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御神火ライド2018

女子・三つ巴の接戦はルーネルズに軍配 シクロクロス強国チェコのヘケレが独走、気を吐いた竹之内 「スーパークロス野辺山」1日目詳報

by 小俣雄風太 / Yufta OMATA
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 長野県南牧村の滝沢牧場で11月25日、「Raphaスーパークロス野辺山」の第1日目が開催され、午後のエリート男子エミール・ヘケレ(チェコ・Stevens Bikes Emilio Sports)が終盤から独走で優勝。女子は初参戦のサマンサ・ルーネルズ(アメリカ・Squid BIKES)が三つ巴の戦いを制しました。コメントと詳報で振り返ります。

←<速報>RAPHAスーパークロス野辺山、男子ヘケレ、女子ルーネルズが優勝

エリート男子表彰台 1位エミール・ヘケレ(チェコ・Stevens Bikes Emilio Sports)、2位クリストファー・ジョンジェワード(オーストラリア・Port Adelaide CC)、3位竹之内悠(Toyo Frame) Photo: Kei Tsuji / nobeyamacyclocross.cc

快晴のドライコンディション

 「勝つ自信は無いよ。ポディウムが現実的なところだと思う」レース前にこう語ったエミール・ヘケレ(チェコ・Stevens Bikes Emilio Sports)がRaphaスーパークロス野辺山初日のUCIエリートレースを席巻した。

 2日間に渡ってUCIレースが開催される「野辺山シクロクロス」の初日。泥レースとして知られる同大会だが、今年は快晴のもとドライコンディション。数百人が走った午前の一般カテゴリーが終わる頃には、名物の泥セクションは踏み固められて轍となり、起伏の少なさと相まってサーキットはハイスピードコースへと変貌を遂げた。

115名が出走した男子エリート Photo: Kei Tsuji / nobeyamacyclocross.cc

各国チャンピオン含む115人が出走

 国内最大規模のUCIレースとして、エリート男子には115名が出場した。オーストラリアチャンピオンジャージを着るクリストファー・ジョンジェワード(オーストラリア・Port Adelaide CC)や昨年大会の2日目を制したギャリー・ミルバーン(オーストラリア・SPEEDVAGEN × MAAP)、シクロクロス強国チェコのベテラン選手エミール・ヘケレ(チェコ・Stevens Bikes Emilio Sports)ら海外選手のほか、現日本チャンピオンの沢田時(ブリヂストンアンカー)、昨年大会の初日を制した小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)、ヨーロッパ転戦から帰国した竹之内悠(Toyo Frame)ら国内トップ選手が顔を揃えた。

男子エリートの第1コーナー。2番手につけるクラークがバランスを崩す Photo: Yufta OMATA

 スタートして直後の第1コーナーをジョンジェワードが先頭で通過したその真後ろ、2番手につけていたアンソニー・クラーク(アメリカ・Suquid Bikes)がコーナーを曲がりきれずバランスを崩し、小坂や竹之内、ミルバーンら前列でスタートした選手がストップを余儀なくされる波乱の幕開け。猛烈な勢いで加速するジョンジェワードが一気に単独先頭に躍り出る。

序盤に単独先頭を走ったクリストファー・ジョンジェワード(オーストラリア・Port Adelaide CC) Photo: Kei Tsuji / nobeyamacyclocross.cc

序盤はジョンジェワードを追う展開

 後続からはヘケレが単独で追走体制に入り、沢田、クラーク、竹之内、ミルバーン、前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)、ケヴィン・ブラッドフォード(SET/Coaching.com)の6名が3位グループを形成する。3周目にヘケレがジョンジェワードに追いつくと、3位グループとの差を33秒まで稼ぎ出す。

クリストファー・ジョンジェワード(オーストラリア・Port Adelaide CC)にエミール・ヘケレ(チェコ・Stevens Bikes Emilio Sports)が合流し先頭は2名に Photo: Kei Tsuji / nobeyamacyclocross.cc
3位グループを形成するアンソニー・クラーク(アメリカ・Squid Bikes)、竹之内悠(Toyo Frame)、沢田時(ブリヂストンアンカー)、ギャリー・ミルバーン(オーストラリア・SPEEDVAGEN × MAAP) Photo: Kei Tsuji / nobeyamacyclocross.cc

 オーストラリアのシクロクロスシーズンは9月にほぼ終了するため、「コンディションは80%くらい」とレース前に語っていたジョンジェワードは5周目にヘケレの刻むペースから脱落。重いギアを力強く踏むヘケレが独走態勢に入りゴールまで飛び込んだ。ワールドカップの開催国でもあり、伝統的に世界チャンピオンや強豪選手を輩出しているシクロクロス強国チェコのベテラン選手として、今年の1月に行われた世界選手権でトップと同一周回の22位に入った実力者がそのポテンシャルを発揮した。

3位争いは竹之内とクラーク

3位を争う竹之内悠(Toyo Frame)とアンソニー・クラーク(アメリカ・Squid  Photo: Kei Tsuji / nobeyamacyclocross.cc

 6名による3位争いは周を重ねるごとに選手の数を減らしていき、竹之内とクラークによるテール・トゥ・ノーズの一騎打ちとなった。「後ろで彼がチャンスをうかがっている感じはあったんですが、僕の方が技術があったので、差を広げるところで広げて、彼の体力を消耗させていく走りをしました」と後に語る竹之内が巧みなレース運びを見せ、3秒差をつけて表彰台を射止めた。

初日の男子エリートを制したエミール・ヘケレ(チェコ・Stevens Bikes Emilio Sports) Photo: Kei Tsuji / nobeyamacyclocross.cc

 強力な海外勢が参戦する日本のレースで、気を吐いた竹之内。その内面には、海外を主戦場とする彼ならではの意識があった。「調子がいいということはなかったですが、日本人として日本のレースで表彰台に立たなアカンということで、アンソニーとの駆け引きもありましたが、しっかり獲るところは獲らせてもらいました。いつもヨーロッパのレースでアウェーな中で戦っているので、こうして今日みたいなホームで走れるレースでは日本人の強さを外国人に見せつけたいという気持ちが強かったですね」

 2017年のシクロクロス東京のように、海外選手が参戦するレースで対等に渡り合う強さと経験が竹之内にはある。ヘケレとジョンジェワードの鮮烈な走りに息を飲んだ観衆は、日本人選手の魅せる走りにも大きな歓声で祝福を送った。

UCI男子エリート第1日目結果
1.エミール・ヘケレ(チェコ・Stevens Bikes Emilio Sports)1:02:43
2.クリストファー・ジョンジェワード(オーストラリア・Port Adelaide CC)1:03:14
3.竹之内悠(Toyo Frame)1:03:34
4.アンソニー・クラーク(アメリカ・Suquid Bikes)1:03:37
5.小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)1:04:02
6.沢田時(ブリヂストンアンカー)1:03:51
7.ギャリー・ミルバーン(オーストラリア・SPEEDVAGEN × MAAP)1:03:53
8.ケヴィン・ブラッドフォード(アメリカ・SET/Coaching.com)1:04:07
9.前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)1:04:54
10.ポール・レーデンバック(オーストラリア・FLANDERS JBLOOD RACING)1:05:29
※タイムはUCI公式リザルトより抜粋

女子は序盤からルーネルズ、今井、マクドーナウが先頭

 エリート男子のレースに先立って行われたエリート女子は出場34名と国内シクロクロスUCI女子レースとしては最大規模となった。スタートで第1コーナー先着のホールショットを取ったのはエミリー・カチョレック(アメリカ・Squid BIKES)。「ホールショット職人」の今井美穂(CO2 BICYCLE)は2番手通過となった。ほどなくして先頭は今井、カチョレックのチームメイトであるルーネルズ、そしてエイプリル・マクドーナウ(FLANDERS JBLOOD RACING)の3名のグループに絞られる。

UCI女子エリート、エミリー・カチョレック(アメリカ・Squid BIKES)がホールショット Photo: Kei Tsuji / nobeyamacyclocross.cc

 後方ではロード日本チャンピオンの與那嶺恵理(FDJ Nouvelle Aquitaine Futuroscope)とカチョレックがブリッジしようと単独で追走を試みるも、ハイペースを刻む3名に追いつかない。3名はフライオーバー(立体交差)の階段を全周回1段飛ばしで駆け上がるフィジカルの強さを見せながら崩れずに進んだが、3周目の泥区間で今井とマクドーナウが接触。マクドーナウはストップを余儀なくされる。

4位パックの與那嶺恵理(FDJ Nouvelle Aquitaine Futuroscope) Photo: Kei Tsuji / nobeyamacyclocross.cc
先頭グループの3名は階段を一段飛ばしで駆け上がる Photo: Kei Tsuji / nobeyamacyclocross.cc

最終周の上りで加速

 しかし1周をかけてマクドーナウは先頭2名に復帰し、一進一退の三つ巴の争いのまま最終周回に。舗装路の上りでルーネルズが加速すると今井とマクドーナウが脱落。そしてコース終盤のバギーコースでマクドーナウが先行し今井との差を開く。そのままのオーダーで最終ストレートになだれ込んでゴール。それぞれが数秒差という、僅差でのゴールとなった。

優勝したサマンサ・ルーネルズ(アメリカ・Squid BIKES) Photo: Kei Tsuji / nobeyamacyclocross.cc
ゴール後倒れこみながらも健闘をたたえ合う今井とマクドーナウ Photo: Yufta OMATA

 3位に入った今井は野辺山との相性がよく、昨年大会は初日2位、2日目3位に入っている。この日も海外勢と互して戦い、2週間後に同会場で開催される全日本選手権での活躍が期待される。

女子表彰台 1位サマンサ・ルーネルズ(アメリカ・Squid BIKES)、2位.エイプリル・マクドーナウ(FLANDERS JBLOOD RACING)、3位今井美穂(CO2 BICYCLE) Photo: Kei Tsuji / nobeyamacyclocross.cc

UCI女子エリート第1日目結果
1.サマンサ・ルーネルズ(アメリカ・Squid BIKES)0:44:05
2.エイプリル・マクドーナウ(FLANDERS JBLOOD RACING)0:44:05
3.今井美穂(CO2 BICYCLE)0:44:07
4.エミリー・カチョレック(アメリカ・Squid BIKES)0:44:31
5.與那嶺恵理(FDJ Nouvelle Aquitaine Futuroscope)0:44:43
6.唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)0:45:55
7.宮内佐季子(ClubLa.sistaOffroadTeam)0:46:05
8.西山みゆき(Toyo Frame Field Model)0:46:07
9.松本璃奈(Mashun Racing)0:47:32
10.フィオナ・モリス(オーストラリア・SPEEDVAGEN X MAAP)0:47:52

福光俊介
小俣雄風太(Yufta)

Raphaプレスを経てライター /エディター。ロードサイクリングとシクロクロスレース愛好家。自身もシクロクロスではC1を走る傍ら、年に2回開催される前橋シクロクロスレースではMCを務める。

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