ツアー・オブ・ルワンダ レポート<2>勢いを増すアフリカの自転車競技界

  • 一覧

<1>悲惨なジェノサイドから復興へ 自転車レースも国際化
今年、ツアー・オブ・ルワンダに参加したのは12チーム、66選手。11月18日、初日プロローグのタイムトライアルを終えると、いよいよ本格的なロードレースが始まった。

くねくねとした林の中を抜けるくねくねとした林の中を抜ける

 「千の丘の国」と呼ばれるルワンダ。その名前のとおり、次から次へと丘が連なる地形が特徴で、道路は小さな街と街とを穏やか曲線で繋いでいるようなイメージだ。つまり、自転車レースのコースとして捉えるなら、平地や直線路は一切なく、つねに曲がりくねった上り坂か下り坂という特殊なレイアウトになる。

 クイーンステージである第4ステージは走行距離152キロに対し、獲得標高は3829メートル。クラス2のステージレースとしては、かなり過酷なコースと言えるだろう。全ステージをとおして一度も集団スプリントにならず、毎回、少人数の選手が逃げ切って優勝者が決まるというレース展開だったことからも、このステージレースの特殊さがうかがえる。

千の丘の国と呼ばれるルワンダ。レースでもいくつもの丘を越えた千の丘の国と呼ばれるルワンダ。レースでもいくつもの丘を越えた
小さな街を駆け抜ける選手たち小さな街を駆け抜ける選手たち

 第1ステージを制したのは、大会最年少、弱冠18歳のクダス・メルハウィ(エリトリア、UCIコンチネンタルセンター)。リーダージャージも獲得し、その後、一度奪われてしまうののの、第6ステージで奪還。フレッシュな“アフリカの新星”の活躍に大会が沸いた。

 彼の所属チームである「UCIコンチネンタルセンター」とは、南アフリカにあるUCIのトレーニング施設。2005年に設立され、アフリカ人選手の育成やアフリカでの自転車競技発展をめざし、これまでに200人以上もの選手を輩出している。とくにメルハウィのような若い選手の発掘や育成には力を入れていて、今回は18歳から23歳の選手だけでチームを組んで参戦した。

 結果的に第7ステージで、メルハウィは優勝候補である南アフリカチームの攻撃に耐えきれず、大きく遅れてリーダージャージを失ってしまった。しかし第2、第6ステージでは、チームメイトで22歳のアマニュエル・メロン(エリトリア)がステージ優勝を挙げ、同チームは合計ステージ3勝という大活躍をみせた。

新人賞を獲得した18歳の最年少選手、クダス・メルハウィ(エリトリア、UCIコンチネンタルセンター)新人賞を獲得した18歳の最年少選手、クダス・メルハウィ(エリトリア、UCIコンチネンタルセンター)
アフリカ人選手による逃げグループアフリカ人選手による逃げグループ

 大会を制したのは、南アフリカチームのダレン・リル。これまでトップクラスのチームで活躍した経歴もあるが、今回がプロロード選手としてのラストレースだった。「アップダウンが得意」と話す彼は、ステージ2勝と総合優勝を獲得し、笑顔でプロ選手としてのキャリアを締めくくった。

 ちなみに総合2位に続いたのも南アフリカのディラン・ジルドルストーン。南アフリカチームは終盤になると、圧倒的なチーム力でレースの主導権を握り、見事なワンツーフィニッシュを飾った。

レースの主導権を握った南アフリカチームレースの主導権を握った南アフリカチーム
第3ステージを制し、リーダージャージを獲得したダレン・リル(南アフリカ)第3ステージを制し、リーダージャージを獲得したダレン・リル(南アフリカ)
第6ステージ、レース風景第6ステージ、レース風景
総合優勝を挙げたダレン・リル(南アフリカ)総合優勝を挙げたダレン・リル(南アフリカ)

 南アフリカは、アフリカ大陸における自転車競技の先進国。南アフリカ籍の「MTN・キュベカ」が2013シーズンに、アフリカのチームとして初めて、UCI(国際自転車競技連合)のセカンドディビジョンであるプロ・コンチネンタルチームに昇格することが、いま大きな注目を集めている。

 同チームは来季、イタリアのルッカを拠点におき、アフリカ籍チームとして初めてのグランツール出場を目指すという。競技のグローバル化が進み、あっという間に北米やオーストラリアのチームがツール・ド・フランスに出場した今、アフリカ勢の夢が実現する日もそう遠くはないだろう。

総合優勝と総合2位、そしてチーム優勝を獲得し圧倒的な強さを誇った南アフリカチーム総合優勝と総合2位、そしてチーム優勝を獲得し圧倒的な強さを誇った南アフリカチーム
表彰式が始まるのを待つポディウムガール表彰式が始まるのを待つポディウムガール

ルワンダチャンピオンは国民的ヒーロー

ルワンダ人選手最高位の表彰を受けるエイドリアン・ニヨンシュチ(チームルワンダ・アカゲラ)ルワンダ人選手最高位の表彰を受けるエイドリアン・ニヨンシュチ(チームルワンダ・アカゲラ)

 自国ルワンダ人選手の最高位は、エイドリアン・ニヨンシュチ(チームルワンダ・アカゲラ)の9位。エイドリアンは現ルワンダチャンピオンで、今年のロンドン五輪では、MTBクロスカントリー種目にルワンダ人として初めて出場した。ルワンダ国民の80%が彼のことを知っているという国民的ヒーローで、彼が表彰台に立つと大きな大きな歓声が沸き起こる。

 だが、多くの国民に支持される背景には、彼の絶対的な強さだけでなく、じつは悲しい過去も関係している。

<3>悲しみを背負い、夢に向かってひた走るエイドリアン

中川裕之田中苑子(たなか そのこ)
1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。2008年よりフリーランスカメラマンに転向し、
現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかなサイクルスポーツを追っかけ中。

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

田中苑子

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載