ツール・ド・モルッカ第3ステージキナンのリカルド・ガルシアが山頂フィニッシュを制しステージ優勝

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 キナンサイクリングチームが出場しているインドネシアでの5日間のステージレース、ツール・ド・モルッカは9月20日に第3ステージが行われた。今大会唯一の山岳頂上フィニッシュが設けられたステージで、キナン勢がレースを完全掌握しリカルド・ガルシア(スペイン)が“予定通り”のステージ優勝。トマ・ルバ(フランス)も同タイムの3位に続いた。ガルシアは山岳賞を、キナンはチーム総合で首位をキープしている。

今大会唯一の山頂フィニッシュを制したリカルド・ガルシア。トマ・ルバも3位に続いた Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 前日の第2ステージは、当初は155.8kmで行われる予定だったが、選手輸送のバスのトラブルの影響で大幅に距離が短縮された。第3ステージは第2ステージのルートをほぼ逆走するコース設定。大きな違いとしては、フィニッシュ直前の2.2kmが急坂となっている点。平均勾配7%、場所によっては 10%を超えようかという厳しい上りが待ち受ける。一気に駆け上がった先は、空港内に設けられるフィニッシュラインとなる。

レースの前に地元サイクリストとのファンライドが実施された。スタートまでの間、選手たちはリラックスして過ごす Photo: Syunsuke FUKUMITSU
スタート地点に人々が押し寄せ大混乱に Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 今大会のクイーンステージとも目される1日を迎えるにあたり、チームは個人総合で2位につけるジャイ・クロフォード(オーストラリア)の順位アップを意識しつつ、ステージはガルシアで狙うことを確認。個人総合4位につけるルバも逃げを狙うなど、先手の攻撃をしていくことを心掛けた。

序盤の上りから積極的にレースを展開。リカルド・ガルシアとトマ・ルバがペースを上げる Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 そのもくろみ通り、序盤はルバがリードする。8.7km地点に設けられた4級山岳の上りで集団から飛び出し、これを追った選手たちと合わせ7人ほどの逃げグループを形成。だが、これは直後の下りで集団のペースが上がったこともあり、平坦区間に入る頃には吸収されてしまった。代わって集団から抜け出した5人の動きが容認された。

 メイン集団に待機したキナン勢は、個人総合で首位に立つマーカス・クレイ(オーストラリア)擁するセントジョージコンチネンタルとともに、ペースコントロールを開始。椿大志と阿曽圭佑の2人を前方に送り込み、集団を牽引した。

 その間、逃げグループとメイン集団とのタイム差は1分台で推移。最大でも1分40秒差と、先頭をゆく5人を完全に泳がせている状態にとどめた。集団では、チーム力に勝るキナン勢がコントロールする時間が次第に長くなり、椿や阿曽が絶妙なペースで距離をつめた。

椿大志が集団を牽引する Photo: Syunsuke FUKUMITSU
キナンサイクリングチームがコントロールするメイン集団 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 逃げグループは1人また1人と脱落していき、それとともにメイン集団とのタイム差が縮小。終盤に入り、労せず逃げていた選手たちをすべて吸収した。

ジャイ・クロフォード、阿曽圭佑、トマ・ルバがまとまって下る Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 最後の上りは、傾斜が急なうえに道幅も狭いことから、上り口で好ポジションに位置することが上位進出のポイントとなった。椿と阿曽が集団前方を確保し、ルバ、クロフォード、ガルシアも2人に続き、フィニッシュへと向かう状況を整えた。

 上位争いが始まると、総合順位のアップを狙ったクロフォードが後方へと下がったものの、ガルシアとルバは順当に前方へ。ライバルチームに対し数的優位な状態で最終局面を迎えた。

リカルド・ガルシアの下り Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 急斜面を過ぎ、ラスト1kmは少しの下りと緩斜面。登坂力とスピードに長けた選手が有利となった。ここで実力を発揮したのがガルシア。ルバのアシストを受けながら、得意とする少人数での上りスプリントに勝利。頂上フィニッシュを制し、8月に誕生したばかりの愛息に捧げるうれしいステージ優勝になった。また、ルバも3位に続き、ワン・スリーフィニッシュを達成した。

走り終えたキナンの選手たちが勝利を喜び合う Photo: Syunsuke FUKUMITSU
ステージ上位3選手の記念撮影 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 優勝争いの後ろで粘ったクロフォードは、リーダージャージのクレイと同じ集団でフィニッシュ。前半からアシストで貢献した阿曽と椿も頂上へと到達した。

 終盤こそ個々の登坂力勝負となったが、そこの至るまでの過程でもレースをコントロールし、キナンが完全掌握した1日となった。このステージまでを終えて、ガルシアの山岳賞とチーム総合での首位は変わらず。クロフォードも個人総合2位をキープしている。

 21日に行われる第4ステージは、マソヒからワイピリまでの153.8km。カテゴリー山岳こそ中盤に控える4級のみだが、前半に長い上り基調の区間があるなど、コースレイアウトがレース展開に反映されることも考えられる。キナンを含め、大会後半のチャンスをうかがうチームが積極的にレースを動かすことになりそうだ。

■リカルド・ガルシアのコメント

「最後の上りの入口で椿さんと阿曽さんが前方を確保してくれたので、ベストなポジションで上ることができた。急勾配でもペースを落とすことなく、ステージ優勝に向けて走ることができたのは幸運だった。韓国人選手のチェックも厳しかったが、得意のシチュエーションでスプリントができ、勝ちにつながった。久々のレースだが、感覚にはまったく問題がない。トレーニングは継続していたし、調子は良かった。何より、わが子の存在が力になったね。勝ったことを真っ先に報告したいと思う」

■ツール・ド・モルッカ第3ステージ結果(153.8km)
1 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) 3時間49分13秒
2 パク・サンホン(韓国、LX サイクリングチーム) +0秒
3 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) +0秒
4 ダディ・スリャディ(インドネシア、トレンガヌサイクリングチーム) +3秒
5 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +13秒
6 アイマン・カヤディ(インドネシア、トレンガヌサイクリングチーム) +13秒
8 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) +15秒
43 阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム) +2分15秒
44 椿大志(キナンサイクリングチーム) +2分25秒

■個人総合時間賞
1 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル)10時間2分4秒
2 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +5秒
3 ジェシー・イワート(オーストラリア、セブンイレブン・ロードバイクフィリピンズ)+9秒
4 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) +6分21秒
5 ジャマル・ヒバトゥラー(インドネシア、KFC サイクリングチーム) +6分43秒
6 アイマン・カヤディ(インドネシア、チーム サプラサイクリング) +6分44秒
8 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +8分14秒
34 阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム) +10分45秒
35 椿大志(キナンサイクリングチーム) +10分52秒

■ポイント賞
1 アクマイ・ハキーム・ザカリア(マレーシア、チーム サプラサイクリング) 18 pts
2 マーカス・クレイ(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 17 pts
3 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) 16 pts
4 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) 15 pts
10 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) 9 pts
18 椿大志(キナンサイクリングチーム) 5 pts

■山岳賞
1 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) 10 pts
2 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) 7 pts
5 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) 2 pts

■チーム総合
1 キナンサイクリングチーム +30時間21分26秒

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