最後はステージ優勝で王座獲得に花キナンのトマ・ルバがインドネシアのステージレースで総合優勝 山本元喜が総合5位

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 インドネシア・フローレス島を舞台に6日間にわたって行われた「ツール・ド・フローレス」(UCIアジアツアー2.2)が7月19日に閉幕し、キナン サイクリングチームのトマ・ルバ(フランス)が、個人総合首位のリーダージャージを着用して最終第6ステージに臨み、総合上位の4選手によるスプリント勝負制してステージ優勝。個人総合優勝確定に花を添える快走となった。

ツール・ド・フローレス最終ステージ、トマ・ルバがバイクを投げ出しわずかな差で勝利 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

キナンがレースをコントロール

ホテルスタッフとのセルフィーに応じる山本元喜 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 今大会のキナンは、第1ステージで山本元喜のステージ3位に始まり、阿曽圭佑が大会中盤に山岳賞ジャージを着用、そして第4ステージでルバが個人総合首位となってからは、チームとして盤石の態勢でレースを展開してきた。

 フローレス島を東西に進んだ6日間。その最後を飾るのは、この島一番の都市であるラブハンバジョを目指す120.2km。前半2カ所のカテゴリー山岳を越えると、中盤に長いダウンヒルが待ち受ける。しばしの平坦区間を経て、今大会最後の山岳が大きな砦として立ちはだかる。頂上はフィニッシュまで31km。その後に下りと平坦とをこなし、フィニッシュを迎える。

チームロゴを貼り付けてご満悦のトマ・ルバ Photo: Syunsuke FUKUMITSU
各賞ジャージの選手たちがスタートラインにそろう Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 ルバがリーダージャージを獲得して以降、キナンはレースを完全にコントロール。メイン集団のペースを保ちつつ、勝負どころでルバを放つ作戦が奏功している。また、山本も個人総合6位につけており、状況に応じてルバのアシストに回りつつ、自身の総合成績も視野に入れて走る。

 この日もキナン勢がレースを掌握。まず、阿曽と中西健児を中心にメイン集団をコントロール。個人総合2位につけるアルヴィン・モアゼミ(イラン)擁するピシュガマンサイクリングチームもアシストを前方に送り込み、総合争いで危険性のない選手の飛び出しを容認しつつ、距離をこなしていった。

総合リーダーが意地のスプリント

 やがて、今大会最後の勝負どころとなる、この日3つ目のカテゴリー山岳の上りへ。ここまで順調にレースを運んできたキナンは、ジャイ・クロフォード(オーストラリア)を温存できていたことにより、この上りで重要な役割を任せられる状況となった。頂上まで残り4km付近でモアゼミがアタックするが、ルバが冷静に対処。テンポで追い上げ、2kmほど行ったところでモアゼミをキャッチ。さらに2人が加わり、先頭グループが形成された。

 その後方では、山本が単独で追走を開始。前の4人に追いつくことはできなかったが、それまで脚を貯めてきたクロフォードが合流。他チームから1人が加わり、3選手で第2グループを形成。主にジャイが牽引し、山本の個人総合順位のジャンプアップを狙った。急峻な上りはもとより、テクニカルな下りや粗い舗装が目立ったこの日のコースだが、大きなトラブルなく最終局面へと突入。快調に飛ばしたトマら先頭の4人は、そのままステージ優勝争いへと移った。

 ライバルとのタイム差から、無理をせずとも個人総合優勝の座は固くなったルバだったが、最後の最後で意地を見せる。残り約200mから始まったスプリント勝負でグングンと加速。タイヤ1つ分ほどの差をつけて、ステージ優勝を勝ち取った。

4選手によるスプリントフィニッシュ。リーダージャージのトマ・ルバが加速 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 今大会で最も強い選手であったことを走りで証明したルバは、しばらくして第2グループをキープしてフィニッシュへとやってきた山本、クロフォードとも喜びを分かち合った。さらに、アシストとして役割をまっとうした阿曽、中西もしっかりと完走。トマの勝利に大きく貢献した。

フィニッシュ直後の山本元喜 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
トマ・ルバがチームメートに勝利を報告。ジャイ・クロフォードとがっちり握手 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 この結果、ルバの個人総合優勝に加えて、この日ステージ5位に入った山本が総合順位を1つ挙げて5位に。さらにクロフォードも10位となり、3選手がUCIポイントを獲得した。加えて、各ステージのチーム内上位3選手のタイム合算で争われるチーム総合でもキナンが1位を獲得。最終の第6ステージでも3選手が上位でフィニッシュし、チーム力の高さを見せつけた。

 決して簡単なレースではない中で、改めて強さを発揮。2017年シーズン後半戦を見据えていくうえで、今後に勢いをつける最高の結果を残した。

個人総合の表彰。トマ・ルバが晴れてリーダージャージに袖を通した Photo: Syunsuke FUKUMITSU
チーム総合の表彰。チーム全員で登壇 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
戦いを終えた5選手が記念撮影 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

トマ・ルバ

 「毎日ハードなレースが続いた中で、チームが誇るクライマーをそろえてこれだけの戦いができた。個人的には、第1ステージでパンクもあって約3分の遅れとなったが、総合成績についてはステップ・バイ・ステップのつもりで日々のステージをこなしていった。最終的に勝利ができたし、ステージ勝利も得られて本当にパーフェクトだ。自分だけではなく、2人、3人と個人総合を狙って走ることができる状況を作り出したのも完璧だったし、よりレースを作りやすくしたとも感じている」

山本元喜

 「6月の全日本選手権にピークを持っていったにもかかわらず上手くいかず、そこから気持ちを切り替えて、自分が勝てる方法やよい結果に結びつける走りを考えながらこの大会を迎えた。トマの個人総合を守ると同時に、自分がチーム2番手の位置で走ることができ、その意味では勉強になった6日間だった。今までは集団を引く仕事や、逃げのチェックといった役割を担うことが多かったので、今回のように自分の成績を意識して走る機会になったことは、素晴らしい経験だった。上りの調子がよかったことも結果につながっている」

ジャイ・クロフォード

 「ツール・ド・フローレスは本当に美しいレースだね!トマが勝てて本当にうれしく思う。2月のツール・ド・フィリピンから一緒にレースをしてきた仲だし、この大会で勝てたことが何よりもうれしい。これまでの仕事が報われた瞬間だ。チームワークも素晴らしかったし、個人的にはキナン サイクリングチーム史上最高のレースだったとも感じている。その中に将来有望な日本人ライダーが含まれていることは喜ばしいことだ」

■ツール・ド・フローレス第6ステージ(120.2km)結果
1 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 3時間23分15秒
2 マルセロ・フェリペ(フィリピン、セブンイレブン・ロードバイクフィリピンズ) +0秒
3 アルヴィン・モアゼミ(イラン、ピシュガマンサイクリングチーム) +0秒
4 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、CCN サイクリングチーム) +0秒
5 山本元喜(KINAN Cycling Team) +2分34秒
6 ジェシー・イワート(オーストラリア、セブンイレブン・ロードバイクフィリピンズ)+2分35秒
7 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) +2分37秒
40 阿曽圭佑(KINAN Cycling Team) +12分39秒
56 中西健児(KINAN Cycling Team) +21分25秒

■個人総合時間賞
1 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 19時間38分21秒
2 アルヴィン・モアゼミ(イラン、ピシュガマンサイクリングチーム) +4分59秒
3 マルセロ・フェリペ(フィリピン、セブンイレブン・ロードバイクフィリピンズ) +8分11秒
4 ムハンマイマム・アルフィン(インドネシア、KFC サイクリングチーム) +10分14秒
5 山本元喜(KINAN Cycling Team) +13分1秒
6 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、CCN サイクリングチーム) +13分14秒
10 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナン サイクリングチーム) +18分4秒
26 阿曽圭佑(キナン サイクリングチーム) +44分45秒
43 中西健児(キナン サイクリングチーム) +1時間6分10秒

■スプリント賞
1 チョ・ヒョンミン(韓国、グムサンインサム・チェロ) 21pts
4 阿曽圭佑(キナン サイクリングチーム) 7pts

■山岳賞
1 エドガー・ノハレス(スペイン、セブンイレブン・ロードバイクフィリピンズ) 44pts
4 トマ・ルバ(フランス、キナン サイクリングチーム) 18pts
5 阿曽圭佑(キナン サイクリングチーム) 18pts
19 山本元喜(キナン サイクリングチーム) 2pts
21 中西健児(キナン サイクリングチーム) 2pts

■チーム総合時間賞
1 キナン サイクリングチーム 59時間25分55秒

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