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日本のファンの前で弾丸スプリント【詳報】カヴェンディッシュが咆哮 粘る別府史之を差しきり、さいたま初優勝

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 ゴールまで残り200m、逃げていたワレン・バルギル(フランス、チーム サン ウェブ)を別府史之(トレック・セガフレード)がキャッチし、先頭でゴールを目指した。しかし横から猛然と加速したのはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)。別府を「数センチ」の僅差で逆転してカヴェンディッシュが先着、大会初参戦を見事な勝利で飾った。

接戦の末、先着したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)(左) Photo: Yuzuru SUNADA

キッテルらが序盤から積極的に動く

スタート前の選手や清水勇人さいたま市長らが記念撮影 Photo: Naoi HIRASAWA

 5回目の開催となった同大会は2年ぶりにコースが変更。コーナーが多く、ゴール500m手前にヘアピンもありテクニカルだという評判も聞こえてきた。レースは1周3kmのコースを19周する計57kmで争われた。

 スタート直後からアタックが繰り広げられ、序盤から窪木一茂(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)、ニキアス・アルント(ドイツ、チームサンウェブ)、アマエル・モワナール(フランス、BMCレーシングチーム)、畑中勇介(チームUKYO)らの逃げができ、3周目の中間スプリント前に吸収。激しいスプリントの末、マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)がポイントを獲得した。

スタートする選手たち Photo: Naoi HIRASAWA
さいたま新都心の街並みのなかを駆ける Photo: Naoi HIRASAWA
逃げ集団内で先頭を走る畑中勇介 Photo: Naoi HIRASAWA

 その後、再び逃げグループが形成。別府、ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)、ミヒャエル・シェアー(スイス、BMCレーシングチーム)、トム、ヴァンアスブルック(ベルギー、キャノンデール・ドラパック)、ミケル・ゴラス(ポーランド、チームスカイ)の5人だ。逃げにメンバーを乗せていていないチーム サンウェブのシモン・ゲシュケ(ドイツ)らを中心に、逃げグループを追った。

中間スプリントを争った(左から)マーク・カヴェンディッシュ、マルセル・キッテルら Photo: Naoi HIRASAWA
マイヨジョーヌでさいたまに凱旋したクリストファー・フルーム Photo: Naoi HIRASAWA

UCIポイント王者も逃げを打つ

 7周回目の中間スプリントを前に逃げグループはメイン集団へと吸収。カウンターでU23ロードレースアジアチャンピオンの岡本隼(愛三工業レーシングチーム)、新城幸也(バーレーン・メリダ)、中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)アタックを試み、2回目の中間スプリントを岡本が先頭で通過した。

さいたま新都心の公道を封鎖し3kmのコースが設定された Photo: Naoi HIRASAWA

 この動きはすぐに吸収されたが、新城が再び単独でアタックし、日本チャンピオンジャージを着る畑中が追った。山岳ポイント獲得に向けて新城が加速するも、後続から迫ったフルームがかわし山岳ポイントを先頭通過した。

集団から飛び出したグレッグ・ヴァンアーヴェルマートとリゴベルト・ウラン Photo: Naoi HIRASAWA

 その後、UCIポイントランキング個人トップでシーズンを締めくくったグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)とツール・ド・フランス2017で個人総合2位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)が2人で飛び出し、20秒ほどの差をメイン集団につけてレースをリードした。

 残り8周回を切ると、メイン集団から山岳賞ジャージを着るワレン・バルギル(フランス、チーム サンウェブ)と、マイヨジョーヌのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が飛び出し、アタックを試みた。2人はすぐに前方の2人を捉え、4人の集団を形成。逃げている間の山岳ポイントはフルームとバルギルが激しく競り合うも、フルームが先行してポイントを重ねた。

昨年までコースだった道路でパブリックビューイングが行われた Photo: Naoi HIRASAWA
カヴェンディッシュの後ろにつける別府史之と新城幸也 Photo: Naoi HIRASAWA

 15周目の中間スプリントをヴァンアーヴェルマートが1着で通過後、残り10kmを切るとバルギルが単独でアタックを試みる。後続からはフルームが単独で飛び出し、バルギルに合流。後続にはディメンションデータとクイックステップフロアーズが迫るなか、2人でゴールを目指した。

バルギルが最終ストレートまで粘る

 ラスト1周に入る手前、アンダーパスの上りで仕掛けたのはフルームだった。しかし、バルギルがすぐさま反応すると、残り1周の鐘が鳴るなかカウンターアタック。フルームに差をつけ単独先頭に立った。いっぽうメイン集団では新城がアタック。ゴールを目前にレースのボルテージは最高潮に達した。

 バルギルから遅れたフルームは、コース中盤までにスピードが上がったメイン集団へと吸収。しかしバルギルは諦めずに単独でペダルを踏み続けた。後続ではネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)に連れられたカヴェンディッシュ、さらに新城に引き連れられた別府がスプリント体制に入り、背後には畑中が付ける。バルギルは後続を振り返りつつ、アンダーパスを通過し、最終の180度コーナーを先頭で回った。

独走で最終コーナーに突入するワレン・バルギルだが、背後には集団が迫る Photo: Naoi HIRASAWA

 しかし、早い段階から別府がスプリントを仕掛け、ホームストレート上でバルギルを吸収。長い時間、別府が先行するも、背後からカヴェンディッシュが伸び、別府と横に並んだ。同時にゴールラインに飛び込んだように見えたが、先着したのはカヴェンディッシュだった。ツール・ド・フランス本戦で通算30勝を誇る強豪スプリンターが、初出場で勝利の栄冠を手にした。

わずかな差でゴールを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) Photo: Yuzuru SUNADA

カヴェンディッシュ「本戦では勝ちたかった」

クリテリウムメインレースで勝利を飾ったマーク・カヴェンディッシュ Photo: Naoi HIRASAWA

 山岳賞を手にしたのはフルーム、序盤から中間スプリントで検討したヴァンアーヴェルマートがポイント賞を獲得。敢闘賞はバルギルが手にした。

 ワレン・バルギル(チーム・サンウェブ)は、「大勢の観客に応援されて、気持ちよく集中力を失わずに走れた」。最後は単独先頭に立ったものの、「風にあおられながら単独で走っていたので、スプリンターが来たら何もできないという思いもあった」と自身の走りを振り返った。

スプリントレースを制したマルセル・キッテル Photo: Naoi HIRASAWA

 スプリントレースで優勝したマルセル・キッテル(クイックステップフロアーズ)は、接戦となったスプリントレースについて「非常に集中力を高めていた。ライバル選手がどこにいて、自分はどこでアタックをかけるかということを常に考えていた」と話した。また、カチューシャ・アルペシンに移籍して走る来年のツール・ド・フランスの目標として、「これまでと同じ戦略で、まずは来年もステージ優勝を狙うつもり」と力強く語った。

優勝の喜びを語ったマーク・カヴェンディッシュ Photo: Naoi HIRASAWA

 クリテリウムで見事優勝を飾ったマーク・カヴェンディシュ(イギリス、ディメンションデータ)は、「スプリントレースは2位だったので、メインのクリテリウムでは勝ちたかった。フラットなコースだったので、スプリンター向けだった。バルギルやウランらのライバルが強く難しいレースだったが、そこになんとか追いつき勝つことができた」と振り返った。

山岳賞のクリストファー・フルーム Photo: Naoi HIRASAWA

フルーム「5勝クラブに入りたい」

 山岳賞を獲得したフルームは、「5年前からこの大会に来ているが、これ程までに発展したのはとても喜ばしいこと。埼玉に来ることもとても楽しみにしていた」と話した。また、5勝クラブを狙う来シーズンについては、「来年どう戦うかは決まっていないが、これから2~3週間でチームと相談して決めたい。ただ、ツールで優勝を狙うのは確かな目標。過去4人が獲得した5勝クラブの仲間入りを果たしたい」と決意を語った。

スプリント賞のグレッグ・ヴァンアーヴェルマート Photo: Naoi HIRASAWA
敢闘賞を獲得したワレン・バルギル Photo: Naoi HIRASAWA

 惜しくも2位だった別府史之は「エキサイティングなレースだった。2012年も2位だったので、今回こそはという思いだったが、数センチ差で差された。ただ、日本のレースで2位に入れて幸せです」と話した。

日本でいいレースができたことを喜んだ別府史之 Photo: Naoi HIRASAWA

 新城幸也は、「たくさんの観客が来てくれて、楽しく走れた」と振り返った。また、来季について「まだ、出場するレースは決まっていない。ただ、ツール・ド・フランスは自分にとって大きな目標。フランスで今住んでいるところが、来年のツールのスタート地点。2011年もそうだったが、そのとき出場できなかったので今度こそという思いです」と話した。

クリテリウムメインレース結果
1 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) 1時間25分07秒
2 別府史之(ツール・ド・フランスジャパンチーム) +0秒
3 畑中勇介(チームUKYO)
4 ワレン・バルギル(フランス、チーム サンウェブ)
5 アルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
6 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)
7 ミヒャエル・シェア(スイス、BMCレーシングチーム)
8 ジュリアン・ヴェルモート(ベルギー、クイックステップフロアーズ)
9 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)
10 岡本隼(愛三工業レーシングチーム)

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