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コンタドールが集団を牽引トレックが集団を掌握も、カノラが終盤の混戦を制す ジャパンカップ・クリテリウム詳報

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 レースの大半を集団先頭でコントロールしたのは3連覇の期待がかかる別府史之を擁するトレック・セガフレードだったが、混沌とする最終周回でポジションを奪い、ゴールスプリントを制したのはマルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)だった。宇都宮駅前の大通りを封鎖し、10月21日に開催されたジャパンカップ・クリテリウムの詳報をお伝えする。

ファンティーニワインでのシャンパンファイトを、マルコ・カノラ(NIPP・ヴィーニファンティーニ)は自らの勝利で祝った Photo: Naoi HIRASAWA

別府はコンタドールを従え連覇を狙う

3連覇の期待がかかる別府史之(トレックセガフレード)(右) Photo: Naoi HIRASAWA

 活発な秋雨前線の影響もあり、宇都宮市内では朝から雨が断続的に降った。会場は目抜き通りを封鎖し、1周2.25kmで設定された特設コース。道路脇では朝から国内外のスター選手の走りを一目見るべく、大勢の観戦者が待ち構えていた。昨年はトレック・セガフレードがレースを完全にコントロールし、ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)にアシストされた別府がスプリントで勝利。大会2連覇を飾っていた。

クリテリウムのみアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)も出走 Photo: Naoi HIRASAWA

 参加する選手は翌日、宇都宮市森林公園で開催されるジャパンカップサイクルロードレースに出場する選手たちに加え、競輪選手やネイサン・ハース(オーストラリア)、中村龍太郎らで構成されたクリテリウムスペシャルライダーズたちだ。UCI(国際自転車競技連合)ワールドチームはトレック・セガフレード、ロットNL・ユンボ、BMCレーシングチーム、キャノンデール・ドラパックの4チームが集結。豪華な面々が出揃った。

 今回はブエルタ・ア・エスパーニャ2017をもって引退を表明したアルベルト・コンタドール(スペイン)がクリテリウムのみに参加。前日の記者会見では「ブエルタの時ほどのコンディションではない」と語っていたコンタドールだが、グランツールを制したコンタドールの走りにも注目が集まった。

宇都宮駅前を大胆に封鎖して開催された Photo: Naoi HIRASAWA
スタート直後から飛び出したネイサン・ハース(クリテリウムスペシャルライダース) Photo: Naoi HIRASAWA

 レースは2周回のパレードと、リアルスタート後の15周回を合わせた計38.25kmで争われた。パレード走行では、観客とハイタッチをしたり、グッズを配るなどにこやかに走る選手たちだったが、スタートが近づくと徐々に集中力を高めていった。

逃げを許容しないトレック勢

 定刻よりやや遅れてスタートが切られると、真っ先に飛び出したのはハース。しかし、トレック・セガフレード勢がすかさずチェックに入り逃げを許さない。コンタドールが集団先頭でコントロールに加わる場面も多く、会場から歓声が沸いた。断続的にアタックがかかるが、トレック勢は容認することはなかった。

1回目のスプリント賞は鈴木龍(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)が獲得 Photo: Naoi HIRASAWA

 4、8、12周回目に争われる『スプリント賞』にも注目が集まった。各設定ラップに先頭でゴールラインを通過すると獲得できるので、ゴールスプリントさながらの激しい争いが繰り広げられた。1回目に獲得したのは鈴木龍(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)。先行する中島康晴(キナンサイクリングチーム)、ルー・シャオシュアン(台湾)を捉え、先頭でラインを通過した。2番手には石上優大(日本ナショナルチーム)、日本チャンピオンの畑中勇介が続き、畑中はそのまま逃げを試みペダルを踏み続けた。しかし、トレック・セガフレードが譲らない。すべての逃げを試みる動きに対し、反応し別府のスプリントへ向けてレースのコントロールを続けた。

 動きがあったのは2回目のスプリント賞が設定された8周目。ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシングチーム)が単独で逃げを決め、2回目のスプリント賞を獲得。その後も独走し、逃げ続けた。トレック・セガフレードはウィスを容認し、プロトンに落ち着きが見え始めた。

速いペースで集団を率いるトレック勢から散発的にアタックが繰り返される Photo: Naoi HIRASAWA

 3周回ほどリードしたウィスだったが、レースが折り返しをすぎ、ゴールスプリントを見据えたポジション争いのためにペースが上がる集団へと吸収。ロットNL・ユンボやキャノンデール・ドラパックが、先頭でコントロールし続けたトレック・セガフレードに並び存在感を示す。

アレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)が積極的に仕掛ける Photo: Naoi HIRASAWA
地元出身の小坂光(クリテリウムスペシャルライダース)が山本大喜(日本ナショナルチーム)と逃げを試みる Photo: Naoi HIRASAWA
12周回に争われた3回目のスプリント賞を先頭で通過する鈴木真理(宇都宮ブリッツェン) Photo: Naoi HIRASAWA

 12周回目のスプリント賞は、ことしで退団が決まった鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)が獲得。先頭でコントロールするトレック・セガフレードに並び、別府史之と言葉を交わした後にアタックした。中村が追ったが、鈴木真理
の勢いは衰えず先頭でラインを通過。会場からは地元選手の活躍に大きな歓声が上がった。

横一線で最終ラップへ

 国内チームでは宇都宮ブリッツェンの阿部嵩之が、スプリントに強い小野寺玲を引き連れて集団前方に上がる姿や、マトリックスパワータグの選手らが枚数を揃える様子もうかがえた。

コントロールを続けてきたトレック勢に、ロットNL・ユンボらが並びにかかる Photo: Naoi HIRASAWA

 ラスト2周を迎えるとスプリンターのファンホセ・ロバト(スペイン)で勝負すべく、ロットNL・ユンボがトレック・セガフレードに被せ、ポジションを奪いにかかる。その他各チームが前方に集まり、横一線の様相を呈したままファイナルラップへと突入した。

混戦を制し、優勝を飾ったマルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Yuzuru SUNADA

 田窪賢次(マトリックスパワータグ)が集団のスピードを上げ、ジョン・アベラストゥリ(スペイン)を擁するチームUKYOが続いた。最後の折り返しを迎えるコーナーへは岡篤志、阿部、小野寺の宇都宮ブリッツェンラインが先頭付近の絶好のポジションをキープ。トレック勢はやや埋没し、NIPPO、キナンサイクリングチーム勢が姿を現すなど、混沌とした状況で上り基調のゴールスプリントへと向かった。

2位に入ったのはファンホセ・ロバト(ロットNL・ユンボ)だった Photo: Naoi HIRASAWA
シーズン序盤から好調さを維持しているマルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Naoi HIRASAWA

 ゴール手前300mでカノラがスパートを開始。後続ではカノラを追おうとラインが交錯し、落車が発生した。足止めを余儀なくされる選手がいるなか、カノラは持ち前のパンチ力を発揮し独走。後続に差をつけて優勝となった。カノラはツアー・オブ・ジャパン2017でステージ3勝をあげ、ポイント賞を獲得。シーズン後半でも欧州のUCI HCカテゴリーのレースでもシングルポジションでフィニッシュするなど、好調のままジャパンカップに挑んでいる。翌22日に開催されるジャパンカップサイクルロードレースでも活躍が期待される。

走り始めから「あっ、自分速いな」と自覚したというマルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Naoi HIRASAWA
所属してきた宇都宮ブリッツェンでラストレースをスプリント賞獲得で締めくくった鈴木真理 Photo: Naoi HIRASAWA

◇         ◇

 レース後、宇都宮市内の「オリオンスクエア」で表彰式が開催。優勝したカノラは「楽しい、いいレースだった。明日のロードレースも重要だが、走れば(クリテリウムも)もちろん勝ちたいと思っていた。今日走り始めたら『あっ、自分速いな』と思って勝負に出た。明日に向けても準備万端です」と調子の良さをアピール。クリテリウムとロードレースの連勝に期待がかかる。

ジャパンカップクリテリウム表彰式。(左から)2位のファンホセ・ロバト、優勝したマルコ・カノラ、3位のブラム・ヴェルテン Photo: Naoi HIRASAWA
宇都宮ブリッツェンでのラストレースをスプリント賞で飾った鈴木真理(宇都宮ブリッツェン) Photo: Naoi HIRASAWA

 その後は4、8、12周回目に設定されたスプリント賞の表彰。鈴木龍、ウィス、そして鈴木真理がスプリント賞ジャージに身を包んだ。鈴木龍は「今日は悪天候の中、多くのお客さんに来ていただき、そのなかでスプリント賞をとれて本当に良かったです。ありがとうございました」、ウィスは、「雨で滑りやすく難しいレースでしたが、本当にたくさんの応援があったので走ることができました。ありがとうございました」と感謝の言葉を口にした。また、宇都宮ブリッツェンでラストレースとなる鈴木真理は「ラストレースということで、みなさんの前で顔を見せられるのは幸せなことだと思います」と、この日集まった多くのサポーターに向けて声を掛けた。

4周目のスプリント賞を獲得した鈴木龍(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) Photo: Naoi HIRASAWA
8周目のスプリント賞を取ったダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシングチーム) Photo: Naoi HIRASAWA

「ジャパンカップ・クリテリウム2017」リザルト
1 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 43分57秒
2 ファンホセ・ロバト(スペイン、ロットNL・ユンボ) +0秒
3 ブラム・ヴェルテン(オランダ、BMCレーシングチーム)
4 雨乞竜己(キナンサイクリングチーム)
5 ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、アタッキ・チームグスト)
6 ジョン・アベラストゥリ(スペイン、チームUKYO)
7 下島将輝(那須ブラーゼン)
8 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)
9 小坂光(クリテリウムスペシャルライダーズ)
10 アレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)

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