マトリックスパワータグが輪翔旗獲得逃げ続けた佐野淳哉が3人のスプリントでV Jプロツアー最終戦・ロードチャンピオンシップ

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 日本最高峰のロードレースシリーズ、Jプロツアーの最終戦となる第22戦「第51回JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」が10月28日、群馬県みなかみ町の群馬サイクルスポーツセンター(群馬CSC)で開催され、序盤から逃げ続けた佐野淳哉(マトリックスパワータグ)が3人のスプリントに勝利し優勝を飾った。レースのチーム総合はマトリックスパワータグで経済産業大臣旗の「輪翔旗」を獲得。Jプロツアーの個人総合優勝はホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)、ピュアホワイトジャージは雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)となった。

豪快なスプリントで3人の勝負を制した佐野淳哉(マトリックスパワータグ) Photo: Shusaku MATSUO

シリーズ優勝者も決定

群馬CSCを22周回する計132kmで争われた Photo: Shusaku MATSUO

 2017年シーズンのJプロツアーも今回が最終戦。経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップはシリーズ中、もっともレースレーティングが高く「AAAA」になり、獲得できるポイントも多い。チャンピオンシップということもあり、優勝者にはヴィオラジャージが与えられる。また、もっともポイントを獲得し、総合優勝したチームは歴代のチャンピオンチームの名が連なった輪翔旗を授与される。最終戦ということもあり、シリーズ総合優勝者も決定する重要な一戦だ。

2周回目に決まった逃げ集団の8人 Photo: Shusaku MATSUO
逃げ集団が決まり、一時落ち着きをみせるメイン集団 Photo: Shusaku MATSUO

 レースの舞台は群馬CSCの6kmコース。もともとは新潟県南魚沼市で行われる予定だったが、災害によるコース上の土砂崩れなどの影響があり変更となった。レースは周回を22ラップする計132km。朝8時半のスタートということで、気温は15度を下回り、選手たちはアームウォーマーやベストを着用しての出走となった。

秋が深まる山中のコースを駆ける選手たち Photo: Shusaku MATSUO

 スタートと同時にハイペースで展開した序盤。1周目から棒状一列に集団が伸びる状態が続き、2周目には早々にグループが形成。佐野、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)、柴田雅之(那須ブラーゼン)、中西健児(キナンサイクリングチーム)、湊諒(シマノレーシング)、吉田悠人(インタープロシクリズム)らUCIコンチネンタルチーム勢と、トム・ボシス(フランス、東京ヴェントス)、筧五郎(イナーメ信濃山形)という顔ぶれだ。

プロトンから追走を開始した6人 Photo: Shusaku MATSUO

 途中、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、安原大貴(シエルヴォ奈良)がブリッジを仕掛けて先頭集団に追いつくことに成功。最終的には9人の逃げグループが形成された。一方のメイングループは、道幅いっぱいに広がりペースを落とし、容認する姿勢をみせた。

 しかし、7周目に差し掛かると追走に動く選手が現れる。同時に、逃げグループ内の岡がメカニカルトラブルで自転車を交換。集団から遅れるも、後続から迫る追走集団へと合流し、レースを再開した。先頭、追走、メイングループのタイム差はそれぞれ約1分30秒ほどで推移していた。

追走はブリッジに成功し、計14人に Photo: Shusaku MATSUO

 追走グループが形成されたことで、先頭集団のペースは弱まり、のちに2つのグループが合流して14人の逃げグループが形成された。この時点でメイングループから逃げグループのタイム差は30秒ほどまで迫った。同時にメイングループからはU23全日本チャンピオンジャージを着る横山航太(シマノレーシング)と山本が追走を開始。一気に前方へと追いつき、16人の集団へと人数を増やした。一方のメイングループはペースが落ち、2分以上のタイム差が広がる状況となる。

終盤の動きに備え、宇都宮ブリッツェンがコントロールし前方を固める Photo: Shusaku MATSUO
クラブチームを中心にペースアップを試みるメイン集団 Photo: Shusaku MATSUO

 逃げ切りも見えてきた先頭集団では、終盤戦に入るとアタックの応酬が繰り返された。分かれては合流、さらにカウンターアタックが連発。4人の選手を送り込んだシマノレーシングや、チームメートがメイングループで集団コントロールに加わる佐野らが有利に展開しているようにもみえた。

激しい応酬が繰り返される先頭グループ

残り2周で先頭と1分30秒差でペースアップするメイングループ Photo: Shusaku MATSUO

 佐野、岡が仕掛け、横山、木村、山本が追従し、最終周回へと入る。ここで下りの右ヘアピンコーナーで岡が単独で落車。残す4人でフィニッシュへと向かった。その後ろでは、前方の4人から遅れた逃げグループのメンバーがメイングループへと吸収。岡を欠いた鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)や、才田直人(リオモ・ ベルマーレ レーシングチーム)、 小畑郁(なるしまフレンド)らが迫る。

揺さぶりを行い、セレクションをかける先頭の逃げグループ Photo: Shusaku MATSUO

 しかし、横山が脱落しつつも、佐野、木村、山本はなおもリードし、バックストレートを踏み抜ける。ホームストレートに姿を表すと、最初に仕掛けたのは山本。違うラインで木村がスプリントを開始するが、さらにイン側から豪快な伸びをみせたのは佐野だった。上り基調のラスト100mを持ち前のパワーで押し切った。

岡篤志(宇都宮ブリッツェン)の落車で4人に絞られた先頭 Photo: Shusaku MATSUO
「ラッキーだった」と謙遜気味にレースを振り返る佐野淳哉(マトリックスパワータグ) Photo: Shusaku MATSUO

 佐野は「少人数まで絞らないと勝機はなかったので、揺さぶりをかけ続けました。後続ではチームメートが集団前方で固めてくれたおかけで脚を貯めることもできたと思う。最終周回で岡くんが目の前で落車してしまいましたが、うまく乗り越えて巻き込まれませんでした。いくつもの幸運が重なりました。もし岡くんが最終局面までいたら変わっていただろう。きょうは僕がツキがありました。でも、最後まで残っていた選手は皆強い選手。その中で勝てて良かったと思う」と振り返る。

左から2位の木村圭佑(シマノレーシングチーム)、優勝した佐野淳哉(マトリックスパワータグ)、3位だった山本元喜(キナンサイクリングチーム) Photo: Shusaku MATSUO

 落車をし、勝負に加われなかった岡は「コーナーを攻め過ぎました。最後まで残っていたらチャンスは自分にあったと思う。悔しいですが、しょうがない。次戦に備えます」と悔しさを滲ませた。

輪翔旗もマトリックスパワータグが獲得。Jプロツアーチーム年間優勝も決めた Photo: Shizu FURUSAKA

 ロードチャンピオンシップのチーム総合の行方は、マトリックスパワータグが獲得。優勝した佐野、5位に食い込んだ吉田隼人の活躍が実った。2位と4位を獲得したシマノレーシングだったが、僅かに及ばず2位となった。

Jプロツアー個人年間優勝を決め、連覇を達成したホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ) Photo: Shizu FURUSAKA

 年間シリーズチャンピオンは、スタートからルビーレッドジャージを着用していたトリビオが連覇を達成。漆塗りのトロフィーを掲げ、喜びをあらわした。また、チーム総合優勝もマトリックスパワータグが決め、シーズンを有終の美で飾った。

第51回JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ結果
1 佐野淳哉(マトリックスパワータグ) 3時間22分29秒
2 木村圭佑(シマノレーシング) +1秒
3 山本元喜(キナンサイクリングチーム)
4 横山航太(シマノレーシング) +10秒
5 吉田隼人(マトリックスパワータグ) +15秒
6 吉岡直哉(那須ブラーゼン) +16秒
7 中島康晴(キナンサイクリングチーム)
8 西村大輝(シマノレーシング)
9 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)
10 佐藤信哉(VC Fukuoka・サイクルフリーダム)

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