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御神火ライド2018

男子エリートロードレースサガンがロード世界選手権で前人未到の3連覇 僅差の集団スプリント勝負を制す

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ノルウェーのベルゲンで開催されているUCI(国際自転車競技連合)ロード世界選手権は9月24日、男子エリートロードレースが行われ、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が集団スプリントを制して前人未到の3連覇を成し遂げた。日本から唯一参戦した新城幸也(バーレーン・メリダ)は、47位だった。

史上初のロード世界選手権3連覇を達成したペテル・サガン Photo : Yuzuru SUNADA

10人の逃げ集団を泳がす展開に

 男子エリートは、男子ジュニアと同じくベルゲン中心部から北西方面のロングから40kmほどのコースを走ってから周回コースを12周する、合計267.5kmで争われた。周回コースには、登坂距離1.5km・平均勾配6.4%の「サーモンヒル」の上りが含まれている。単体で見れば、難易度の低い上りではあるが、12回通過するなかでじわじわと選手たちの脚を削ることになった。

逃げに乗ったアレクセイ・ヴァーミューレン Photo : Yuzuru SUNADA
集団牽引を担うジュリアン・ヴェルモトとチェコの選手たち Photo : Yuzuru SUNADA

 スタート直後に、コナー・ダン(アイルランド、アクアブルースポーツ)がファーストアタックを決めると、10人の逃げ集団が形成。ワールドチーム所属選手では、アレクセイ・ヴァーミューレン(アメリカ、ロットNL・ユンボ)、アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム)だけで、優勝を脅かすような選手はいなかったため、ベルギーがコントロールするメイン集団は逃げを容認した。

 タイム差が10分以上に広がると、チェコが集団牽引を開始。ベルギーもジュリアン・ヴェルモト(クイックステップフロアーズ)を送り込んで、チェコ・ベルギー連合がじりじりと逃げ集団とのタイム差を詰めていった。周回コースを残り6周を残す頃には、タイム差は3分30秒となった。

 すると、チェコに代わってポーランドが集団牽引を始めた。エースのミカル・クウィアトコウスキー(チーム スカイ)は、優勝候補の筆頭にあげられている選手の一人だ。残り83.5km地点で逃げ集団を吸収した後も、引き続きベルギーとポーランドが集団コントロールを担っていた。ベルギーはヴェルモトが一人でレース序盤からずっと牽引を担うタフネスぶりを発揮していた。

 ところが、ヴェルモトがコーナリングの最中に転倒してしまう。再スタートに手間取ったこともあり、途中リタイアとなった。ヴェルモトを失ったベルギーに代わって、ポーランドが単独で集団コントロールを担うなか、レースは残り4周を切った。

カラフルな建物の前を通過する集団 Photo : Yuzuru SUNADA

中盤では8人の精鋭逃げ集団が生まれる

 残り72.5km地点、サーモンヒルの手前の上りでレースが動いた。ティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル)、ワレン・バルギル(フランス、チーム サンウェブ)、マルコ・ハラー(オーストリア、カチューシャ・アルペシン)らが立て続けにアタックを仕掛けると、ハラーは集団から抜け出すことに成功した。

 続くサーモンヒルでは、ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)がアタック。ウェレンスの動きに反応したアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシングチーム)、ジャック・ヘイグ(オーストラリア、オリカ・スコット)、オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、エフデジ)、ラルス・ボーム(オランダ、ロットNL・ユンボ)、ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)、ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)らが、先頭を走るハラーにブリッジをかけた。8人の強力な逃げ集団が形成され、メイン集団に30秒程度の差をつける。

上り区間で逃げに持ち込んだティム・ウェレンス Photo : Yuzuru SUNADA

 フランスとポーランドが、メイン集団の牽引を担うものの逃げ集団とのタイム差は30秒前後からなかなか縮まらない。残り40km付近からは、イギリスが集団牽引に参加すると、逃げ集団とのタイムが縮まりはじめる。

逃げを追うため集団牽引を行うアントニー・ルー Photo : Yuzuru SUNADA

 メイン集団内では、ジャンニ・モズコン(イタリア、チーム スカイ)が落車するなど、狭いコース上で落車が相次いでいた。(※モズコンは、遅れを取り戻すためにチームカーに捕まって集団復帰を試みたことが発覚したため、レース後に失格処分となってしまった)

 残り32km地点、サーモンヒルの手前の上りでトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)がアタックを仕掛けた。デュムランは、チーム サンウェブとしてチームタイムトライアルで優勝、個人タイムトライアルで優勝、そして男子エリートロードレースでも優勝するハットトリックを狙うため積極的な動きを見せていた。

 先頭はウェレンス、ヘイグ、エイキング、デラクルスの4人まで人数を減らしており、集団に吸収されるのは時間の問題だった。サーモンヒルを下りきった残り25km地点で集団は逃げを吸収するも、しばらくは決定的な動きが生まれないまま、ついに最終周回へと突入していった。

最終周回は激しいアタックの応酬に

 残り16km地点のわずかな上り区間を利用して、セバスティアン・ラングフェルト(オランダ、キャノンデール・ドラパック)とポール・マルテンス(ドイツ、ロットNL・ユンボ)がアタックした。メイン集団に5秒ほどの差を開いたものの、残り13.5km地点で吸収される。

 すると、今度はカウンターでトニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)が飛び出した。集団からわずかなリードを築いたまま、最後のサーモンヒルの上りに差し掛かった。

 集団後方では、またもや落車が発生し、イェンス・クークレール(オリカ・スコット)を含むベルギーの選手が2人巻き込まれてしまう。ベルギーのエース、グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(BMCレーシングチーム)にとっては、最終局面で貴重なアシストを失う痛恨の事態となった。

 最後の仕掛けどころであるサーモンヒルで、満を持してジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)が動く。抜群の切れ味のアタックを仕掛け、ライバルたちを一気に突き放した。

完璧なタイミングのアタックで、抜群の切れ味を見せたジュリアン・アラフィリップ Photo : Yuzuru SUNADA

 ところが、メイン集団からモズコンがブリッジをかけ、先頭のアラフィリップを捉えた。2人は10秒ほどのリードをもって、サーモンヒルからのダウンヒルへと入った。

 一方で、メイン集団では優勝候補にあげられていた地元ノルウェー出身のエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ディメンションデータ)が脱落してしまった。

サガンが僅差の勝負を制し3連覇

 アラフィリップとモズコンはともに独走力の高い選手であり、勝ちパターンに持ち込む完璧なレース展開となっていた。サーモンヒルでバラバラになったメイン集団は、組織だって先頭を追いかける力が残っていないように見えた。

 ところが、ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チーム スカイ)とルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)が集団から抜け出して、追走グループを形成。アラフィリップたちとの間に、わかりやすい目標ができたためか集団はペースアップ。さらに、先頭にブリッジをかけようとする選手がいたことで、どんどんペースが上がり、アラフィリップたちを吸収することに成功した。

 再び一塊となった集団からは、マグヌス・コルトニールセン(デンマーク、オリカ・スコット)が飛び出した。コルトニールセンが先頭でラスト1kmのアーチを通過。数秒差で追いかけるメイン集団の先頭はアルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック)が牽引していた。残り500mでコルトニールセンを捉えるも、ベッティオールはリードアウトを続行。残り200mまで牽くと、2番手につけていたアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)がスプリントを開始。

 ずっと集団内で息を潜めていたサガンがクリストフの番手につけており、残り50mでクリストフの横に並ぶと、最後はサガンがわずかに先着。この瞬間、前人未到の世界選手権3連覇の偉業が成し遂げられた。

ハンドルを投げ出してフィニッシュするサガン。クリストフとはホイール3分の1ほどの僅差だった Photo : Yuzuru SUNADA

 レース後のインタビューでサガンは、「この勝利を明日が誕生日だったミケーレ・スカルポーニに捧げたい。次に私の妻と、生まれてくる赤ちゃんに捧げたい。とても素晴らしいシーズンの締めくくりとなって、非常にハッピーだ」と語っていた。

兄・ユライと抱き合って喜び合う、弟・ペテルのサガン兄弟 Photo : Yuzuru SUNADA
アルカンシェルをアピールするペテル・サガン Photo : Yuzuru SUNADA

 春のクラシックでは、激しいマークや不運なメカトラもあって、モニュメントでは未勝利に終わった。ツール・ド・フランスでは、不可解なジャッジによってレース追放となってしまい、マイヨヴェール6連覇を逃す。最後の最後で、一番守りたかった栄光のマイヨ・アルカンシェルに再び袖を通すことができた。

 3位にはマイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)が入ったが、レース終了直後は悔しそうな表情を浮かべていた。そして、新城幸也は最終周回までメイン集団内で走行し、最後は2分32秒遅れの47位で完走を果たした。

終盤までメイン集団に残る、持ち前の粘り強さを発揮した新城幸也 Photo : Yuzuru SUNADA

男子エリート結果
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 6時間28分11秒
2 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) +0秒
3 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)
4 マッテーオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)
5 ベン・スウィフト(イギリス、UAE・チームエミレーツ)
6 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)
7 ミカエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)
8 フェルナンド・ガヴィリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)
9 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム)
10 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)
11 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)
31 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) +1分4秒
47 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +2分32秒

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