スマートフォン版はこちら

盛りだくさんのKTC×Cyclistコラボイベント福田萌子さんと巡った秋の京都と工具工場 自転車への思い語るトークショーにも感動

by 平澤尚威 / Naoi HIRASAWA
  • 一覧

 自然溢れる川沿いや丘陵でのライドを楽しみ、安全を追求する工具の世界に触れられる、国内トップの工具メーカー「京都機械工具(KTC)」と「Cyclist」のコラボレーションイベント。第3回を迎えた今年は「福田萌子さんと走る秋の京都&工場見学」と題し、初めて工場に足を踏み入れ、世界中で愛用される工具が製造される現場を見学。Cyclistでおなじみのモデル、福田萌子さんもゲストとしてサイクリングを楽しみ、トークショーでは落車の恐怖を乗り越えた道のりや自転車への愛情をたっぷり語った。

福田萌子さんと一緒に木津川沿いのサイクリングロードを走る参加者たち Photo: Naoi HIRASAWA

自己紹介もして和やかにライド

木津川沿いのサイクリングロードを気持ちよくライド Photo: Naoi HIRASAWA

 秋の京都を駆け巡るサイクリングと、工場などの施設見学、そしてトークショーと幅広く楽しめる総合イベント。京都府久御山町のKTCをスタート・ゴール地点にした45kmのサイクリングコースには、木津川沿いのサイクリングロードや、国内最大のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」(TOJ)京都ステージの一部がコースに盛り込まれた。また、イベントが開催された11月23日は祝日ながら工場が稼動していたため、初めての見学が可能となった。

 「KTCの工場が見られるなら」という参加者や、「萌子さんに会って一緒に走りたい」「近くに住んでいるけれど、TOJのコースは走ったことがなかった」と参加を決めた人など、さまざまなサイクリストがKTC本社に集まった。

ライド中の注意事項を話すシルベストサイクルの山崎敏正統括店長 Photo: Naoi HIRASAWA
3グループに分かれてKTC本社を出発 Photo: Naoi HIRASAWA

 イベントはサイクリングからスタート。大阪・京都に4店舗を展開する「シルベストサイクル」の山崎敏正統括店長ら3人がライドリーダーとして先導し、脚力に合わせた3グループに分かれて走り出した。少し肌寒い気温だったが、青空も見える気持ちのいい秋晴れ。サイクリングロードに出ると、遠くまで見渡せる気持ちのいい空間が広がり、京都をぐるりと囲む山々を四方に望むことができた。

山崎敏正統括店長を先頭に走るグループ Photo: Ikki YONEYAMA
往路のサイクリングロードを走る萌子さん Photo: Ikki YONEYAMA

 サイクリングロードを少し走ると、山崎統括店長らリーダーの指示で各グループごとに一旦停止。参加者同士で自己紹介の時間が設けられた。どこから来たのか、日頃から自転車をどう楽しんでいるのかを語り合った。自転車歴が短い人も10年以上続けている人もいて、「上りは苦手」「いつもゆっくりサイクリングしています」などさまざま。お互いを知ることで安心感が生まれたようで、各グループともにリラックスした表情でまた走りだした。

グループごとに自己紹介の時間が設けられた Photo: Ikki YONEYAMA
自己紹介でグループの空気を和ませるシルベストサイクルの渕上記理子店長 Photo: Naoi HIRASAWA

 スタートしてから約17kmで休憩地点へ。京都ステージでパレード走行のスタート地点になっている「普賢寺ふれあいの駅」に到着した。地元の新鮮な野菜をはじめ、四季の花などが並ぶ。炊き込みごはんといった食事もあり、参加者たちもよもぎ団子などでエネルギー補給。お茶の産地だけあって、ふれあいの駅で振る舞ってくれるお茶もうれしい。

野菜の直売などをしている「普賢寺ふれあいの駅」に多くのロードバイクが並ぶ Photo: Naoi HIRASAWA
途中の休憩ポイント「普賢寺ふれあいの駅」で、地元産のよもぎ団子でエネルギーを補給する福田萌子さん Photo: Yoshiyuki KOZUKE

京都ステージのKOMへ

秋の風景が広がる丘陵地を駆ける参加者たち Photo: Naoi HIRASAWA

 萌子さんは休憩をとるごとに別グループに加わり参加者全員と一緒にライド。ふれあいの駅から先は緩やかな上りが続き、途中からTOJの周回コースに合流して厳しい上りになってくる。グループ走行が基本だが、上りに入るとそれぞれのペースで走ることが許され、参加者たちはKOM(頂上)を目指して自らに挑戦していた。萌子さんは集団の先頭に出るなど“上り好き”の本領を発揮。上りきった後も、後方の参加者たちの様子を見に下っていくなど余裕を見せた。

KOMで記念撮影する先頭のAグループ Photo: Ikki YONEYAMA
笑顔でKOMに到達した萌子さん。思ったより短い上りだったようで拍子抜け? Photo: Naoi HIRASAWA
福田萌子さんと一緒にKOMへたどり着いたCグループ Photo: Naoi HIRASAWA
下りのテクニックを伝授するシルベストサイクルの箕面店の三枝秀徳店長 Photo: Naoi HIRASAWA

 下りに入ると、ライドリーダーが下りのテクニックを伝授。「ハンドルを押して体重はうしろにかけて、できれば下ハンドルをもつ」「顔はまっすぐ、目線を前に」「曲がる時は外脚荷重」といった安全に下るためのポイントを紹介した。アドバイスを受けた参加者たちは、ふれあいの駅での2度目の休憩に向け、気持ちよさそうに下っていった。

 復路のサイクリングロードでは向かい風が強くなり、まるで上り坂のような強い抵抗を受けながら、参加者たちは懸命にペダルをこいだ。サイクリングロードを離れ工場地帯へ戻るとようやく風も落ち着き、KTC本社で笑顔のフィニッシュ。45kmながら走りごたえ充分のライドとなった。

向かい風のなかを一列で走る Photo: Naoi HIRASAWA
サイクリングロード沿いに整備された休憩スペースで記念撮影 Photo: Naoi HIRASAWA
約45kmのコースを完走し、KTC本社へ帰り着いた福田萌子さん(前から2番目)と参加者たち Photo: Yoshiyuki KOZUKE

力強く形づくられ、繊細に磨き上げられる工具

KTCの工具製造工場を見学する参加社たち Photo: Yoshiyuki KOZUKE

 午後は工場などの施設見学が行われた。KTC本社の敷地内には、製造工場のほか、同社の工具を展示しその歴史を知ることができる「ものづくり技術館」、職人による工具の修理やユーザーサポートのための施設「ものづくり技術館 匠工房」が設けられている。参加者は2グループに分かれて、KTCの西村喜代一製造部長らに案内されながら熱間鍛造、冷間鍛造、摩擦溶接、焼き入れ、研磨、メッキ処理などの工程を見学した。

3000点の工具が展示された「KTCものづくり技術館」 Photo: Naoi HIRASAWA
職人が工具を修理する様子を見られる「KTCものづくり技術館 匠工房」 Photo: Naoi HIRASAWA

 「熱間鍛造」は熱した金属素材に大型の機械で力を加え、工具の形状を作り出す。大きな音とともに金属を打つ、迫力ある工程だ。「焼き入れ」は工具に“命を吹き込む”作業とされている。「おせんべいを割ると表面は尖っていますよね。工具も固くするだけだと割れた時に危ない。ぬれせんべいのような、粘りを与えて安全な工具にする工程です」などと例えて重要性を説明した。

鋼材が工具の形に作るエアスタンプハンマーなどを見学 Photo: Naoi HIRASAWA
工具の製造工程をていねいに説明するKTCの西村喜代一製造部長 Photo: Yoshiyuki KOZUKE
不良サンプルを見つめる萌子さん Photo: Naoi HIRASAWA

 「バレル研磨ライン」では、工具の表面を磨いていく過程を見ることができた。バレルのなかに工具と研磨石が投入され、まずは大きな石で粗磨きし、徐々に石が小さくなっていき美しく仕上げられる。また、少しでもキズがある工具は、出荷されないよう厳重に管理されている。不良サンプルを手にした萌子さんは真剣に工具を見つめたが「どこが悪いのかわからない」と、高い品質が求められる工具の奥深さを実感した様子だった。

バレルに工具と石が入った「研磨」の工程を見つめる萌子さん Photo: Naoi HIRASAWA

トラウマ克服「やっと帰ってきた」

衣装を替えて登場した萌子さんに盛大な拍手 Photo: Naoi HIRASAWA

 トークショーではスポーティーなウェアから一転、ドレスにお気に入りだというアディダスのニットジャケットを羽織って登場し、盛大な拍手で迎えられた。萌子さんは2015年のホノルルセンチュリーライドに参加中、落車で大きなけがを負った経験があり、2016年に出場しようとした「サイクリング屋久島」では落車の恐怖から自転車に乗れず、ランニングをしていた。その姿を見たCyclistは、再び自転車に乗ってもらえるようになって欲しいと「福田萌子の『もう一度、南の島を走りたい』という連載をスタートした。この連載を振り返る形でトークショーは進行した。

 萌子さんは「もう二度と走れないかもしれない。自転車が大好きだけど乗れない、という苦しい時期があった」と当時の思いを涙ながらに振り返った。一方で、連載は2017年2月のサイクリング屋久島が目標。まだ恐怖心が消えていないなかでも「2月には自転車に乗れるようになっているはず!」と4月のトライアスロンにエントリーするなど、先々の目標まで作って自分を奮い立たせていたという。あまりのポジティブさに、参加者たちからは驚きの声が上がっていた。

落車へのトラウマを抱えていた時期を涙ながらに振り返った萌子さん Photo: Naoi HIRASAWA

 連載では恐怖を克服するために、基礎的な練習をすることからスタート。元プロ・ロードレーサーでアテネ五輪代表の田代恭崇さんと対談し、ビギナー向けのレッスンもしてもらった。最初に教わったのは、この日もシルベストの方々がアドバイスしていた「下りでハンドルを押してブレーキをかける」ということだった。手だけでなく身体をつかってブレーキをかける動作に「自転車ってこういう風に乗るんだ」という驚きがあったという。

トークショーに聞き入る参加者たち Photo: Naoi HIRASAWA

 これをきっかけに練習を重ね、荒川で練習ライドをした時に「また自転車に乗れるんだ」と感激したという萌子さん。「道に出るのは恐かったので、1日30分、自宅の駐車場でクルクルと回るだけの練習をしていました」と自分なりの努力も重ねていた。

 そして、サイクリング屋久島では見事に完走。島一周の100kmはアップダウンが多いが、「山はやっぱり物足りなかった」と上り好きならではの感想もはさみつつ、「本当に楽しかった」と目標を達成した1日を振り返った。ゴール後には、帰りを待っていた友人たちの姿を見て涙した萌子さん。「みんなと一緒にスポーツを楽しめるようになった。やっと帰ってきた」という思いだったと涙の理由を語った。

ロードバイクに乗る前はママチャリにもほとんど乗ったことがなかったと語る萌子さん Photo: Naoi HIRASAWA

 今年の9月にはホノルルセンチュリーライドに出場して、「トラウマをもっている自分に負けたくなかった」という強い気持ちをもって完走。見事に克服してみせた。今後やりたいことを聞くと「ハーフアイアンマンに挑戦します」と宣言。スイム1.9km、バイク90km、ラン21kmという過酷なレースであることを説明すると、会場からは「えぇ…!」というどよめきも。「なんでも楽しく」がモットーの萌子さんだが、「できることを続けていても仕方ない」と高い目標も持ち続けている。

 また、「どこで自転車を買ったらいいかわからない」「ビンディングが恐い」と思っている女性たちが、これから自転車を始めやすいように、引っ張っていける存在になりたいという思いも語った。

工具では「スタッビドライバ」をプレゼント Photo: Naoi HIRASAWA

 最後はじゃんけん大会が開かれ、工具では「ラチェットスタッビドライバ」、ほかにも「ボルトマグ」「京あぶらとり紙」などさまざまなKTCオリジナルグッズがプレゼントされた。また、じゃんけんの景品のほかにも「唐スパ模様風呂敷」などのKTCのグッズ、味の素「アミノバイタル」シリーズのサプリメントなど、参加者全員に豪華な土産が用意された。

各参加者に用意されたおみやげ Photo: Naoi HIRASAWA
「京あぶらとり紙」をゲット Photo: Naoi HIRASAWA
最後は「ものづくり技術館」の展示スペースで記念撮影 Photo: Naoi HIRASAWA

ライドも工場見学も大満足

 大阪府から参加の西川桂子さん、米村由紀子さんは、萌子さんがフラットペダルで悠々と上っていく姿や、苦難を乗り越えて自転車を楽しんでいることに感銘を受けていた。萌子さんがゲストで出ると知って参加したという西川さんは「きれいだしかわいいし、性格もいい」と萌子さんを絶賛。「女性がゲストだと安心して参加できる」と喜んでいた。

工具好きでKTCの「デジラチェ」を愛用している河野勝人さん Photo: Naoi HIRASAWA

 京都市の河野勝人さんは、KTCのデジタルトルクレンチ「デジラチェ」を愛用しているという工具好き。「“美女より工具”という気持ちで参加しました」と話し、安心感のある工具が生まれる工程を見学して、大満足だったという。

 KTC本社の近くに住んでいる藤村豪昭さんは第1回以来2度目の参加。「イベント全体を通して楽しかった。TOJのコースを走れたし、特別に工場を見せてもらえて勉強にもなった」と語っていた。

 宇治市の辻浦正志さんは、参加者最年長の73歳。「どうぞお先に」という気持ちから、自作したシルバーマークをバックポケットにつけ、日頃からゆっくりとサイクリングを楽しんでいるという。しかし走行距離は月1000kmにおよび、この日もCグループに入り、年齢を感じさせないフォームで45kmのコースを快走した。「どれも楽しかったが、工場を見せてもらえたのがよかった。昔そういう仕事もしていたので」と笑顔で語り、盛りだくさんの一日を満喫した様子だった。

参加者最年長73歳の辻浦正志さん Photo: Naoi HIRASAWA
辻浦正志さんがつけていたシルバーマーク Photo: Naoi HIRASAWA

関連記事

この記事のタグ

KTC イベント 福田萌子

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

新春初夢プレゼント2018

スペシャル

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載