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門田基志の欧州XCマラソン遠征記2017<10>オーストリアで日本人ダウンヒラーと遭遇 世界に挑戦する同志たち

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 4日間にわたる厳しいステージレースを終えたマウンテンバイク(MTB)・クロスカントリー(XC)の門田基志選手(チームジャイアント)と、まな弟子の西山靖晃選手(焼鳥山鳥レーシング)が、オーストリアをあとにして次の目的地、北イタリアのドロミテを目指します。予定通りまっすぐ行動しないのがお約束の2人ですが、その“寄り道”で偶然にもワールドカップで走り終えたばかりの日本人ダウンヒラーたちとの嬉しい出会いがありました。

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ワールドカップを走り終えた九島勇気選手(写真左から2番目)、井本はじめ選手(右から2番目)ら日本のダウンヒラーたちと遭遇 Photo: Yasuaki NISHIYAMA

◇         ◇

レース期間中滞在していた宿を出発。次の目的地は北イタリアのドロミテ Photo: Motoshi KADOTA

 オーストリアのシュラトミングから北イタリアのドロミテの宿までの移動距離は300km弱。「Google先生」が4時間30分以上かかるというので、それに合わせて片付けを済ませ、出発した。が、リフト乗り放題のカード期限が今日までだったことに気付き、寄り道したい2人は山頂のカフェに「最後にカプチーノ飲みに行こう」ということに(言い出したのは僕です)。2人してステージレースで疲れた体を引きずり、牛歩のように動く。

 すると突然リフト乗り場で「こんにちは!」と日本語の挨拶をしてくるダウンヒラーのグループが!こんなオーストリアの小さな町で日本人?と思ったらワールドカップを走り終えた九島勇気選手(玄武/MONDRAKER)と井本はじめ選手(Sram/Santacruz)ご一行だった。このシュラトミングのMTBパークまでわざわざ走りに来たということで理由をたずねると、このMTBパークはDH界ではレジェンド的なコースとのこと。同じMTBでも種目が違うと分からないものだ。そのレジェンドコースを逆に上ったと伝えたら、皆、苦笑いを浮かべた。

世界を舞台に戦っている者どうし、分かち合える思いがある Photo: Motoshi KADOTA

 ゴンドラに乗っている間彼らと色々と話をし、世界を舞台に戦っている選手ならではの苦労や思いに共感することが多々あった。世界選手権はある意味目標であることには違いないが、世界のレースに挑戦し、海外遠征した延長線に存在するものであって、「世界に挑戦する」=「世界選手権」ではない。世界のレースで自分のポジションを確立した先に世界選手権があるのだと、皆、新たな遠征計画に夢を膨らませていた。

師弟の珍道中、再び

カプチーノを飲むだけのつもりが、思わぬ出会いにすっかり長居してしまった Photo: Motoshi KADOTA

 楽しい海外遠征組との交流も終わり、カフェでまったり…し過ぎて出発した頃には、まあまあギリギリの時間になっていた。到着予定時間18時(笑)。タイムアウトっぽいけれど「近くまで行けば3年目なので道は分かる」と余裕の2人は、僕の運転で高速なのか?一般道なのか分からない道をぶっ飛ばす。

 ココに来て西山と運転を交代。シビアな山道や街中を突破したので、あとは任せた(笑)って思ったら、ココから道のりで問題が発生。西山のiPhone7と僕のiPhone6sが違う道を示している…。どっちだ!?これが人間どうしならば師弟の関係は“鉄の掟”どおり僕の選んだ道を行く。が、性能重視の僕らは新しいスマホと、弟子の「行った事ない道で行きましょう!」という勢いのある言葉でiPhone7の案を採用。西山の案ではない(笑)とだけ書いておく。

携帯端末のおかげで海外遠征の質がかわった Photo: Motoshi KADOTA

 やはりGoogleマップは凄い!海外の田舎道で起こっている事故に寄る渋滞も赤ライン、工事区感なども表示し迂回ルートまで提示してくる。携帯端末がネットに繋がっていたらほとんどの事が出来る。おかげで数年前とは海外遠征の質が変わって来たように思う。

 快調に進んでいたが、どんどん道が細くなって来て1車線になっていった。さすがは西山iPhoneルートだ。1車線でもヨーロッパは甘くなく、90km~100kmが制限速度で、なぜか対向車は普通にコーナーでインカットしてきたりして危ない。

 さらにその後ブラインドコーナーを抜けるとヨーロッパ遠征最大の危機が! なんと前方から1台の車が猛スピードで逆走してきたのだ!思わず一瞬頭が日本に帰り、「おっと!こっちが逆走か!左車線に帰らないと」などと思ってしまうが、瞬時に頭を切り替えてクラクションを慣らす。間一髪で事故は免れた。

ジロ・デ・イタリアで総合優勝を果たしたトム・デュムランの名が道路に書かれていた Photo: Motoshi KADOTA

 突然西山が「地面に何か書いてますよ!」というので見てみると、ジロ・デ・イタリアのコースだった峠に「TOM」の文字が。総合優勝を果たしたトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)の「TOM」のようだ。しかし西山、危ないからお前は景色より運転に集中せい!

 この峠は僕らが走るマラソンシリーズのコースと平行して走っているので、もう勝手知ったる土地。コースのイメージをしながらほどなくして定宿の「Hotel Condor」に到着した。

定宿の「Hotel Condor」に到着。すっかり陽も暮れていた Photo: Motoshi KADOTA
3年目にもなると帰ってきた安堵感がある Photo: Motoshi KADOTA

 3年目ともなると、もはや「おかえり」という感じで迎えてもらえるのがありがたい。心身ともに疲れる移動日。その夜は帰宅するような気持ちで眠りについた。

<つづく>

門田 基志門田 基志(かどた・もとし)

1976年、愛媛県今治市生まれ。世界最大の自転車メーカー、ジャイアント所属のMTBプロライダー。選手として国内外のレースに参戦する一方、レース以外のサイクリングツアーも展開。石鎚山ヒルクライム、サイクリングしまなみなど数多くの自転車イベントを提案し、安全教室の講師やアドバイザーも務めるなど、自転車文化の発展に奔走している。

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マウンテンバイク 門田基志の欧州クロスカントリーマラソン遠征記

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