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勝負はダムの上りではない!畑中勇介、高岡亮寛が伝授 達人に聞く「ツール・ド・おきなわの走り方」

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 “ホビーレーサーの甲子園”と称され、毎年11月に沖縄県本島の北部で開催される「ツール・ド・おきなわ」。公道をダイナミックに使い、国内最長の210kmから、140km、年齢で区切られる100km、50kmといった豊富な市民レースが魅力だ。全国のサイクリストの目標となるレースの走り方を、「おきなわ」の達人である畑中勇介(チームUKYO)、高岡亮寛(Roppongi Express)の2人に聞いた。

“おきなわの達人”の高岡亮寛(Roppongi Express)と畑中勇介(チームUKYO)にレース攻略法を聞いた Photo: Shusaku MATSUO

次に繋げられる最大限で

 全日本チャンピオンの畑中は昨年、国際レースの男子チャンピオンロードレースに出場。チームメートをアシストしつつ、9位でフィニッシュした。ジュニア時代から通算すると出場回数は10回を越え、昨年は合宿で60日間弱沖縄に滞在したという“おきなわマスター”だ。長距離レースに欠かせない補給の取り方や、地形の攻略法を答えてもらった。

沖縄県本島の北部を舞台に開催されるツール・ド・おきなわ (ツール・ド・おきなわ協会提供)

ーー補給食はどのタイミングで何を食べますか

畑中:210kmはめっちゃ長い! 140kmも100kmも市民レースでは長い方ですよね。ボトルがとにかく大事になります。スプリントポイントよりもです。補給地点でボトルを取るのはもちろんですが、背中のポケットに1本持参してもいいくらいです。

「ボトルや補給がとにかく大事!」と強調した畑中勇介(チームUKYO) Photo: Shusaku MATSUO

 150kmまでのレースだとジェルでOKかもしれませんが、食べた感触が脳に欲しくなるんです。よくプロのロードレースで見かけるパンを作ってみてもいいですね。バターロールを半分にして中身をくり抜き、ジャムやハチミツをたっぷり入れてアルミホイルで包む。固形物を“食べている感”って大事なんですよ。

ーー勝負どころを教えてください

畑中:ロードレース漫画「シャカリキ!」でも描かれていますが、勝負はダムの上りだけではありません。その先もアップダウンを含む80kmが続きます。一般的には80kmという距離だけでも普通のレースくらいの距離がありますよね。普久川ダムの上りでは“次に繋げられる最大限”で走ることが重要です。

ーー注意すべきポイントは?

集団内では常に余裕を持ち、体力を使ってもリスクを避けることが重要だという Photo: Naoi HIRASAWA

畑中:沖縄の路面は、晴れていれば全く問題ないのですが、雨の日は本当にスリッピー。空気圧を少し下げて走りましょう。また、体力を使ってでもリスクを避けることも大事。例えばバイパスから本部町に入る箇所は急に道が狭くなり、集団内の落車リスクが上ります。

 先頭にいることは理想ですが、前にいればいいというわけではありません。後方でもどう処理をするかを考えてください。余裕を持って走ることがとても重要です。

月に2000kmを目指そう

 市民210kmで2016年、2年連続、自身通算4度目の優勝を飾った高岡。普段は仕事の傍ら、朝や夜に練習を重ね今年も同カテゴリーで優勝を狙う。市民カテゴリーのコースや戦略を熟知した“最強のホビーレーサー”に、具体的な練習方法や機材選びのポイントを語ってもらった。

2016年に自身4度目の市民210kmカテゴリーを制した高岡 Photo: Naoi HIRASAWA

ーー補給に関して心がけていることは

高岡:210km、140kmで言えば前半はフラットな区間が多いですね。固形物は前半に、後半にはジェルを飲むことが理想。210kmは2回目の普久川ダムの上りまでにしっかり食べておきたい。常に前半から食べていればエネルギー切れの問題はないでしょう。私の場合は不足がないよう多めに持っていき、半分くらい食べるイメージです。ダムにある補給ポイントでは欠かさずボトルは受け取ります。

ーーコースの攻略ポイントを教えてください

高岡:テクニカルなコーナーはありません。しかし、スピード域が高い。差が出るポイントなので、できれば試走してコースの確認をするとともに、高いスピードに慣れることも重要でしょう。路面は雨が降るとダンシングで後輪が空転するほど滑りやすい。クリンチャーホイールであれば雨用のタイヤを現地に持って行き、その場で交換するのもアリですね。

ダムは勝負どころではなく、後半に険しいアップダウンがあるため脚を使わないように上るのがポイント Photo: Shusaku MATSUO

 ダムは勝負どころではありません。その先を意識して、淡々とクリアする方がいい。210kmの場合、1回目はみんな元気がいいですが、2回目をすぎるとアタックに対応できず大体動けなくなります。脚を使うポイントではないので、先頭で上り口に入り、体力を無駄にしない走り方がポイントかな。

ーー機材のオススメは?

高岡:距離は長いし、上りも下りもある。何かに特化したものよりもバランスを重視したほうがいいですね。私自身は快適なバイクが好き。210kmは競技時間が5時間を越えるので、何よりも疲れないのが1番です。

ーー練習方法のアドバイスはありますか

高岡:50km以外は比較的長いレースと言ってもいいので、最大出力のトレーニングはいりません。長い距離を乗り込むことと、アップダウンをこなす練習が必要です。上り坂で3分から5分の高強度のトレーニングを周回コースでできたら理想ですね。早くかつ長く、下りで脚を止めずに負荷をかけ続けること。下りで休まず、上りでアゲることを意識しましょう。

ーー高岡さん自身の練習方法を教えてください

高岡:私の場合は10月をとにかく集中して乗り込む月にします。昨年は仕事を休まず、3000km乗りました。3本ローラー使ってるから距離が正確ではないかもしれませんが、トレーニング時間でいうと月間84時間ほどです。その前の年は10月に2800km乗ったのですが、「これ以上は絶対無理」と当時は思いましたね。

 でも、経験の積み重ねもあり、何をしたら効率よく乗り続けられるかを考えてトレーニングを行ったところ乗れる距離が増えていきました。11月は流すだけ。そうすると10月の疲労が超回復で復活し、本番では踏めるようになります。

「ハードなトレーニングを積む価値のあるレース」と断言した高岡 Photo: Shusaku MATSUO

 月3000kmは難しくても月に2000kmを目指してみてはいかがでしょうか。私の場合はイベントをうまく活用し、距離と強度を稼ぎました。10月であればレース前日でも150km乗ったりもします。理想を言えば“ボリュームの中でもクオリティを追求すること”が大事。これだけ乗ると当然毎日100%の体調ではトレーニングができません。

 しかし、疲労のなかでもインターバルを試みる姿勢は持ち続けたい。「これ以上無理するとコンディションが下がってしまう」という一線はあるのですが、そのギリギリを攻めることでコンディションは上ります。

ーー高岡さんにとっての「おきなわ」の魅力とは?

高岡:「おきなわ」は“The ロードレース”。公道コースは壮大で、バイク審判が付き、補給を行い、上りも下りもある。色々なことが求められますが、そこに魅力があります。「ロードレースってこれだよね」と思う。こういったレースが増えるといいな。厳しいトレーニングを積んででも出場する価値があるレースです。

◇         ◇

 ツール・ド・おきなわは11月10日から12日の全3日間で開催される。激しい戦いが繰り広げられるレースカテゴリーをはじめ、島の魅力をサイクリングで感じる「沖縄本島一周サイクリング」や「やんばるセンチュリーライド」などのサイクリングカテゴリーも充実。すべてのサイクリストが目標にできる大会だ。

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ツール・ド・おきなわ ロードレース

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