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セカンドキャリアはトレーナーを目指す「若手のためにアシストもする」 NIPPOを率いるダミアーノ・クネゴにインタビュー

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 22歳という若さでジロ・デ・イタリアを総合優勝し、数々のビッグレースでタイトルを獲得したダミアーノ・クネゴ(イタリア)。ワールドツアーチームで得た経験を若手に伝えるため、NIPPO・ヴィーニファンティーニに所属し、キャプテンとして、またアシストとしてチームの大黒柱を務める。キャリアの振り返り、また第二の人生についてクネゴにインタビューを行った。

単独インタビューに応じたダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Shusaku MATSUO

10年間で全てが変わった

――クネゴ選手から見たチームの活動内容を教えてください

2004年、22歳という若さでジロ・デ・イタリアを制し“マルコ・パンターニの再来”と称されたダミアーノ・クネゴ(イタリア) Photo: Yuzuru SUNADA

クネゴ:大きな資金と時間をかけて若手を育てるチームの一つ。日本の選手にとっても大きなチャンス。日本とイタリアの文化を併せ持つ今まで見たことない取り組みでしょう。個人的に思うのは、10年間で日本の自転車界は飛躍的に進化していると感じます。チームとしての目標は2020年の東京五輪。これからさらに若手を育てたいというのがチームの理念です。

――チームの印象は?

クネゴ:ワールドチームと比べて様々な面で違いがあります。例えばワールドチームはワールドツアーや大きなHCカテゴリーなどビッグレースに参加できますが、ニッポのようなプロコンチネンタルチームは大変な努力をしてレース出場権を獲得しなければなりません。チームもコンパクトでスタッフ含めて選手数も少ない。アットホームともいえますね。とても大きな違いです。

――規模が小さいチームは大変?

クネゴ:プロになってからは大きなチームにしか所属したことがありませんでした。現在、ニッポに所属し役割が変わってさらに広い視点で自転車業界を見ることができた。大小関わらずやるべきことというのは存在し、それを実行するだけ。デメリットということはありません。

――長年一線でサイクルロードレース業界を見てきた立場として、現在までの変化を教えてください

キャプテンとしてチームを支え、日本人の若手選手にもアドバイスを施す ©NIPPO Vini Fantini

クネゴ:全てが変わりました。まずスピードです。平均速度が飛躍的に速くなりました。機材が良くなったこともありますが、トレーニング方法が変わったことも一因ですね。全体的に選手のフィジカルレベルが非常に向上している。私は最先端のトレーニングをすべて体験してきました。新しいトレーニング、技術が出るたびに試しています。常に新しいことに挑戦しなければ選手生命が終わってしまう。過去に拘らず、次へ次へと進む姿勢はとても大事ですね。

――キャリアのなかでジロ以外で印象に残ってるレースを教えてください

クネゴ:2008年に優勝したアムステルゴールドレースと、2004年、2007年、2008年で勝ったジロ・ディ・ロンバルディアはよく覚えています。どちらもプロの選手にとって誇りに思うレース。なかなか勝てるものではありません。ことしのロンバルディアはフィニッシュ地点がコモ湖畔。優勝した時と同じなので縁起がいいですね。最終的なメンバーは大門監督が決めますが、出場できれば日本人選手にとってもいい経験になるでしょう。

――ジロ優勝からエースを任されることが多かったと思います。どういうキャリアを過ごしましたか

クネゴ:外からは見えてないかもしれませんが、実はアシストとしても走る機会は多かったです。例えば2007年の世界選手権ではイタリアのエースだったパオロ・ベッティーニのために走り、優勝に貢献しました。勝ち続けるための原動力や、キャプテンとしての立場を勉強できたレースです。

ツアー・オブ・チンハイレイク第6ステージの頂上ゴールを制したダミアーノ・クネゴ ©NIPPO Vini Fantini

――イタリア代表は各チームのエースクラスが招集されると思います。どのようにチームがまとまるのですか

クネゴ:まず、イタリアの監督の責任が重大で、結果を出すためにとても努力をする必要があります。メンバーの選出はとにかく繊細ですが、すべて監督が決めます。誰もが勝利を狙えるエースクラスの選手をまとめるのは大変でデリケートですが、監督の腕の見せ所。いまは元選手で国営テレビコメンテーターのダヴィデ・カッサーニ監督が重役を担っています。スペインは全員がキャプテンになりたがるから、いつも崩壊してるよね(笑)。イタリアは人間関係を見ながらうまく監督が統率を取り、選手はそれをリスペクトして従い、結果を目指します。

「自ら若手のアシストをしたい」と申し出たという Photo: Shusaku MATSUO

クネゴ:歳とともに意識が変わるもので、自らアシストをしたい考えています。若手の日本人選手にもっと知恵を与えたい。いまではもちろん勝てる脚と自信もあるけどね(笑)。アシストにはさまざまな形があります。レースで牽引するだけがアシストではありません。レースをリタイアした時の助言、振る舞いなど、レースの外でのアシストも重要なのです。世界選や、今までエース、キャプテンとして活動し、計り知れない経験を得ました。今のチームにも還元できていると思います。

執筆活動も開始

――セカンドキャリアを見据えていますか

クネゴ:現在、ミラノにあるサンラファエル大学でスポーツ科学の勉強をしています。世界中を飛び回るので時間がなく、通信制の学部で単位を取得しているところです。将来的にはパーソナルトレーナーとして活動をしたい。自転車はもちろんですが、スポーツ全般に関われるようになりたいですね。

自ら執筆した雑誌コラムを見せるダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Shusaku MATSUO

 最近、初めて執筆活動も始めました。アマチュア向けの「ビチツーリズモ」という雑誌でコラムを書いています。内容は「ダイエットと食事療法」についてです。内容は意味がない過激な減量をしないよう、健康的に痩せるためのもの。選手としての経験と、大学で勉強したスポーツ科学の知見を生かしています。医療関係者に確認も取り、内容に偽りがないよう注意しています。人体に関わる重要な責任を負ったものなので、思い込みに頼らず、より実用的なものになってます。

 セカンドキャリアのことも考えていますが、選手としての活動ももちろん頑張るべき。この世界で得られることは非常に大きい。いまは視野を広げるときです。2020年の東京五輪まで時間がない。チームとともに歩んでいきたいですね。

◇         ◇

 チームの大門監督はクネゴについて「若くして結果を出しても、輝き続ける選手は少ない。クネゴの場合、グランツール総合優勝を経験したのが10年以上前。同じ時代から第一線で活躍する選手はほとんど辞めていきましたよね。好奇心も旺盛で、若いときから変わらず、とても息が長い選手」と評価した。

9月3日に開催された「嬬恋キャベツヒルクライム」を走ったダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Shusaku MATSUO

 クネゴは9月3日に開催された「嬬恋キャベツヒルクライム」にゲストとして出場。コースを参加者とともに走り、リラックスした時を過ごした。次回、来日するのは10月20日から開幕するジャパンカップ。クネゴは「優勝経験もあり非常に楽しみなレース」と意気込んでいた。

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