マトリックスが表彰台独占フェルナンデスが2度目のツアー勝利 Jプロツアー第15戦「秋吉台カルストロードレース」
日本最高峰のロードレースシリーズ「Jプロツアー」第15戦「第1回 JBCF 秋吉台カルストロードレース」が9月15日、山口県美祢市にある秋吉台カルストロードで開催され、アイラン・フェルナンデス(スペイン、マトリックスパワータグ)が優勝。チームメートの佐野淳哉、ホセビセンテ・トリビオ(スペイン)も同時にフィニッシュし、表彰台をマトリックスパワータグが独占した。ツアーリーダーのルビーレッドジャージはトリビオが守っている。
マトリックスがレースを掌握

レースが開催された秋吉台カルストロードは、日本最大級のカルスト台地。なだらかで見晴らしがよい丘陵地帯が広がっている。一般公道を使用した周回コースは一周29.5kmと国内では最長クラス。コース終盤、残り2km付近からは平均12%の上りが続き、最大斜度28%の通称“カルストベルグ”が選手たちを待ち受ける。レースは4周回、全118kmで争われた。
当日は雨がパラつき、選手たちはウインドブレーカーやベストなどを着用した状態でスタート。気温も20℃を切った。レースは序盤からハイペースで進行。1周目から谷順成と白川幸希のヴィクトワール広島勢、トム・ボシス(フランス、東京ヴェントス)、米谷隆志(リオモ・ベルマーレ レーシングチーム)、佐藤信哉(VC Fukuoka・サイクルフリーダム)らクラブチーム勢も多く含まれる14人程の逃げ集団が形成された。
後方では雨で路面が濡れた影響でスピードが上がらない一方、厳しい上りでふるいがかかり、次々に選手が脱落するサバイバルな展開。余力を残すメイン集団先方に位置する選手らは、逃げ集団の背中を目掛けてブリッジを試みる。
一方の逃げ集団は佐野が強力に牽引し、逃げ集団からさらに飛び出す場面も。集団内では佐野のチームメート、田窪とフェルナンデスが次の動きへと待機している。積極的に動いたのは広島の白川。佐野のパワフルな上りにも遅れることなく食らえつく。インタープロの吉田悠人らと一時先行するも逃げの集団に吸収。後方のメイン集団と約1分差を保ち、レースを進めた。


さらに佐野がアタックを仕掛け、トリビオも続く。白川、馬渡、才田直人(リオモ・ベルマーレ レーシングチーム)、吉田、佐藤らが追走に向かうも、才田がパンクで脱落した。

マトリックスパワータグ勢が中心となった走りで6人まで絞られた先頭グループは、フェルナンデス、佐野、トリビオに加え、馬渡、白川、西尾勇人(那須ブラーゼン)のメンバーでフィニッシュを目指す。後方の追走集団では鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)が合流の機会をうかがい、馬渡に先頭を引かないようチームカーから指示が飛ぶが、マトリックスパワータグトリオがペースを緩めず、後方との距離はつまらない。残り1周の鐘がなる頃には追走の力が弱まり、勝負は6人に絞られた。
先頭では佐野がペースを上げ独走し、しばらくしてフェルナンデスが合流。マトリックス勢が盤石の態勢を整える。しかし、最終ラップ中盤にトリビオにパンクが発生。だが、素早く復帰したうえに前方の2人に追いつき、チームメート3人でフィニッシュを目指した。

ゴール地点に現れた3人はフェルナンデスを中心に手を取り合いながらフィニッシュ。フェルナンデスが先着し、自身2度目のJプロツアー勝利を飾った。チームは佐野のタイムトライアルチャンピオンシップ優勝に次ぐ連勝。この日もレースを完全にコントロールし、優れたチーム力を見せつける形となった。4位には馬渡が入っている。


健闘したクラブチーム勢
5位に入り健闘した白川は、ことしE2からカテゴリーを上げ、ツール・ド・熊野からチームに合流した20歳。学生の白川は夏休みの2カ月間でチームの合宿所で練習を重ね、実力をつけたという。チームメートの谷も終盤まで先頭グループに喰らえつき、地元チームの意地をみせた。

また、横塚浩平が7位、米谷が9位に入ったリオモ・ベルマーレ レーシングチーム、トップ集団で動いた佐藤信哉(VC Fukuoka・サイクルフリーダム、)10位の松島拓人(なるしまフレンド)などクラブチーム勢が活躍。上位20人の半数以上がコンチネンタルチーム以外の選手となった。
ルビーレッドジャージはトリビオが守り、U23でランキングトップのピュワホワイトジャージは大前翔(東京ヴェントス)が守った。翌日に開催予定だったJプロツアー「山口クリテリウム」は台風の接近に伴い中止に。次戦は9月23日に開催する前橋クリテリウムとなる。