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日本人も走りやすい「ブリスベン to ゴールドコースト サイクルチャレンジ」ブリスベンからゴールドコーストまで、5000人と春のオーストラリアを満喫サイクリング

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 10月。日本が秋に向かう頃、南半球のオーストラリアには春がやってきます。オーストラリアで春の訪れを告げる花と言えば、パープル色の神秘的な花、ジャカランダ。日本の春は桜の花で街中がピンク色に染まるように、オーストラリアは薄い紫色に染まります。そのジャカランダやオーストラリアならではの自然を見ながら思いっきりライドできるのが、「Brisbane to Gold Coast Cycle Challenge(ブリスベン to ゴールドコースト サイクルチャレンジ)」。オーストラリアの東部、クイーンズランド州の州都であるブリスベンから世界屈指のビーチリゾート・ゴールドコーストまでの100kmを走り抜けるファンライドイベントです。10月15日に開催されたこのイベントに日本人が参加。「ツール・ド・フランス」や、オーストラリアで行われる「ツアー・ダウンアンダー」を取材し、現地の自転車事情に詳しいグローバルサイクリングライターの目黒誠子さんのレポートを2回に渡ってお届けします。

オーストラリアの春を告げるジャカランダの花の下を走るサイクリストたち ⒸB2GC
ブリスベンからゴールドコーストまでの100㎞。行ってきまーす! Photo: Seiko MEGURO

 今年で13回目となるこの大会。はじまりは2004年、約2200名の参加者から始まりました。心臓病予防とフィットネス向上の目的で作られたライドイベントだけあって、アップダウンは無きにしも非ずですがゆるやかで、初心者でも走りやすいコース設定。回数を重ねるにつれて人気は増加し、毎年平均6000人以上、今年も約5300名のライダーが参加しました。

スタートは4つのグループに分かれて

スタート区分は申告制によって4つのグループに分かれ、ゼッケンも色分けされます。
(1)赤⇒時速30km以上 5時15分スタート
(2)オレンジ⇒時速25km以上 5時30分スタート 
(3)青⇒時速25km未満 6時スタート 
(4)ピンク⇒女性グループ(他の女性参加者とともに、終始グループで楽しみながら走行したい方)6時10分スタート 

 私はオレンジグループで参加。サポートライダーはパープル色の大会ジャージを着ています。スタート地点ではパープル色の風船が飛んでいるところがサポートステーション。何かあればこの人たちを見つければ安心です。

ホテルのロビーに集合!雨対策はあまりしてなかったけれど… Photo: Seiko MEGURO

 大会当日、早朝4時45分。宿泊先のブリスベンのホテルのロビーに集合しました。辺りはまだ薄暗く、小雨交じりの空。晴天率が高い南半球のオーストラリアのはずなのに、天気予報はなんと、雨の確率80%。UV対策はバッチリしてきましたが雨対策は万全ではなかったため、前日、ファーマシーでレインコートを買い込み、ジャージの中に着込んでおきました。

ゴールドコーストからのサイクルトレインが到着。当然ながらサイクリストばかり Photo: Seiko MEGURO
まだ暗いブリスベン、サウスバンク駅 Photo: Seiko MEGURO

コースはワンウェイ、臨時列車も運行

 コースはブリスベンからゴールドコーストまでのワンウェイであるため、どちらに泊まるかも重要なポイントです。私たちはブリスベンに宿泊しました。ゴールドコースト宿泊の方のためには、サイクルトレインが臨時列車で二本運行します。ブリスベン・サウスバンク駅到着の電車からは、ヘルメットをかぶったジャージ姿のサイクリストが自転車をもってたくさん降りてきました。少し異様な光景ですが、さすがの自転車大国、オーストラリア。これは次回乗ってみたい!

スタート地点のグレーストリートはサイクリストで溢れています ⒸB2GC

 5時15分。スタート地点となるサウスブリスベン駅前のグレーストリートは全面に渡って交通規制。通りいっぱいにライダーがずらり並びます。お揃いのジャージでバッチリきめている方もいれば、Tシャツに短パンのラフなスタイルの人も。時速による4つのグループ分けからさらに何名かのグループに分かれて、いよいよスタートです。路面は濡れていますが、空は灰色の曇り空。でも、気分は青空のように晴れやかです。さあ出発です~!

笑顔でスタートするサイクリスト ⒸB2GC

 スタートしてから最初の17㎞は、路線バス専用の道であるバスレーンを通ります。ハイウェイに沿ったこのバスレーンが、この日はB2GCのために、貸し切りとなります。対向車もなければ、渋滞ももちろんありません。高層ビルが立ち並ぶ大都会ブリスベンのハイウェイのためトンネルも数か所。途中、電車の駅のような「バスの駅」も抜けて、気分爽快、快調に走ります。気温は少し肌寒く、雨も少し降り始めましたがまだ小雨。気持ちいい!

路面がぬれているから気をつけて Photo: Seiko MEGURO
こんな葦の中も走りました。雨が強くなっていた時。B2GC公式リンクから Photo: Seiko MEGURO

 バスレーンは、ハイウェイ脇からそれると、日本で言う国道のような感じのところに入ります。巨大なショッピングセンターもあれば小さなブティックもあり、動物病院やクリーニング屋さん、日本でも人気のIKEAなどなど。そんなお店を日本と比較しながらバスレーンを抜けると、一般道へ入ります。その頃には雨も少し強まっていました。スピードも落とし気味で気をつけながら走っていたので、オーストラリアの道路はすごく滑りやすいとは感じませんでしたが、カーブや白線の上、道路わきのグレーチングには当然注意が必要です。

のどかな牧草地沿いに走る ⒸB2GC

 大きな一軒家が並ぶ住宅地を抜け、農場や牧場のようなところも通ります。ジャカランダやブーゲンビリアが咲き、日本では見たことがない植物も。ピンク、紫、赤、水色、黄色、緑。これから夏になるオーストラリアならではの、色鮮やかな自然。両脇が、背丈ほどの葦に囲まれた道も。その頃には雨がかなり強まってきました。

土砂降りの中でも集団で楽しみながら走る ⒸB2GC

大雨で逆に吹っ切れる

 まるで、シャワーを浴びているかのような、バケツをひっくり返したかのような、痛いくらいの雨。普段こんな雨の時には走りませんが、この日は特別。イベントだし、オーストラリアだし、仲間もいるし、5200人が走っているし。足が止まりそうになってもびしょぬれになっても、ペダルを踏み続けました。まるで修行僧のよう…!?でもそこで気が付いたことがありました。びしょ濡れになって気になることと言えば・・・スマホが大丈夫か、カメラは濡れていないか、時計は動かなくなっていないか。頭の中では「スマホやカメラはビニールに包んでいたし、大丈夫。でも時計はもってくることなかったのに。」そんなことばかり考えています。

大雨の中でも笑顔でポーズ ⒸB2GC

 高架下の、雨に濡れないところで一旦止まって、確認。「よし、濡れていない… でも、もしこれで濡れてしまっても、壊れてしまっても、また買えばいいし!ここはオーストラリア!思いっきり楽しもう!」。普段、どれくらい、自分がモノに気を取られているかがわかりました。それらのものにとらわれて、大事なことを忘れてないかな?途中から、一段階上がったような、「もうどうにでもなれ~!」と、なんだか不思議な感覚に(笑)。そんなことまで考えが及び断捨離したような気持ちになったところで、第一レストストップが。先に到着していたメンバーの顔を見た途端、顔がほころびました。

自転車専用レーンも充実しています Photo: Seiko MEGURO

 第一レストストップに到着するころには雨も止んでいました。ここではバナナと栄養バーが補給食。日本のライドイベントに慣れると、「これだけ?」とも一瞬思いますが、これで十分。すごくおいしい!体に満たされていくのがわかります。そういえば、朝ごはんも食べてなかった… あまり食べすぎても体が重くなります。

 物足りないな、と感じたら、日本から持参してきて食べ慣れている羊羹を一口。少し休憩したあと、再び自然豊かなオーストラリアの風景へと走り始めました。コースの脇には、まるでモネの絵に出てくるような睡蓮の池もあり、カモもスイスイ泳いでいる。オーストラリア原産であるユーカリももちろんあって、雨上がりのせいか、時々香りも漂うほどに。この雨の中、コアラはどうしているのかな?などと想いを巡らせながら、次のレストストップの79㎞地点までペダルを進めました。

ジャカランダは散ったあともきれい Photo: Seiko MEGURO
台湾に自転車で走りに行ったことがあるというお父さん。次はぜひ日本へ♪ Photo: Seiko MEGURO

オージーのサイクリストとも交流

 走っていると、英語で話かけられました。「中国人ですか?」「いえいえ、日本人ですよ~!」。見ると、ママチャリっぽい自転車に乗って、Tシャツに短パンのお父さん。「おーごめんなさい。日本じゃないけど台湾なら走りに行ったことがあるけどね、この間は台湾一周して来たよ」自転車は台湾でレンタルしたそう。日本からこのイベントのために来た、と伝えたら、すごく驚いていたので、「あなたも台湾に自転車に乗る目的で行ったのですよね?」と答えると「ま、そうだね」と笑っていました。自転車乗りの会話ですね。リカルベントや二人乗り自転車、二階建て自転車などなど、おもしろ自転車に乗ったサイクリストさんもたくさんいました。

第二レストストップではパンのサービス Photo: Seiko MEGURO

 日本ではあまりなじみがないラウンドアバウトや主要曲がり角には必ず誘導員がいるし、わかりやすく小まめに看板が設置してあるので、途中迷ってしまうことはありませんでした。100㎞のコース中、100名以上の警察官やガードマン、ボランティア誘導員が配置されていました。79km地点の第二レストストップでは、ブドウや胚芽、ナッツが入ったパン二つとエナジードリンクの粉末で補給。このレストストップにはコーヒーやカフェラテ、ホットチョコを買えるワゴンカーも停まっており、冷えた体を温めました。

オージーの明るいスマイルにパワー倍増です Photo: Seiko MEGURO
ブドウがいっぱい入ったパンとエナジードリンク Photo: Seiko MEGURO

 さぁ、ここからはゴールドコーストまで一直線です。ゴール地点のサウスポートから手前20㎞ほどのところには、豪邸が立ち並ぶ「サンクチュアリコーブ」。ゴルフ場やマリーナがあるゴルフリゾートで、日本人によって開発され、有名芸能人も別荘を構えているところです。さすがに大きな豪邸ばかり。自宅からゴルフカートで直接プレイしに行けてしまうそう!

いよいよゴールドコーストの町が近づいてきた ⒸB2GC

 ローカルのお金持ちが多く住む地域である「ラナウェイベイ」でも、豪邸を見ながら通り抜けると、ゴールドコーストの海が見えてきました。延々60㎞もサーフビーチが続くゴールドコースト。この頃にはすっかり雨も上がって、少し青空も!ビーチに突如現れる高層ビル街。さすが、圧巻です。ここまでの雨の中の100㎞を思って、思わず「ゴールドコースト~!オーストラリア~!」と叫んでいました。

やりました~!フィニッシュ! Photo: Seiko MEGURO

 フィニッシュアーチを通り抜け、フィニッシュ!ガッツポーズ。ゴールエリアは、サウスポートの「ブロードウォーター パーク ランズ」広場。広場は開放感があって空が広く、ブースが並び、フィニッシャーを待ち構えています。参加賞でもありフィニッシュした人だけがもらえるコーヒー券を手に、あたたかいカフェラテを。「ん~!やった~!」やり遂げた感が沸き起こってきました。達成感をかみしめ、おいしくあたたかいカフェラテで至福のひとときです。

フィニッシュ後の至福のいっぱい。また来たい! Photo: Seiko MEGURO

 「ブリスベン to ゴールドコースト サイクルチャレンジ」略してB2GCは、毎年約6000名以上の参加者がブリスベンからゴールドコーストまでの100kmを走るファンライドイベント。南半球オーストラリアの東部、ブリスベンからゴールドコーストまでを思いっきり満喫できる設定になっています。オーストラリアが大好きな人もはじめての人も楽しめることでしょう。ぜひ来年は参加されてみてはいかがでしょうか?私もまた行きたいと思っています。

おそろいのジャージを着て乾燥の喜びを分かち合う ⒸB2GC
笑顔で完走を喜び合うサイクリストたち ⒸB2GC

 さて、せっかくオーストラリアに来たのだから、オーストラリアの観光もたのしみたいですよね。次の続編では、ブリスベンとゴールドコーストの観光の魅力と合わせて、クイーンズランド州の自転車事情もご案内します。

福光俊介
目黒 誠子(めぐろせいこ)

宮城県丸森町生まれ。2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。2014年よりツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当していた。ロードバイクでのサイクリングを楽しむ。趣味はヨガ、バラ栽培と鑑賞。航空会社の広報系の仕事にも携わり、折り紙飛行機の指導員という変わりダネ資格を持つ。現在は宮城県丸森町に拠点を置きつつ、海外の自転車事情やライフスタイルを取材しながら、ライター、プロデューサー、コーディネーターとして活動。ツール・ド・フランス取材。自転車とまちづくり・クリーン工房アドバイザー、マルベロ代表。

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