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ツール・ド・おきなわチャンピオンレース詳報シーズン終盤に絶好調の佐野淳哉が快勝 残り500mで会心のアタック

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 南国・沖縄の風は35歳のベテランに味方した。UCI公認の国際クラスである「ツール・ド・おきなわ」チャンピオンレースは、20人を超えるメンバーでの優勝争いとなり、最後は残り500mからのアタックに成功した佐野淳哉(マトリックスパワータグ)が優勝。スプリント勝負に賭けた選手たちをかわし、この大会では初めてとなる頂点に立った。

男子チャンピオンレース表彰式。(左から)コースヨルン・カーズ、佐野淳哉、畑中勇介 Photo: Naoi HIRASAWA

6選手が最大17分のリード

 今年で29回目を迎えた大会。そのメインとなるチャンピオンレースは、UCI(国際自転車競技連合)公認の国際レースとして行われる。クラスはUCIアジアツアー1.2クラス。UCIのシステム上、年の変わりを前に2018年シーズンのポイント対象レースとされている。出場チームにとっては、来シーズンの弾みとなるような結果が求められる。

スタートラインに並んだ選手たち Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 このレースの目玉は、日本国内で開催されるレースの中でも随一の長丁場であること。210kmのレース距離や、シーズンオフ目前に開催されることも関係し、選手たちのタフさも試されることになる。コースは沖縄本島北部を8の字を描くように設定され、前半は海沿いの平坦路を進むが、以降は山岳ポイント2回を含むアップダウンに富んだレイアウトがフィニッシュまで続く。

 午前6時45分に号砲が鳴らされ、全17チーム・80選手が一斉にスタート。その直後にニコラス・マリーニ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)がアタックし飛び出すと、少し時間をおいて5選手が合流。そのまま6人による逃げグループが形成された。

スタート直後に形成された6人の逃げグループ。最大で17分のリードを築いた Photo: Syunsuke FUKUMITSU
国内外のチームが選手を送りこんだ6人の逃げ集団 Photo: Naoi HIRASAWA

 レースを先行したのは、マリーニのほか、クリストファー・シュバイツァー(ドイツ、チーム サワーランド)、マリウス・ペトラス(ルーマニア、ルーマニアナショナルチーム)、岸崇仁(那須ブラーゼン)、重満丈(鹿屋体育大学)、普久原奨(チームおきなわ)。重満と普久原は地元沖縄出身の選手。メイン集団は6人を見送るとサイクリングペースに変化。ゆったりとしたスピードになったこともあり、逃げグループとのタイム差があっという間に広がっていく。その差は最大で17分にまで及んだ。

普久川ダムへの上りを進むメイン集団 Photo: Naoi HIRASAWA

26人が先頭集団を形成

1回目の山岳ポイントを通過し、再び北上する逃げグループ Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 レース距離が長いことや、北からの強い向かい風が吹いていたこともあり、無理をせず進んだメイン集団。だが、82km地点に設けられる1回目の山岳ポイントを目指して内陸に進行方向を向けたことをきっかけにペースアップ。有力チームがアシストを前方へと送り込み、代わる代わる集団牽引を行う。その間、逃げグループは1回目の山岳ポイントへ。1km手前でアタックした普久原が先頭を守り、1位で通過した。

 再び針路を北へ向けてからも、その差は縮まる一方。沖縄本島最北部を通過し、南向きになると追い風によるアシストもあり、メイン集団は一気にペースアップ。134km地点に設けられる2回目の山岳ポイントが近づくにつれて、集団は逃げグループを射程圏内にとらえた。

2度目の山岳ポイントを目指す普久原奨(中央)ら逃げ集団 Photo: Naoi HIRASAWA

 集団から追われる逃げグループでは、山岳区間に入りマリーニが脱落。残る5人が山岳ポイントをかけての争いへとシフト。連続での1位通過を狙う普久原が先頭を引く時間が長くなる。その狙い通り、山岳ポイントは普久原が先頭で通過し、今大会の山岳賞を確定させた。

 レースはフィニッシュを目指し、沖縄本島東部の海沿いを南下。メイン集団では有力選手が次々と前方へと顔をのぞかせる。グングンとペースが上がり、逃げる選手たちの姿が見えるところまでやってきた。そして、残り50km地点を過ぎたタイミングで逃げグループを吸収。集団ではアタックが散発し、数人が飛び出しては後ろへ戻る状況が繰り返される。

キナンサイクリングチームを先頭に上るメイン集団 Photo: Naoi HIRASAWA

 大きな動きが起きたのは、残り35kmを切ったあたり。冨尾大地(鹿屋体育大学)のアタックを機に、8人が集団からアタックし合流。数人の入れ替わりがあったものの、9人が先行を開始。後続のグループに最大25秒差をつける。

 しかし、有力選手の多くが後ろに残っていたこともあり、いくつかのアップダウンを経て追走メンバーが9人に合流。先頭集団は26人となった。

ライバルのスキを突く決定的アタック

 先頭集団ではたびたびアタックは起こるものの、いずれも勝負を決めるほどの勢いはなく、一団のままフィニッシュへと近づいてゆく。例年の勝負どころとなる、残り20kmを切ってからの羽地ダム近くの登坂区間でも数人が前方をうかがったが、その後の下りで再び1つに戻る。

 やがて優勝争いはスプリントを見据え、各選手がお見合いする形へと変化。このレースがキャリア最後となる西薗良太擁するブリヂストンアンカーサイクリングチームが4人を残して集団を引っ張るシーンや、同様に複数メンバーを残すチームUKYOが前を固める場面など見られたほか、前回覇者の増田成幸や雨澤毅明が好調の宇都宮ブリッツェン勢の姿も見られるが、完全に主導権を握るチームは現れない。そして、形成乱れぬままラスト3km、2km、1kmと過ぎ、20人を超える選手たちでのスプリント勝負になるかに思われた。

ラインを右サイドにとり抜け出した佐野淳哉 Photo: Naoi HIRASAWA

 その予想を覆す動きは残り500mで決まった。一瞬のスキをついて佐野がアタック。これにはどの選手も即座の反応ができず、数秒の開きが発生。スプリント勝負に賭けていた選手たちが次々と加速するが、勢いに乗った佐野になかなか迫ることができない。残り数十メートルとなったところで佐野が後ろを確認し、優勝を確信。派手なガッツポーズを決めてフィニッシュラインをトップ通過した。

会心の勝利を喜ぶ佐野淳哉 Photo: Naoi HIRASAWA

 10月28日に行われた今年のJプロツアー最終戦、JBCF 経済産業大臣旗で逃げ切り勝利するなど、シーズン終盤に入り絶好調で来ていた佐野だが、波に乗り今大会も制した。レース中盤以降のハードなアップダウンも淡々とこなし、ここぞというタイミングで飛び出した走りも奏功したといえそうだ。2014年にはロード日本チャンピオンになるなど、数々の実績を残してきているがこの大会を制するのは初めて。また新たなタイトルを手に入れた。

赤白帽と体操服姿でキビキビとした足取りで登壇した佐野淳哉 Photo: Naoi HIRASAWA

 結果的に、2位から15位までが佐野と同タイム。2位にはコースヨルン・カーズ(オランダ、WTC de アムステル)、3位には畑中勇介(チームUKYO)が入り、それぞれ表彰台を確保した。

 初優勝を飾った佐野はレース後、

 数々の好勝負が繰り広げられた2017年の国内大会だが、主要レースはこれをもって終了。選手たちはしばし休養し、来シーズンに向けた準備へと移ってゆく。ベテランから若手まで、幅広い層が活躍した今シーズンだが、来季もまた多くの選手たちが台頭する1年となることに期待したい。

■ツール・ド・おきなわチャンピオンレース結果(210km)
1 佐野淳哉(マトリックスパワータグ) 5時間28分48秒
2 コースヨルン・カーズ(オランダ、WTC de アムステル) +0秒
3 畑中勇介(チームUKYO) +0秒
4 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +0秒
5 吉岡直哉(那須ブラーゼン) +0秒
6 プーチョン・シャウドムシン(タイ、タイナショナルチーム) +0秒
7 中島康晴(キナンサイクリングチーム) +0秒
8 小森亮平(愛三工業レーシングチーム) +0秒
9 平塚吉光(チームUKYO) +0秒
10 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ) +0秒

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