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栗村修の“輪”生相談<112>30代男性「3本ローラーと固定ローラー、初心者はどちらが良いですか?」

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 今年からロードバイクを始めチームメンバーと楽しく乗っていますが、そろそろ何か大会、特にクリテリウムやエンデューロに興味があり参加しようと思っています。ですがいつもチーム練でも後ろの方のため、このままではマズイと思いローラー台の購入を考えてます。勿論実走がベストと思いますが、現状仕事後や悪天候だと乗れないので、それの解消のためにもローラーが要ると思っております。

 「3本ローラーならペダリング、固定なら脚力+ズイフト」と色んな所で目にしますが、大会未経験の初心者はどちらを買った方が良いかお教え頂けないでしょうか。

(30代男性)

 人によっては「3分を、永遠のように長く感じる」のがローラー台です。5、6時間の練習が当たり前のプロでも、ローラー台でのトレーニングは30分が限界、という選手もいます。なかには壁に向かって延々とローラー台に乗れる強者もいましたが、あえてこういう表現をしますが、そういう人はごく一部のヘンタイさん(尊敬の念を込めて)に限られます。

 だから、ローラー台でのトレーニングが苦手という人は多いと思うのですが、それは精神力が弱いのではなく、「単調(変化がない)」なことを続けるということに対する相性の問題だと思うんですよ。レース映像を観たり、音楽を聞いたり、練習メニューを組み立てたりして変化をつけることで、多少はマシになります。

3本ローラーはローラー上を「走る」形になり、より実走に近い感覚が得られるが、油断をすると落車してしまうことも Photo: Yuzuru SUNADA

 例えば、パワーメーターを使ったり、難しいメニューなどは組まなくても、ある程度変化をつけられる初歩的な練習方法があります。5分刻みで変化をつけるというものです。30分間ローラーでトレーニングを行うとして、「最初の5分間は軽くアップ ⇒ 次の5分は軽めのギアでハイケイデンス走(100回転/分) ⇒ その次は負荷を3段階づつ上げていって5分間(最後は有酸素レベルの上限くらいまで上げる) ⇒ 負荷を下げて軽く5分間 ⇒ 次の5分は軽めのギアでハイケイデンス走(110回転/分) ⇒ 負荷を3段階づつ上げていって5分間(最後は有酸素レベルの上限を超えるくらいまで上げる) ⇒ クールダウン」。

 これで30分ちょっとになります。この内容であれば、3本ローラーでも固定ローラーでもどちらでもできると思います。

 もちろん、ズイフトのような最新のテクノロジーを導入すれば「単調」に対する対策はより強化できますが、まずはステップとして上記のようなやり方からはじめるのもありかと思いますよ。

 また、3本ローラーか固定ローラーか、というお話ですが、実走に近く、ペダリングが綺麗になるのは3本ローラーだといわれています。スキルアップにはよいですね。ただ、落車リスクがありますし、騒音が比較的大きいので、集合住宅などでのフルもがきはやめましょう。フルもがきから自転車が前方に吹っ飛びそのまま前の壁に激突して落車などというフルコースを演出しようものなら、近所の方に爆発事故だと勘違いされる可能性もあります。

 安全に高い負荷をかけたいなら、やはり固定ローラーのほうがいいですね。近年はそこに、ズイフトというバーチャルライドシステムが加わったわけです。対応機種がまだ限られるという制約はあるのですが、ローラー台の味気無さを、かなり改善してくれる夢のアイテムです。素晴らしいですね。

固定ローラーは後輪を固定するため安定性が高い。近年のレースでは前後にローラーでウォームアップ・クールダウンする光景が一般的になった Photo: Yuzuru SUNADA

 さらに最近は、固定ローラーにも「グロータック」などのダンシングができるタイプや、リアホイールが不要でとっても静かなタイプが加わり、ローラー台のトレーニングはかなり未来が明るいと言えるでしょう。一部のヘンタイさんだけのものではなくなったのです。

 スキルアップなら3本ローラー、脚力アップのための負荷をかけるなら固定ローラー、という住み分けは大きくは変わりませんが、質問者さんの住環境やスキルのレベル、予算などで選択肢は変わってくるでしょう。いろいろ調べてみると、楽しいですよ。ちなみに個人的見解にはなりますが、初心者の方であればバランス感覚が磨かれる3本ローラーにたくさん乗った方が良いように感じます。

 最後に、ローラー台はどの形式であれ、実走のなかで要求されるリアルスキルを身につけることはできません。

 長くロード競技を行っているようなベテラン選手などであれば、室内トレーニングの割合が増えてもさほど大きな問題にはなりませんが、初心者の方については、室内トレーニングでフィジカルアップを図るとともに、安全な広い駐車場などを見つけて、「曲がる」「止まる(特に急制動)」「他人と接触する」などの、実走のなかで必ず生じる危険なシチュエーションを回避するためのスキルアップにも、同時に取り組むようにしてください。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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