22歳の期待の若手にインタビュー雨澤毅明、ジャパンカップ3位でも「まだまだ足りない」 目指すは世界のトップレベル

by 平澤尚威 / Naoi HIRASAWA
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 ジャパンカップサイクルロードレースで世界の強豪選手らと渡り合い、3位という快挙を達成した宇都宮ブリッツェンの雨澤毅明。22歳の日本人による活躍、そして地元・ブリッツェン待望の表彰台獲得をファンや関係者が喜ぶなか、雨澤は「悔しい」という気持ちを隠さなかった。レース後に『Cyclist』のインタビューに答えた雨澤は、「まだまだ足りないところがある」と世界のトップレベル挑戦を見据え、決意の表情を見せた。

先頭集団でジャパンカップサイクルロードレースの終盤を迎えた雨澤毅明(右) Photo: Yuzuru SUNADA

チームに恩返しができた

 雨澤は7月の「石川サイクルロードレース」でJプロツアー初勝利。しかし、U23(23歳未満)の日本ナショナルチームでは、8月にU23版ツール・ド・フランス「ツール・ド・ラヴニール」にエースとして臨むも、総合20位以内という目標は達成できず「完敗だった」と世界との実力差を実感したという。9月のU23世界選手権でも好成績は残せなかったが、10月8日のJプロツアー「輪島ロードレース」では独走勝利を飾っており、決して不調というわけではなかった。

雨澤毅明は最終周回の上りでトップからわずかに遅れたが、粘って合流を果たした Photo: Shusaku MATSUO

 10月22日、宇都宮市森林公園で開かれたロードレースは、強い雨に見舞われた。例年、ワールドチームが集団をコントロールして、終盤勝負になるが、今年は序盤からワールドチームの選手が逃げに乗ったり、メイン集団が割れたりとハードな展開になった。チームメートの献身的なアシストもあり、最終周回まで残った雨澤は小集団スプリントに臨んだ。

記者会見でレースを振り返った雨澤毅明 Photo: Naoi HIRASAWA

 ブリッツェンの清水裕輔監督から「最後のコーナー手前で一番手で入れたら行けるぞ」と指示を受けアタックを試みたが、優勝したマルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)と2位のベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO)に対応され、ゴールスプリントで敗れた。しかし「監督のアドバイスがあったからここ(3位)にいられる」「ナショナルチームの遠征ではチームに迷惑をかけたところもあったので、こういう形でチームに恩返しができてよかった」と監督やチームメートに感謝を述べた。

 Cyclistはレース後、快挙達成にも浮かれるそぶりを見せない雨澤にインタビューを行った。

◇         ◇

ラヴニールが転換期だった

――ジャパンカップをエースとして走ることは決まっていた?

雨澤:チームとして、自分がエースというのは決まっていました。シーズン最初は増田(成幸)さんがエースだったけれど病気などで離脱していた時期もあって、自分が狙うことになりました。

――表彰台に乗れると思っていた?

レース当日の夜に開かれたジャパンカップアフターパーティーで、栗村修さん(左)と今中大介さん(右)から「今日のヒーロー」と称えられた雨澤毅明 Photo: Naoi HIRASAWA

雨澤:自信はありました。狙うべきだと思っていたし、達成するための努力をしてきた。自信を持って「狙ってます」と公言してきました。実際レースになってみるとわからないので「表彰台いけるかな?」と不安にもなりましたが、展開にも恵まれた部分も多くてよかったです。

――ジャパンカップ3位という結果は、うれしさと悔しさどちらが大きいですか?

雨澤:悔しい気持ちが大きい。ゴールした瞬間は「あぁ…」という感じで、うれしさはゼロでした。あるのは表彰台という目標を達成した、ホッとした気持ち。あとは「負けた…」という気持ちです。やっぱりロードレースは優勝が全て。周りの人は「そんなことないよ」と言ってくれるけれど、甘えちゃいけないと思っています。

快挙を称える宇都宮ブリッツェンの廣瀬佳正GMと、表情に悔しさがにじむ雨澤毅明 Photo: Naoi HIRASAWA

――ラヴニールを経験して臨んだジャパンカップ。雰囲気はどのように違いましたか?

雨澤:ラヴニールはまったく別のレースです。(ここでの活躍がプロチームとの契約につながるため)あれは異質で、全員が命がけ。他ではありえない、僕にとって刺激的なレースでした。これを超える特別なレースはツール・ド・フランスしかないんじゃないか、っていうくらい。

ダミアーノ・クネゴ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)に引き連れられたマルコ・カノラを、雨澤毅明がマーク Photo: Shusaku MATSUO

 ジャパンカップにはワールドチームの選手もいたけれど、ラヴニールで総合優勝したエガン・ベルナルなんて来年チーム スカイに入るし、イル・ロンバルディア(10月7日開催)ではダヴィデ・ヴィレッラ(2016年のジャパンカップ王者)より上位に入った。その選手と走ってきた自信と経験があるので、物怖じすることはありませんでした。

――世界のトップレベルで走りたいという気持ちが伝わってきます。

 生半可な気持ちでそういうことを言っちゃいけないと思ってるし、もっと自分に厳しくしないといけない。ラヴニールが転換期でした。まだまだ足りないところがたくさんあります。足りなくて「どうしよう」ってぐらい(笑)。成長するにはヨーロッパで揉まれるしかない。来年にでも行きたいけれど、巡り合わせや環境もある。闇雲に行ってもしょうがないし、慎重に考えながら自分にとってベストなタイミングで行けたらと思っています。1年1年、しっかり見極めて走りたいです。

――ツール・ド・フランスは出たい?

 やっぱり自転車選手なら誰もが憧れる場所ですからね。「ツールを目指します」と大きな声で言いたくはないけれど、世界のトップは目指したい。自転車選手をやるからには、1番になりたいです。

3位で表彰台に登り、ファンの声援に応える雨澤毅明 Photo: Naoi HIRASAWA

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