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栗村修の“輪”生相談<109>「どういうホイールが練習輪として最適でしょうか?」

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 現在、自転車競技部に入っているものです。ロード歴は1年ほど、競技部歴は3カ月ちょい位です。

 現在、練習輪にシマノRS010というホイールを使っています。理由は完成車についてきた、頑丈、そこそこ重いということです。

 色々練習輪についても調べてみましたが、主に決戦用と同じものを使う、ミドルグレード(カンパのゾンダやフルクラムのレーシング3など)のホイールを使う、重い低グレードのホイールを使う、などです。他にも色々意見があると思いますが、どういうホイールが練習輪として最適でしょうか?

(女性)

 パーツのグレードに関するご質問はかなり頂いています。僕の回答の方向性は、高くなくても大丈夫、というものなんですが、そういう回答に対して予想以上の反応がありまして、機材について劣等感を感じていた人がこんなにいたのか、と驚いている次第です。

 とはいえ、メーカーや代理店、販売店の方々にとっては、僕の回答はあまり面白くないかもしれませんね。スミマセン。みなさま、もし稼げるようになったら、躊躇せず最高級品を買ってください!

 というわけで、今回はホイールについての話です。僕らの時代は、練習には重いクリンチャーを、本番では軽いチューブラー、という使い分けが定番でした。練習用ホイールは酷使しますから、頑丈で重いものがいいわけですね。もちろんパンク修理が簡単なクリンチャーです。他にも、僕らの世代には「大リーグ養成ギプス」的な発想、つまり普段から重いホイールで負荷を掛けていれば強くなるに違いない!というあまり根拠のないイメージがあった気がしますが、その点ではあまり効果はなかったかもしれません…。

 ところが、最近の選手はトレーニング用ホイールと本番ホイールに大きく差をつけることを嫌う傾向がありますね。これは、ホイールが進化したからだと思います。

 僕らの時代は、レース用だろうが練習用だろうが、アルミの手組みしかなかったので、今思えばですが、大した差はなかったんですよ。でも今は、まず素材からして違います。アルミホイールとカーボンホイールじゃ、ブレーキタッチも乗り心地も全然違うでしょう。重量もすごく違いますし、リムハイトが違えば風への耐性にも大きな差があります。

フルカーボンホイールの普及により「練習用ホイール」の考え方も変化 Photo: Yuzuru SUNADA

 これだけ違いが出ると、たとえば練習用にアルミホイール、レース用にカーボンディープリムホイールと使い分けた場合、乗り味が全然違ってしまいます。乗り味だけならまだいいですけど、ブレーキのタッチが変わるのは怖いですね。安全に関わりますから。練習用ホイールとレース用ホイールとで、大きな差をつけることにリスクがある時代になりました。

 とはいえ、高価なレース用ホイールを普段使いするわけにもいかないと思うので、僕は、レース用ホイールにできるだけ近い特性のホイールを普段使いすることをお勧めしたいですね。最近は廉価版のカーボンクリンチャーホイールも各社から出はじめていますから、そちらをチェックしてみてください。ゾンダやレーシング3などよりはちょっと高くなってしまいますが…。

 ところで、僕は冒頭で「稼げるようになったら最高級品を」と書きましたが、ホイールについては例外なんです。高いものほど良いとは限りません。その意味で、ちょっと特殊なパーツなんですね、ホイールは。

 コンポーネントの場合、105とデュラエース、好きなほうをあげる、といわれて105を選ぶ人はいないと思います。両方から好きの方を選べるなら、デュラエースを選ばない理由はないでしょう。

 でもホイールは違うんですよ。あえてハイエンドを避けて、ちょっと重いミドルグレードのホイールを選ぶ選手は、少なからずいました。その選手曰く、ハイエンドホイールは確かに軽いんですが、進まない感じがする、というんですね。

 たぶん、その選手の走り方にホイール(の剛性面などが)が合っていなかったんでしょう。あと、ホイールが軽すぎると平地で進まない、という選手もいますね。僕の経験上、トルクをかけるペダリングだったり、ダンシングを重視する選手は、多少重量を犠牲にしても、剛性を求めた記憶があります。ちなみに、僕もこのタイプでした。一方で、シッティングが多い選手は軽さを重視する傾向がありますね。

 したがって、ホイール選びは難しいんです。高いものがいい、とは限りません。こんなタイプの選手にはこれが良い!という方程式が存在しているわけでもないので、いろいろ乗ってみるしかありませんね。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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