自転車×旅×オーストラリア Vol2 観光編クイーンズランド州の自転車ルール紹介、B2GCライド後はコアラの抱っこなど楽しみいっぱい
オーストラリアの東部、クイーンズランド州の州都であるブリスベンから世界屈指のビーチリゾート・ゴールドコーストまでの100kmを走り抜けるファンライドイベント「Brisbane to Gold Coast Cycle Challenge(ブリスベン to ゴールドコースト サイクルチャレンジ=B2GC)」。前編に続けて、後編では、オーストラリア・クイーンズランド州の自転車事情と観光の魅力をお届けします。B2GCに向けて「自分の自転車をもっていきたい!そしてせっかくだからB2GC前後もライドしたい!」という方に「オーストラリア・クイーンズランド州で自転車に乗る前に知っておきたいルール」をまとめてみました。現地の自転車事情に詳しいグローバルサイクリングライターの目黒誠子さんのレポートでお届けします。(オーストラリアは州によってルールが異なります。州ごとにご確認ください)
←<①に続く>ブリスベンからゴールドコーストまで、5000人とサイクリング
①ヘルメットを必ず着用すること

自転車に乗る際にはヘルメットの着用が法律で義務付けられています。着用するヘルメットもオーストラリア標準規格(AS/NZS 2063)に沿った製品でなければなりません。割れていないこと、擦り傷がないこと。違反者は100豪ドルの罰金が課せられます。(けっこう厳しいです)
②前後にはライトと反射板をつけること
自転車の前後に、下記の基準を満たしたライトと反射板を装着しましょう。
*前方…200メートル先からも認識できる明るさのホワイトライト
*後方…200メートル先からも認識できる明るさのレッドライト
*反射板…光の反射にて50メートル先からも認識できる反射板
③自転車が走行できる道路は?
日本と同じく、自転車は法律上「車両」の一つとなります。一般道のほか、バスレーン、トランジットレーン、自転車レーンを走行することができます。また、路肩や車線の上も走行することができます。クイーンズランド州の場合、自転車は歩道も走行することができますが、歩行者を優先すること、「自転車禁止」の標識のある歩道では必ず自転車から下りましょう。
④他の車両から、1.5m以上離れて走りましょう
⑤道路の左側走行(日本と同じです)
⑥並走は2台まで
自転車の並走は2台までとなります。またその2台が横幅1.5メートル以内に収まるように並走しましょう。
⑦歩行者が最優先
いかなる場合でも、歩行者が最優先となります。必ず歩行者に道を譲ってください。日本と同じですが、歩行者の動きは予測できません。自転車の存在がわからない歩行者は、不意に自転車の進行方向を塞いでしまうこともあります。前を歩いている歩行者へ接近する際には、必ずベルを鳴らして自転車が近づいていることをお知らせしましょう。道を譲ってくれた際には、「Thank you.(ありがとう)」も忘れずに。
⑧ベルを鳴らして歩行者へ知らせる
歩行者の動きは予測できないもの。自転車の存在を知らない歩行者は、不意に自転車の進行方向を塞いでしまうこともあります。前を歩いている歩行者へ接近する際には、ベルを鳴らして自転車の存在をお知らせしましょう。道を譲ってくれた際には、「Thank you.(ありがとう)」も忘れずに。
⑨走行中はイヤホン禁止
自転車の飛行機輪行
オーストラリア・ブリスベンまでは、成田空港からカンタス航空の直行便で約9時間。自転車用の箱や輪行バッグに入ったもののみとなります。今回利用したカンタス航空の場合、自転車の梱包の寸法は以下の通りです。
カンタス航空の自転車梱包の規定
長さ:140cm(55インチ)
幅:30cm(12インチ)
高さ:80cm(32インチ)
自転車はお預かりする前に、以下の状態で梱包されている必要があります。
●タイヤの空気を抜いた状態、●ペダルが取り外された状態、●ハンドルがフレームに並行して固定されている状態、●自転車の全長が140cm(55インチ)を超える場合、●前輪を取り外し、箱の中で後輪の横に固定されている状態。

私は自分で梱包するのが不安だったので、自転車屋さんのプロにお願いし、しっかり梱包をしていただきました。また、現地でレンタル自転車を借りたい、と言う方も、レンタル可能です。ブリスベン市内にある「Bike Obsession」では、ビアンキの自転車を多く扱っていました。毎週ショップ主催のライドも実施しているので、それに参加してみるのもよさそうです。
カンガルーポイント
ブリスベンに到着したら、ブリスベン市内を一望できる「カンガルーポイント」へ。ブリスベンという都市は「リバーシティ」と言われますが、ブリスベン川に取り囲まれていてリゾート感たっぷりなのに、対岸にはシティの高層ビルが立ち並んでいます。
都会とリゾートが見事にマッチしている都市なのですね。カンガルーポイントの西側にはブリスベン・シティ、東側にはニュー・ファーム。先端が細くとがったカンガルーの尻尾のような形なのと、元々この地域は植物がうっそうと生い茂るエリアで、よくカンガルーを見つけることができたためにこの名前が付けられたそうです。まずはここへ訪れ、ブリスベンを感じてみるのがおすすめです。
パワーハウス/ウォーターフロントレストラン「ワットWATT」
1920年代に建てられ、1971年までは「発電所」として使用されていた赤煉瓦造りのビルがリノベーション。アートとカルチャーの発信地としておしゃれで感度の高い話題のスポットへ変身した必見の場所です。
むき出しのコンクリートの壁には、躍動感あふれるアートが描かれていたり、既存の施設が素敵にリノベーションされています。ブリスベン川に面するカフェテラスその名も「ワットWATT」では、絵のようにきれいなブリスベン川を眺めながら、国際色豊かな新鮮な創作料理をいただけます。私が選んだのはサーモン。良質なたんぱく質をたっぷり採りました。川に面したテラスのオブジェの文字は「FLOOD」、数十年に一度、大洪水になるブルスベン川をを皮肉っているそうです。
ローンパインコアラサンクチュアリ
ブリスベン市内からわずか12kmのローンパインコアラサンクチュアリは、世界初で世界最大、ギネスブックにも認定されているコアラの聖域です。130頭以上のコアラが飼育されているほか、カンガルーやエミュ、オーストラリア・タスマニア特有の「タスマニアンデビル」や、まさにここ、オーストラリア東部にしか生息しない生きた化石と言われる「カモノハシ」も。
カンガルーに餌をあげ戯れる貴重な体験のほか、もちろん、コアラの抱っこも。私も人生始めて、コアラと対面して感激しました。コアラは、1日最大で30分、そして4日はあけるようにしっかり保護されているそうです。私たちにとっては抱っこできるのはうれしいですが、保護も大事ですね。美しく自然な環境でオーストラリアの野生動物の多種多様に出会えるここは、まさにサンクチュアリです。
パーフェクトポーション
日本でもアロマスプレーが大人気の「パーフェクトポーション」は、今もなお多くの自然が残るオーストラリア・ブリスベン発祥のオーガニックエッセンシャルオイルやナチュラルスキンケアブランド。

アロマの香りがふわっと漂う店内には、スプレーやエッセンシャルオイルがずらり。自然素材を使った虫除けスプレー「outdoor body spray」は、オーストラリアでも一番人気とのこと。ブリスベン市内にあるお店では、アロマオイルを使ったマッサージ(30分60オーストラリアドル)や、アロマテラピーのスキンケア(30分60オーストラリアドル)が受けられるので、B2GCのあとにぜひ体験したかった。。今回は、それが叶わなかったので普段のライド用に、「アクティブ」のスプレーやオイルを購入しました。

肩・腰・関節、筋肉のマッサージに適したアルニカオイルと、クローブ、ショウガ、コショウなどがブレンドされています。珍しいものとしては、五大元素をイメージしたエッセンシャルオイルがありました。世界を形作るとされた5つの元素、地水火風空の香りをまとえば、日々の小さなストレスも忘れ、感謝の気持ちがわいてきます。
ヌーサ・チョコレート・ファクトリー
「カカオと砂糖だけ」のチョコレートにこだわり、ブリスベンを拠点に展開しているのが「ヌーサ・チョコレート・ファクトリー」。チョコレート工場と自社ショップを持って生産から販売まで行なうチョコレート・ファクトリーです。

ここの最大の特徴は、安価だけれどカカオバター本来の風味が損なわれる「パーム油」を使っていないこと。チョコレート本来の味が味わえるかな?と試したのがブラウニー。その濃厚でしっとりしていること!カカオの風味がしっかり香って口に広がります。コクがあって甘すぎず。今まで食べたブラウニーの中でも一番の味でした。100m間隔で2店舗あり、ひとつは量り売り、もうひとつは詰め合わせをパッケージして販売しています。ブリスベンのお土産に最適です。
UGG(アグ)シープスキンブーツ

日本で「UGG(アグ)」と言って思い出すのは、大人気のブランド「UGG Australia」。でもこの「UGG」とはブランド名ではなく、シープスキンブーツのことを指します。つまり、シープスキンブーツならすべて、UGG。人気の「UGG Australia」は、オーストラリアの会社ではなく、アメリカの会社が商標を取ってブランド化したもので、製品もMade in China。それを否定するつもりはないのですが、せっかくオーストラリアに来たのだから、オーストラリアのものがほしいなぁと、Made in AustraliaのUGGを買いました。ショートブーツとグローブを。やはり暖かい!これから冬に向かう日本。ライドの前後に最適です。
「ヤタラパイ」
ブリスベンとゴールドコーストの中間点にあるYatala(ヤタラ)にある「ヤタラパイ」。地元の人はもちろん、観光客にも大人気のお店です。その歴史は古く、100年以上前にさかのぼり、当時からゴールドコーストへ行き来する人たちの間でかなり有名なパイショップだったとのこと。何と一日2000個以上のパイを売りあげるほど大繁盛しているそうです。オージーのソウルフード?!と言えば、ミートパイ。パイ生地にグレービーソースで味付けした小さな角切り肉やミンチ肉が、サクサクしたパイ生地で包まれています。具はほかにも、チキンやシーフード、ローストした野菜など様々で、ファミリーサイズから1人用まで、ずらりと並んだショーケースは圧巻です。
ここにはオーストラリア独特のデザート、「Pavlovaパブロバ」も。メレンゲの上に生クリームやフルーツを盛ったお菓子で、お祝いの時や人が集まった時などによく出されるケーキ。ロシアのバレエダンサー「Anna Pavlova」が世界ツアーでオーストラリアとニュージーランドを訪れ、その時に彼女をモチーフにして作られたのが名前の由来だそうです。これはB2GC完走のご褒美によいかも。
バーレーブリューイングカンパニー(バーレー醸造所)
B2GCの100㎞を走ったあとは、ビール!ということで向かったのは、「バーレー醸造所」。近年おいしいクラフトビールを作る醸造所も増えていますが、ゴールドコーストでも大人気なのがこちら。
店内に入ると、奥には巨大なシルバーのビールタンク。高く開放的な天井にDJが音楽を回しまるでクラブのよう。製造方法や過程などを案内してくれるガイドツアーもあり、知識が増えればますますおいしく楽しめそうです。メニュー表にはここで作られたビールの名前がずらりと並び、テイスティングセットで6種類を味比べできます。ちょっと荷物が重くなるけど、ここでしか買えない貴重なビールも購入できるのでぜひ訪れてみてはいかがでしょう。
スカイポイント展望台
ゴールドコーストのスカイツリー⁉ 超高層コンドミニアムリゾートであるQ1 リゾート&スパの77階にあるスカイポイント展望台までは超高速エレベーターで。エレベーターを降りた瞬間の絶景が忘れられません。

地上235メートル、南半球最高峰のビーチサイドの展望台からは、南北に60㎞も続くゴールドコーストの美しい海岸線、高層ビル街、広くて青い海と空、テーマパークやカジノがあるところ、競馬場やゴルフ場まで、ぐるりと360度、パノラマビューで一望できます。ブリスベンに住む上流階級の静かなリゾート地から始まったゴールドコーストは、ビーチでありながらも内海があるのが特徴的です。B2GCで走ってきたコースもしっかり確認。東京までは7223㎞と、遠そうで近い?
BSKT CAFÉ(ビスケットカフェ)
マーメイドビーチの「ノビービーチサーフクラブ」の隣にあるBSKT CAFÉ(ビスケットカフェ)は、元ラグビー選手が4年前にオープンさせたという、ヘルシーなものがオンパレードのカフェ。
メニューには「ヘルシーキー」として、抗酸化、グルテンフリー、プロテイン、ベジタリアンのアイコンがついていて、選びやすい。甘いものもすべてオーガニック、オリジナルの「ココホイップ」は乳製品を使っておらず、ココナッツから作られているヘルシーフードで、とにかく健康的なものばかり。私は100㎞ライド明けの朝食に、「VEGANOLA」というボウルをチョイス!この青色のパウダーは、ブルースピルリナでとてもセンセーショナル。目も冴えました。もちろん、ボリュームたっぷりの朝食プレートもあります。子供が遊ぶ場所もあり、ヨガやピラティスのクラスもあり、オシャレな内装と健康的なメニューでさすがゴールドコースト。とにかくおすすめです。
来年もB2GCは10月に行われます。クイーンズランド州の観光と合わせて、【自転車×旅×オーストラリア】を楽しんでみてはいかがでしょうか?
ブリズベン to ゴールドコースト サイクルチャレンジ2018
日程:2018年10月14日(日)
エントリー:2018年4月下旬開始予定

目黒 誠子(めぐろせいこ)
宮城県丸森町生まれ。2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。2014年よりツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当していた。ロードバイクでのサイクリングを楽しむ。趣味はヨガ、バラ栽培と鑑賞。航空会社の広報系の仕事にも携わり、折り紙飛行機の指導員という変わりダネ資格を持つ。現在は宮城県丸森町に拠点を置きつつ、海外の自転車事情やライフスタイルを取材しながら、ライター、プロデューサー、コーディネーターとして活動。ツール・ド・フランス取材。自転車とまちづくり・クリーン工房アドバイザー、マルベロ代表。
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