奪ったのは前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)で、竹之内悠(ToyoFrame)や沢田、小坂、丸山厚(BOMA/ROND BICYCLE)らはやや落ち着きを見せながら第1コーナーをクリアした。その後、ファーストラップは小坂、前田、沢田、横山が集団からやや抜け出す形でレースをリードした。

小坂光が積極的に先頭でレースを展開する Photo: Shusaku MATSUO
前田公平と小坂光が抜きつ抜かれつの争いをみせる Photo: Shusaku MATSUO

 前田、小坂が激しく先頭で順位を入れ替える最中、林の区間で小坂がスリップダウン。順位を落としてしまうが、すぐに立ち上がり、横山と前田に追いつき3人で長時間の先頭争いを繰り広げた。男子エリートの周回数がトータルで8周回と伝えられ、レースが中盤へと突入すると、今度は前田が落車。復帰に時間がかかり、その周で15秒ほど2人に差を開けられてしまう。

 一方の後方では、沢田、竹之内が先頭から30秒でデッドヒートを繰り広げ、後方から丸山も追い上げる。さらに、先頭から遅れた前田も加わり、3位争いは激化。沢田がやや先行したが、前田が必死の形相で徐々に迫った。

 先頭では小坂が8秒ほどのリードでファイナルラップへと入った。横山は常に小坂を視界に捉えられるポジションを走るが、なかなか差は詰まらない。ゴール手前のフライオーバーに最初に姿を見せたのは小坂。最終コーナーも無難にクリアし、ゴールエリアへと単独で飛び込んだ。

ファイナルラップで8秒先の小坂光を必死に追う横山航太 Photo: Shusaku MATSUO
落ち着いた走りでレースを制した小坂光 Photo: Shusaku MATSUO

 「ギリギリの勝負でした。最後まで自分に“いける”と言い聞かせて走りました。(表彰台にいる)皆が落車をしたなか、集中した結果だと思う」と振り返り、「親父、勝ったぞ!」とステージ下にいた父に報告。父親の小坂正則(スワコレーシング)もレースに出場し、8位でフィニッシュしていた。かつて国内最強シクロクロスレーサーとして名をはせた父だが、全日本選手権のタイトルだけは取れていなかった。2代で何度も挑戦してきた全日本選手権制覇というタイトルをついに息子が獲得し、親子で勝利を喜んだ。

 2位の横山は「今日できる一番の走りはできた。光さんが強かった。それだけです」とコメント。3位の前田は「来年はこの白いジャージを僕が着たい」と意気込んでいた。

男子エリート表彰。左から2位の横山航太(シマノレーシング)、優勝した小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)、3位に入った前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) Photo: Shusaku MATSUO
スプリント勝負で3位のポジションに入った前田公平 Photo: Shusaku MATSUO

男子エリート結果(60分)
1 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)
2 横山航太(シマノレーシング)
3 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)

マッチスプリントを制し初優勝

女子エリートでホールショットを奪った坂口聖香(S-Familia) Photo: Shusaku MATSUO

 28人がエントリーした女子エリートクラスはコースを全5周する争いとなった。勢いよくスタートを切ったのはディフェンディングチャンピオンの坂口聖香(S-Familia)。1週間前、約1年ぶりのレースを関西シクロクロス第4戦で優勝し、好調さをアピールしていた。2番手には今井が続く。

 1周目から抜け出したのは2人に加え、ロードレース女子でナショナルチャンピオンの與那嶺恵理(エフデジ・ヌーヴェル=アキテーヌ・フチュロスコープ)。抜かれても先頭へとポジションを上げる積極的な走りをみせる。後続は前を走る3人に追いつくことはなく、早くも3人による三つ巴の勝負の様相を呈した。

サイドバイサイドの三つ巴の争いが繰り広げられた Photo: Shusaku MATSUO
積極的に先頭を走った與那嶺恵理(エフデジ・ヌーヴェル=アキテーヌ・フチュロスコープ) Photo: Shusaku MATSUO
3者は最終周回まで拮抗した Photo: Shusaku MATSUO

 ファイナルラップまでもつれ込んだ優勝争いだったが、與那嶺がフライオーバー手前のコーナーで落車し戦線を離脱。勝負の行方は今井、坂口の2人に絞られた。フライオーバーでは両者の肩と肩が接触するほど激しいサイドバイサイドを展開。最終コーナーも今井がやや先行するもほとんど差がない状態でスプリントへと持ち込まれた。

ゴールスプリントを僅差で制した今井美穂(CO2bicycle) Photo: Shusaku MATSUO

 残りの距離が50mを切り、坂口がペースを上げて今井の隣に並びかけるも、ドロップハンドルを持って加速する今井を差し切ることはできなかった。今井は僅差でゴールラインをトップで通過し、自身初の全日本選手権勝利を飾った。

 今井は「2週間前の野辺山で善戦をし、いい感触を持ってレースに臨みました」とコメントした。坂口は「3人で走ることができてとても面白かったです。家族の支えがあり活動をしてこれました」と話し、涙を見せた。3位の與那嶺は「今年で(シクロクロスに出るのは)終わりかと思いましたが、来年も挑戦する理由ができました。本職はプロロードレーサーですが、シクロクロスは続けていきたいと思います」と笑顔を見せた。與那嶺はすぐにオーストラリアへ渡り、ロードレースシーズンをスタート。ツアー・ダウンアンダーへ出場し、そのままシクロクロス世界選手権へ向かうという。

最終局面で落車し、3位となった與那嶺恵理(エフデジ・ヌーヴェル=アキテーヌ・フチュロスコープ) Photo: Shusaku MATSUO
女子エリートの表彰。左から2位の坂口聖香(S-Familia)、優勝した今井美穂(CO2bicycle)、3位の與那嶺恵理(エフデジ・ヌーヴェル=アキテーヌ・フチュロスコープ) Photo: Shusaku MATSUO

女子エリート結果
1 今井美穂(CO2bicycle)
2 坂口聖香(S-Familia)
3 與那嶺恵理(エフデジ・ヌーヴェル=アキテーヌ・フチュロスコープ)

織田聖が圧倒「海外挑戦のスタートラインに」

 U23は織田の独壇場となった。トータル6周となったレースは、竹内遼(ドゥロワー ザ レーシング)、江越海玖也(弱虫ペダルサイクリングチーム)、藤田拓海(SNEL CYCROCLOSSTEAM)、梶鉄輝(伊丹高校)、そして織田らが先行する展開。しかし、織田が単独で抜け出すとみるみる差を広げ、1分近くのリードを奪った。2番手争いは藤田と竹内による接戦が繰り広げられた。

独走で優勝を飾った織田聖 Photo: Shusaku MATSUO

 危なげない走りで5周を走り終えた織田は独走で優勝。また、2位争いは藤田、竹内によって抜きつ抜かれつで最終周回までもつれた。藤田が先行するも、舗装区間の加速で竹内が先頭へ。最終コーナーを先にクリアしたのは竹内で、そのまま2番手でフィニッシュとなった。会場を沸かせた織田は「やっと海外への挑戦のスタートラインに立てた」と表彰台で先を見据えた。

U23で接戦だった2位争い Photo: Shusaku MATSUO
U23男子の表彰。左から2位の竹内遼(ドゥロワー ザ レーシング)、優勝した織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、3位の藤田拓海(SNEL CYCROCLOSSTEAM) Photo: Shusaku MATSUO

男子U23結果(50分)
1 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
2 竹内遼(ドゥロワー ザ レーシング)
3 藤田拓海(SNEL CYCROCLOSSTEAM)

ジュニアは村上功太郎が逆転勝利

 男子ジュニアクラスはディフェンディングチャンピオンの日野泰静(松山城南高校)が落車で遅れる展開に。積田連(Team CHAINRING)の積極的な走りが目立ち、村上功太郎(松山工業高校)が続いた。序盤は前に上ることがなかった村上だったが、終盤に積田を逆転。築いたリードを守り、レースを制した。

レース序盤の遅れを挽回し、終盤から追い上げて優勝した村上功太郎(松山工業高校) Photo: Shusaku MATSUO
左から2位の積田連(Team CHAINRING)、優勝した村上功太郎(松山工業高校)、3位に入った日野泰静(松山城南高校) Photo: Shusaku MATSUO

男子ジュニア結果(40分)
1 村上功太郎(松山工業高校)
2 積田連(Team CHAINRING)
3 日野泰静(松山城南高校)

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