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プロ8年目で大台突破へペテル・サガンがキャリア通算100勝に王手 勝利量産の歩みと次なるターゲットに迫る

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 現役の世界王者であり、あらゆる脚質のライダーがそろうサイクルロードレースのプロトンにおける最強ライダーの1人であるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)。8月13日に閉幕したUCI(国際自転車競技連合)ワールドツアー、ビンクバンクツアー(オランダ、ベルギー)でステージ2勝を挙げ、キャリア通算99勝に到達。大台のプロ100勝まであと1つに迫った。2017年だけでも10勝を挙げており、その勢いを見るに残る1勝も時間の問題だ。そこで、これまでの歩みを振り返るとともに、現役ライダー勝利数ランキングにも触れ、今後ターゲットとなる数字とサガンに続く選手たちを占ってみたい。

ビンクバンクツアー第7ステージ、おなじみのパヴェ「ミュール・カペルミュール」を上るペテル・サガン。キャリア通算100勝まであと1つに迫った =2017年8月13日 Photo: Kerckhoffs/Cor Vos © 2017

スプリントで勝利数を積み重ねる

 ビンクバンクツアーでは、7日に行われた第1ステージで勝利。勢いのまま、2日後の第3ステージで今大会2勝目をゲット。この瞬間、キャリア通算99勝に到達した。

ペテル・サガンのプロ初勝利はパリ〜ニース2010第3ステージ。終盤でアタックを決めての逃げ切りだった =2010年3月10日 Photo: Yuzuru SUNADA

 現在27歳のサガン。プロデビューは、2010年1月のツアー・ダウンアンダーだった。顔見せのピープルズ・チョイス・クラシックで逃げを打ち注目を集めると、第3ステージで3位。名所ウィランガ・ヒルが舞台となった第5ステージでも4位でフィニッシュしてみせる。当時19歳11カ月でトップシーンに躍り出たスピードスターに、誰もが将来の飛躍を確信したのだった。

 プロ初勝利は、ダウンアンダーから2カ月後のパリ~ニース第3ステージ。さらには第5ステージでも勝利を収めたが、ここでの2勝は、いずれも終盤にアタックを決めてのもの。プロ入りからしばらくは脚質を含めて、キャリアの方向性が注目されるところとなった。

 その後、スプリントや北のクラシックを主戦場とする今のスタイルを確立。一時期は「セカンドコレクター」と呼ばれたように、出場するレースでたびたび2位に終わることが続いたが、それを乗り越えると勝負強さに磨きがかかった。UCIロード世界選手権での2015年、2016年大会での連覇は、その最たる成果と言えるだろう。

 現在プロ8年目真っ只中のサガンだが、各シーズンの勝利数は以下の通りである。

ペテル・サガン シーズン勝利数

2010年 5勝
2011年 15勝
2012年 16勝
2013年 22勝
2014年 7勝
2015年 10勝
2016年 14勝
2017年 10勝

計 99勝
※2017年8月13日時点

 ちなみに、直近のビンクバンクツアーで100勝目に到達するチャンスも大いにあった。第4ステージではスプリントで4位に終わると、続く第5ステージではフィニッシュ直前でラルス・ボーム(オランダ、ロットNL・ユンボ)のアタックに屈し2位。第6ステージでは急坂でアタックを決めたかに見えたが、直後にパンクして後退。最終の第7ステージでは、ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)のアタックを許し、大会後半は苦杯の連続だった。最終的には総合7位で終え、大台突破は次戦以降に持ち越された。

現役ライダー勝利数ランキング 最多勝はあのスプリンター

 サガンの目前に迫った100勝。この数字がいかに偉大であるかを裏付けるデータをお届けしたい。

 現役ライダープロ通算勝利数ランキング。ここでの勝利数は基本的に、UCIワールドチーム(2014年までの呼称は同プロチーム)または同プロコンチネンタルチーム所属時に挙げた勝ち星(ステージレースの個人総合優勝含む)に限定され、同コンチネンタルチーム所属時の優勝はカウントされない(ただし、旧チームカテゴリーで行われた2008年シーズン以前のデータに関しては、レースの格付けによって同コンチネンタルチーム相当のチーム所属でもプロ通算勝利数に加算される)。

 現時点で、サガンの上を行く選手は2人しかいないのである。

現役ライダー勝利数ランキング 上位20傑

1 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) 145勝
2 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 140勝
3 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 99勝
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 91勝
5 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) 86勝
6 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 72勝
7 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) 67勝
8 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) 65勝
8 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) 65勝
10 トニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) 62勝
11 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ) 57勝
12 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 48勝
13 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) 46勝
13 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、モビスター チーム) 46勝
15 サーシャ・モドロ(イタリア、UAE チームエミレーツ) 45勝
16 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チーム スカイ) 44勝
17 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード) 43勝
18 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、UAE チームエミレーツ) 39勝
18 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 39勝
20 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー) 35勝

※参考:ProCyclingStats「Active riders victory ranking
※チームタイムトライアルでの勝利数は含まない
※各選手のチームは現所属
※2017年8月13日時点

ツール・ド・フランス2016第3ステージで優勝を争うマーク・カヴェンディッシュ(右から3人目)とアンドレ・グライペル(左から2人目)。2人が現役ライダー通算勝利数でトップを競っている =2016年7月4日 Photo: Yuzuru SUNADA

 圧倒的な勝利数で上位を占めるのは、長きにわたってトップスプリンターとして君臨するカヴェンディッシュとグライペル。かつてはチーム HTC・コロンビアでチームメートだった両者は、2011年以降ライバルとして数々の好勝負を繰り広げてきた。もちろん日々の努力やレースでの勝負強さに裏打ちされた勝利数であることは間違いないが、同時に好敵手として戦い続けていることも、いまに至る要素であるはずだ。

 その2人に続いて3位につけるのがサガン。カヴェンディッシュが32歳、グライペルが35歳、同様に100勝が射程圏内のバルベルデが37歳とベテランの域に入っている一方で、彼らより年齢の若いサガンは、順調であれば今後も勝ち数を伸ばし続けていくのは確実。100勝はあくまでも通過点で、現在のカヴェンディッシュやグライペルの勝利数にいずれ到達することも大いに考えられる。

 参考までに上位2人の通算100勝は、カヴェンディッシュがプロ7年目の2013年、グライペルが同10年目の2014年にそれぞれ到達している。

通算86勝を挙げるマルセル・キッテルも近いうちに「サブ100」を達成しそうだ =ツール・ド・フランス2017第10ステージ、2017年7月11日 Photo: Yuzuru SUNADA

 サガンに続く「サブ100(100勝予備軍)」に期待がかかるのは、こちらもトップスプリンターのキッテル。今年だけで14勝を挙げており、残るシーズンでどこまでサブ100に近づけるか。この勢いでいけば、来シーズンには通算100勝を迎える可能性が高い。ツール第1ステージでの落車負傷で戦線を離脱しているバルベルデも、けがが癒えてこれまでの強さが戻れば有力なサブ100候補となるだろう。

 なお、過去の名選手の勝利数はというと、エディ・メルクス氏(ベルギー)が133勝、マリオ・チポッリーニ氏(イタリア)が158勝。5度のツール制覇を誇るベルナール・イノー氏(フランス)は67勝という意外なデータもある。また、近年引退した選手だと、トム・ボーネン氏(ベルギー)が113勝、ファビアン・カンチェッラーラ氏(スイス)で75勝でキャリアを終えている。

100勝Xデーは秋のクラシックシーズンか

 話をサガンに戻したい。

 よほどのことがなければ、近々キャリア通算100勝に到達するとみられるが、その日がいつやってくるかが気になるところ。

 サガンはビンクバンクツアーを終えた直後、自身のウェブサイトとSNSを通じて次戦がグランプリ・シクリスト・ド・ケベック(カナダ、9月8日)、グランプリ・シクリスト・ド・モンレアル(同、9月10日)になると発表。ケベックは昨年、モンレアルは2013年にそれぞれ優勝しており、相性のよいレースにモチベーションも上々のよう。アップダウンが繰り返される周回コースが用いられるとあって、スピード・登坂力両面に富むサガンにはうってつけのレース。このどちらかが「Xデー」となるか。

 また、3連覇がかかるUCIロード世界選手権(ノルウェー・ベルゲン)が9月24日に控えており、世界王者の証であるマイヨアルカンシエル防衛を賭けて臨む一戦で大仕事をやってのけることもあり得る。

 しばらくは世界選手権に向けた調整に入る見通しのサガン。今後数週間の動向に楽しみが尽きない。

次戦をカナダでのUCIワールドツア2連戦に据えるペテル・サガン。その先のUCIロード世界選手権も含め、キャリア通算100勝到達の「Xデー」が迫っている Photo: Davy Rietbergen/Cor Vos © 2017

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