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御神火ライド2018

輪行不要のらくちん自転車旅ウェルカム!サイクリスト サイクルトレインが誘う「Station Ride in 南房総」

by 大星直輝/ Naoki OHOSHI
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 JR東日本千葉支社の企画による自転車イベント「Station Ride in 南房総」が10月28日に開催された。2013年に登場した自転車をたたまずに乗車できる団体専用臨時列車「サイクルトレイン」。今年で5年目を迎え、募集開始後数日で乗車定員に達するほどの人気イベントに成長した。来年1月には「BOSO BICYCLE BASE」(房総バイシクルベース)という名で専用列車のデビューを控えるなど、ますます盛り上がりを見せるサイクルトレインとイベントを取材した。

館山駅に到着。館山駅長と記念撮影 Photo: Naoki OHOSHI

確立された自転車搬送

 大会1週間前に台風22号が発生した今年。本大会も開催が危ぶまれるなか、安全対策に最大限の配慮をして、昨年同様の80km、100km、130km(現地集合のみ)のコースでの実施となった。

サイクルトレイン使用時にしかつかない、レアなエンブレム Photo: Naoki OHOSHI
ホームから自転車を載せる参加者 Photo: Naoki OHOSHI
両国駅、普段は使用される事のない団体専用3番ホームにて。イベントの歓迎をしてくれる駅員さん Photo: Naoki OHOSHI

 このイベントの魅力の一つでもあるサイクルトレインは、その名の通り輪行バッグ等を利用せず、自転車を折り畳まないでそのまま載せる事ができること。普段通勤列車として使用している209系車両の、片側の座面をビニールシートで養生。持ち込んだ自転車のリアホイールをスタンドで支え、ベルクロ等のストラップを使用してハンドルバーと吊り輪を結ぶという方法だ。

209系を改装した車内。来年から専用車両が導入されれば、この姿は見納めとなる Photo: Naoki OHOSHI
行きつけのショップにて知り合った自転車仲間で参加の5人。房総の海岸線を走るのが楽しみ Photo: Naoki OHOSHI

 何度もテストを重ね編み出したという方法だけあって、過去4年間一度もトラブルなく運用してきたサイクルトレイン。これが完成形だと思われていたが、JR東日本千葉支社は、より快適で利用しやすい列車として「B.B.BASE」という新型車両の投入を発表。名称は「BOSO BICYCLE BASE(房総バイシクルベース)」の略で、「房総(BOSO)の各地を、バイシクル(自転車、BICYCLE)で、駆け巡るためのベース(BASE=基地)」をコンセプトとしている。同じく209系車両を用いているが、通勤等と併用しない完全なサイクルトレイン専用列車として2018年1月より週末を中心に運行を予定している。

台湾から参加していたグループ。サイクルトレインはどうですかと聞くと、台湾では自転車はそのまま普通に載せられるそうだ Photo: Naoki OHOSHI
100kmコースに参加の「Team GLOBIS」のメンバー3人。房総半島はを走るのは初めてで、コースの良さとエイドステーションの食べ物が楽しみだそう Photo: Naoki OHOSHI

いっぱい走ってグルメを堪能

 募集数日で定員の90人が埋まってしまったという人気のサイクルトレインは、午前6時50分に両国駅を出発、7時22分に千葉駅に停車した後は9時07分館山駅着までノンストップで運行。朝から一日中雨予報であったにもかかわらず、曇り空でもってくれていた。

館山駅にて下車する参加者 Photo: Naoki OHOSHI

 館山駅に到着後、スタート地点の北条海岸に自走で移動した後、オープニングセレモニーが行われた。

開会式にて、佐藤館山駅長のあいさつ。「北条海岸の鏡のような海や、各エイドステーションのおもてなしを楽しんでください」 Photo: Naoki OHOSHI

 純白の制服で登場した佐藤館山駅長は「北条海岸の鏡のような海や、各エイドステーションのおもてなしを楽しんでください」とあいさつ。ゲストライダーの安田大サーカス・団長安田さんは「南房総はトライアスロンのトレーニングでよく来る所。安全に走ってください」と激励した。

 100kmコースの参加者よりグループごとにスタート。このイベントは各自バラバラに走るのではなく、10人前後のグループにわかれ、各グループのサポートライダーと共にトレインで走る。スピードは「特急」「急行」「各駅」など、列車にちなんだ速さのグループに事前の自己申告で分けられた。

「100km特急組」の参加者 Photo: Naoki OHOSHI
南房総市と館山市の境界にヤシの木が立ち並ぶ Photo: Naoki OHOSHI

 スタート後、館山湾を左手に見て、内房なぎさラインを北上したのち右折、南房総を西から東に横断する形で、車輪を進める。15km程進むと道の駅三芳村鄙の里のエイドステーションでみかんカステラが提供された。この先100kmコースの参加者は道の駅富楽里までの約10kmをピストン(往復)すべく直進し、ゲストライダーの団長含む80kmコースの参加者は、県道296号を太平洋に向け東へ進んだ。秋深まる田園風景の中を走ると、牛舎の脇を良く通る。

道の駅三芳村鄙の里のエイドステーションでみかんカステラを食べる参加者 Photo: Naoki OHOSHI
トンネルへ向け上る参加者。トンネルがいくつかあるため、ライトは必須だ Photo: Naoki OHOSHI
全長26mのシロナガスクジラの骨格標本の前で記念撮影 Photo: Naoki OHOSHI

 南房総は1728年に白牛(乳牛)3頭が輸入されて以来、日本の酪農発祥の地ともいわれ、現在も牧場が点在している。下三原交差点で太平洋に出たら、国道128号の外房黒潮ラインを北上し、シロナガスクジラの骨格標本がそびえる道の駅「和田浦WA・O!」エイドステーションに到着。ここでは千葉名産の落花生を練り込んだ落花生アイスと、新商品のくじら肉まんが提供された。

小振りだがしっかりした味付けのくじら肉まん Photo: Naoki OHOSHI
神奈川県から参加の前田夫妻。「落花生の味も香りも濃厚で、房総ならではという感じがしておいしいです」 Photo: Naoki OHOSHI

 神奈川県から参加の前田夫妻は「落花生の味も香りも濃厚で、房総ならではという感じがしておいしい。くじら肉まんは小振りだけど、こちらも濃厚でしっかりした味わい。買って帰りたいくらい」と好評だった。

視界が開ける海沿いサイクリング

ゲストライダーの団長安田さん。まだまだ笑顔の余裕 Photo: Naoki OHOSHI

 元来た道を南に戻り房総フラワーラインに入れば、あとは時計回りに房総半島の南端の海岸線を走るのみ。団長安田さんはここからが普段のトレーニングコースらしいが、「いつもトライアスロン仲間にしごかれてますよ。今まで景は色を見る余裕がなかったので、今日は楽しみたいです」とイベントならではの雰囲気で楽しんでいた。

海岸沿いを南下する80kmグループ Photo: Naoki OHOSHI
いくつもある小さな漁港を過ぎていく Photo: Naoki OHOSHI

 昨年は凄まじい向かい風で踏んでも踏んでも全く進まず、あわやサイクルトレインの出発時刻に間に合わないかもと、参加者を苦しめたフラワーラインも、この日はまさかの追い風。軽快なスピードでスイスイと進む。朝からの雨予報も、ここまでなんとか曇りのままこらえ続け、ずぶ濡れ覚悟だっただけに嬉しい誤算だ。

海岸沿いに続く岩畳 Photo: Naoki OHOSHI
荒々しい景観の海岸沿いが続いていく Photo: Naoki OHOSHI
道の駅ちくら潮風王国エイドステーションにて提供されたひじきコロッケバーガー。ボリュームたっぷり Photo: Naoki OHOSHI

 小さな漁港をいくつも通り抜け、道の駅ちくら潮風王国エイドステーションで、ひじきコロッケバーガーが昼食として提供された。ボリュームのあるふわふわのパンにシャキシャキのキャベツ、大きめのコロッケが挟まった食べ応えのある1品でゴールまで走る元気が湧いてくる。

海を眺めながらひじきコロッケバーガーを食べる参加者 Photo: Naoki OHOSHI
神奈川から参加の杉山さん家族。台風で子供も心配なのでDNSしたが、観光がてら車でまわっているとの事 Photo: Naoki OHOSHI

完走後の感想は「美味しかった」

房総半島最南端に経つ野島埼灯台 Photo: Naoki OHOSHI

 岩畳が特徴的な海岸を見ながら走ると、野島埼灯台が見えてくる。灯台の麓にある白浜野崎公園エイドステーションで、地元で栽培したキンセンカの花を白あんに練り込んだという、優しい味わいの饅頭をいただいていると、ついに心配していた雨が降り出してきた。ここからゴールの館山まで残り30kmを切ったくらい。雨がひどくならないうちにと、早々に出発した。

野島埼灯台の入口にある、白浜野島埼公園の碑の前で Photo: Naoki OHOSHI
地元で栽培したキンセンカの花を白あんに練り込んだという、優しい味わいの饅頭 Photo: Naoki OHOSHI
海岸沿いを走る現地組の小学生。後ろから応援の声がかかっていた Photo: Naoki OHOSHI

 ポピーの里館山ファミリーパークでは、他に見た事のない原色のマゼンタ色をした、ドラゴンフルーツジュースをいただいた。見た目とは裏腹に、天然の優しい甘みでビタミンも豊富だ。海岸線を北にぐるっと回り込み、いくつかのアップダウンを繰り返した後、朝にスタートした北条海岸に帰ってきた。ゴール後に館山駅前の老舗・中村屋のクリームパンと、館山の安房神社の参道にお店を構える吉田米屋の玄米甘酒などを頂いて、サイクルトレイン出発までの時間を共に走った仲間とすごした。

ドラゴンフルーツジュースを飲みながら休憩する参加者 Photo: Naoki OHOSHI
館山駅前の中村屋のクリームパン。昔ながらのシンプルな味わい Photo: Naoki OHOSHI
雨の中続々とゴールする参加者 Photo: Naoki OHOSHI

 現地出発組で100kmコースを走ったという日向涼子さんがゴールし、サイクルトレイン組の安田団長とのトークショーが行なわれた。日向さんは「普段は坂ばかり走っているので、今回のコースは平坦が多く緊張していました。でもサポートがしっかりしていたおかげで安心して走れました。くじら肉まんを楽しみにしていたので、実物を見た時に嬉しくて叫んでしまいました(笑)。お昼のひじきコロッケバーガーもあんなに大きなサイズだったので嬉しかった。また是非参加したい」とコメントしていた。

ゴール後の日向涼子さん、団長安田さんらのトークショー Photo: Naoki OHOSHI

 団長安田さんは「普段はここ北条海岸で泳いでから和田浦までを自転車で3−4時間で往復して、ランをするというトライアスロンのトレーニングをしています。今回初めてゆっくり走れたので、こんなに景色のいい所だと知る事ができました。落花生アイスが食べてみると本物のピーナッツを食べているようでおいしかった。来年はもう少し天気がよければ、海もっときれいに見えるかもしれないですね」と語った。

玄米甘酒がおいしいと笑顔の参加者 Photo: Naoki OHOSHI
イベント中に知り合った参加者同士で、ゴール後にリラックス Photo: Naoki OHOSHI

「B.B.BASE」の登場で魅力を増す房総エリア

車内で飲み会をする元気な参加者 Photo: Naoki OHOSHI

 参加者を乗せたサイクルトレインは、館山駅を17時54分に出発。両国駅までは約2時間半の旅で、朝早かった事もあり疲れて寝てしまう参加者が多かった、そんな中「これが電車で帰る楽しみです!」と飲み会を始める元気なグループも。両国駅に着くとやはり雨は降っていたが、台風の影響の風はなく、多くの参加者はまた自走で帰路についた。

両国駅3番ホームに戻ってきたサイクルトレイン Photo: Naoki OHOSHI

 千葉県はこれまでもスポーツと地域観光を結ぶ「スポーツツーリズム」を推進しており、JR東日本もサイクルトレインやイベントを積極的に開催し、後押しを続けてきた。最近ではそれらの活動が認知され、自治体との連携も非常にスムーズだという。

 サイクルトレインも始動から5年を迎え、さらに来年には専用列車「B.B.BASE」が運行されようとしている。しかも運行は毎週末の予定との事。豊かな景観とアクセスの良さ、一年中走る事ができる温暖な気候で、房総半島はサイクリストにとって益々魅力的なエリアとなっていくだろう。

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