ひこにゃんも困惑彦根城の堀に盗難自転車の不法投棄相次ぐ すでに80台超「誰が何の目的で…」

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 国宝の彦根城(滋賀県彦根市)が、世界遺産登録候補地の「暫定リスト」入りしてから今年丸20年。あとからリスト入りした候補地は次々と登録された。市があの手この手で打開策を図る中、ここへ来て思わぬヨコヤリが飛んできた。天守とともに城の顔でもある堀に自転車の不法投棄が相次いでいる。彦根城管理事務所では「一刻も早くやめてほしい」と訴えるが、いまのところ有効な防止策はない。彦根城を〝家〟にしている市の超人気キャラクター、ひこにゃんも怒っている? (産経新聞大津支局 濵田慎太郎)

彦根城の堀から引き上げられた不法投棄自転車彦根城の堀から引き上げられた不法投棄自転車

鎌倉に先越され

 彦根城は彦根藩主、井伊家の居城として江戸時代初期の元和8(1622)年に完成した。天守と櫓(やぐら)が国宝に指定されている。ほかにも城内にある庭園「玄宮園」や、天守を囲む堀が美しく、観光客の人気を集めている。

 彦根市彦根城世界遺産登録推進室によると、世界遺産登録のためには、国内候補地の一覧である「暫定リスト」に入る必要があり、彦根城は平成4年に神奈川・鎌倉とともにリスト入りした。しかし翌年、世界遺産に、同じ日本の城で、天守や櫓などが残る姫路城(兵庫県姫路市)が登録された。世界遺産を採択するユネスコには、「唯一無二の価値」という基準があるため、同じ日本の城である彦根城の登録が難しくなっているという。

 市は状況を打開するため、官民一体となって登録運動に取り組んでいる。

 昨年は、登録を審査する国連諮問機関・日本ICOMOS(イコモス)国内委員会を市内に招致し、魅力をアピール。さらに、市が支援する形で今年2月、「彦根ユネスコ協会」が設立され、個人や企業が会員になり、彦根城の魅力を市民に伝える講演会など地道な努力を続けている。

 しかし政府は、彦根城と同時に暫定リスト入りした鎌倉を、富士山とともに、来年の世界遺産委員会に推薦した。鎌倉では、彦根城と同じ「20年の悲願」達成に弾みがつき、「いよいよ登録を」と盛り上がっている。

 彦根市は再来年にかけていたが、政府は「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)を同委員会に推薦する予定だ。

泣きっ面に蜂

彦根城の堀から引き上げられる不法投棄自転車彦根城の堀から引き上げられる不法投棄自転車

 そんな中、今年に入り「泣きっ面に蜂」の出来事が起きた。

 「堀から自転車が見つかりました」

 こんな電話が彦根城管理事務所に入ったのだ。以前もごくまれに見つかることはあったが、今年は1月に14台、2月こそなかったものの、その後は毎月10台前後が見つかっている。不法投棄自転車は10月末までで合計81台にのぼっている。

 堀は天守を囲むように二重になっているが、投棄されているのは、外部から入りやすい一般道路に面した南東部の2カ所に集中している。ほとんどの自転車に故障箇所はなく、引き上げ後も乗れる自転車ばかり。大部分は防犯登録の番号から盗難自転車とみられ、何者かが堀沿いの道路を自転車に乗ってやって来て投棄していると推測される。

 捨てられている場所は水深約50~100cm。水の中に自転車が沈んでいるのがはっきりと分かる。

 彦根城は年間約80万人が訪れる滋賀県内有数の観光名所。不法投棄された自転車が景観を損ね、世界遺産登録推進にマイナスになる。

 管理事務所では、職員が1日数回パトロールしているが、朝は異常がなかったのに、昼に見つかったこともあり、白昼堂々と自転車を乗り付けて捨てるケースもあるとみられている。

 刑事上は、自転車の窃盗が適用できるほか、堀への投棄は廃棄物処理法違反(不法投棄)にあたる。同事務所は自転車が見つかるたびに滋賀県警彦根署に連絡しているが、同署は窃盗、不法投棄のいずれについても彦根城だけに限った問題ではないとし、特別な対策はとっていない。

ひこにゃんは…

 彦根市といえば、市のキャラクターで、ゆるキャラの代表格である「ひこにゃん」が有名。平成19年の「国宝・彦根城築城400年祭」に合わせて誕生。彦根城内で姿をみせ、観光客に愛嬌をふりまいている。

彦根市のゆるキャラ「ひこにゃん」(昨年12月撮影)彦根市のゆるキャラ「ひこにゃん」(昨年12月撮影)

 ひこにゃん効果で、彦根城そばで毎年秋に開かれている「ゆるキャラまつりin彦根」は今年、10月20、21の2日間で、国内外から過去最多の244体のキャラクターが参加。実行委員会によると、来場者は8万8千人に及び、経済波及効果は過去最高の約4億8000万円に達した。

 彦根市の人口は11万人あまり。市の一般会計当初予算は今年度約362億円だったから、その1%強を2日間で稼いだことになる。

 実はひこにゃんは誕生以来、彦根城を住民登録地としている。

 ひこにゃんを管轄している市観光振興課の担当者は自転車の不法投棄について「ひこにゃんなら、『そういうことはしないでね』と言うでしょう」。

 ひこにゃんの“家”で相次ぐ不法投棄。愛くるしいひこにゃんが怒り出さなければいいが…。

MSN産経ニュースwestより)

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