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栗村修の“輪”生相談<107>25歳男性「生まれながらの脚質は変えられないものでしょうか」

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 体格と脚質について教えて頂きたいです。おそらく私はクライマー体質だと思っています。166cm、51kgほどを10年くらい維持していました。維持といっても気を抜くと更に痩せてしまう、ガリガリ体質です。

 有名な峠の、自己ベストタイムを各々がアップしているサイトを見ても、自分のタイムは上位にきます。しかし、たくましい肉体への憧れもあり、実は平坦系の選手になりたいと密かに思っていました。そして、筋トレ、プロテイン、ガツ食いをして私史上最高の58kgまで到達しました。

 しかし、少し気を抜くとすぐに2~3kg落ちてしまいます。逆に、仲間内の平坦番長は、絞りたくても全然絞れないと言っています。これが、生まれながらの脚質というものでしょうか。筋肉をつけていくのは、簡単ではないと思いました。

 アンディ・シュレクはカンチェラーラのようにマッチョになれないし、カンチェラーラはアンディのようには絞れないということでしょうか。ちなみに、定説のように、平坦は速く、上りは遅くなりました。

(25歳男性)

 脚質変更ですね。結論を先に言ってしまうと、あるレベルまでならば後天的な努力で可能ですが、限界はある、となります。

 プロを見ると、肉体改造に成功した選手はいなくはないですが、極端な変化は難しそうです。アルベルト・コンタドールが大集団スプリントに勝つピュアスプリンターになるのはちょっと厳しいでしょうし、マルセル・キッテルが、ピレネーやアルプスでアタックするトップクライマーになるのも、まあ無理でしょう。

 プロのレベルになると、「強みを伸ばす」作業がメインになるのも理由です。「弱点を補う」のは、あくまで強みの邪魔をしないように、という程度です。弱点をどんなに鍛えても、勝てる水準にはならない。だから強みを伸ばすほうに力を入れる、ということなんでしょう。するとおのずから、生まれ持った性質に逆らわないようになる。質問者さんの場合なら、ヒルクライム能力を伸ばすことに集中するわけですね。食事に関しても同じで、食べてもなかなか太らない選手がいれば、逆に筋肉がつきやすく、体重が重くなりがちの選手もいます。

身長188cmで筋骨隆々の恵まれた体格のマルセル・キッテル。スプリントでは無類の強さを発揮するが山は苦手 Photo: Yuzuru SUNADA

 が、「たくましい肉体への憧れ」とあるように、強さだけの問題じゃないんですよね。人間には変身願望がある、あるいは隣の芝生は青い、というべきでしょうか。クライマーはスプリンターに、スプリンターはクライマーに憧れるのかもしれません。

 実は僕も瘦せ型でした。子供の頃はどちらかというと食も細いし、体のラインも細い。それがコンプレックスでしたから、質問者さんの気持ちはよーくわかります。でも、ヒルクライマーとして上を目指すならば、そういう体質のほうがいいんですよ。それは強みでもあります。

 ただ、補足をすると、ヨーロッパでトップレベルの選手を目指すならば、どちらかといえば、やはりすぐ太るタイプのほうが生き残りやすい気はしています。毎日毎日過酷なトレーニングを行い、いざレースになればホテルからホテルへの移動を繰り返し、雨でも雪でも走る、という職業がレーサーです。なんでも食べられて、すぐ栄養にできる体が必要なんですよ。クライマーだ、スプリンターだという以前に、です。

 ガンガン食べてどんどん筋肉がつく人が過酷なレースをして、さらにはここぞというところではダイエットで絞り、ちょうどいい。そんなところでした。ヨーロッパは。その上での、究極の「お餅屋さんの集まり(餅は餅屋)」という感じですね。

 質問者さんもご自身が持って生まれたクライマーとしての才能を最大化してみてはいかがでしょうか?

(編集 佐藤喬)

前夜祭で「『生』“輪”生相談」も
栗村さんが「伊豆大島 御神火ライド」にゲスト参加!

 9月10日(日)に伊豆大島で開催される、『Cyclist』初のロングライドイベント「伊豆大島 御神火ライド2017」に、栗村修さんがゲスト参加します。ライド前日の9日(土)は前夜祭も開かれ、栗村さんに直接質問できる「『生』“輪”生相談 in 伊豆大島」も行われる予定。またライド当日は栗村さんも、参加者の皆さんと共にコースを走ります。現在エントリー受付中です!

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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