カインズ流 ロードバイク生活を極めたい<1>「ソヴェール」を“店長専用”にセッティング コイツでどこまでも走りたい!

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カインズのオリジナル・ロードバイク「SAUVEUR」(ソヴェール)カインズのオリジナル・ロードバイク「SAUVEUR」(ソヴェール)

 ホームセンター「カインズ」が企画したお手頃価格のロードバイクでありながら、全国有数の過酷さで知られるサイクリング大会「まえばし赤城山ヒルクライム」に挑戦して3台が完走を果たした「SAUVEUR」(ソヴェール)。その実車が各地のカインズホーム、および系列の自転車専門店「カインズサイクルパーク」へ続々と入荷し、販売が始まっている。

 ただ、カインズサイクルパークの下元宣弘・統括店長は無念の日々を送っていた。腰痛のため、9月30日に開催された赤城山ヒルクライムへの出場を断念したからだ。せっかく入荷したソヴェールを見ても、赤城山ヒルクライムへ出場できなかった後ろめたい気持ちが心の片隅でモヤモヤしている。自信を持ってお客さんにお勧めしたいのに、商品から目をそらせてしまう自分がいる…。

 「僕もソヴェールに乗って大会を走りたい」。トレーニングを積んで、ソヴェールを乗りこなしていく覚悟はできている。「Cyclist」編集部は、そんな下元さんの相談にのることになった。

 11月のある日、筆者は埼玉県上尾市のカインズサイクルパーク上尾本町店を訪れ、下元さんの“大会デビュー”に向けて作戦を話し合った。

◇           ◇

自転車の整備に取り組む下元宣弘・統括店長 =埼玉県上尾市のカインズサイクルパーク上尾本町店自転車の整備に取り組む下元宣弘・統括店長 =埼玉県上尾市のカインズサイクルパーク上尾本町店
店内にズラリと並んだスポーツサイクルを紹介する下元さん店内にズラリと並んだスポーツサイクルを紹介する下元さん

 カインズサイクルパークは、東京・埼玉で5店舗を展開。自転車で気軽に風を感じてもらおうと、単なる自転車店にとどまらず、低価格で良質なオリジナル製品の企画・開発にも力を入れている。自社ブランドでのラインナップは、一輪車や三輪車から折り畳み小径車、クロスバイク、ロードバイク、バッグやアクセサリーにまで広がり、カラー展開も豊富。“パンクしにくいタイヤ”のシティサイクルなど特徴ある商品も人気だという。

「自転車で風を切る楽しみを気軽に感じてもらいたい」と話す下元さん「自転車で風を切る楽しみを気軽に感じてもらいたい」と話す下元さん

 そんなサイクルパーク5店舗のトップに立つのが、弱冠30歳の下元統括店長だ。悔しいけれど、部下の数は「Cyclist」編集長よりも全然多い…。

 下元さんがスポーツサイクルに乗り始めたのは6年前。当事流行していたピストバイクに魅せられ、その軽快な走りに感動したことがきっかけだった。シングルスピードのバイクを自分で組むなどして楽しんできたという。

 しかし昨年3月、カインズホームの店長代行から、新事業であるカインズサイクルパークの統括店長に抜擢され、趣味の自転車がとうとう仕事になった。その後はバイクの組み付けや整備を本格的に学び、小径車やロードバイクにも親しんでいるそうだ。

 とはいえ、ヒルクライムなど本格的なサイクリング大会への出場経験は皆無。自社ブランドのバイクで赤城山を完走した部下の姿を見て、「自分も何とかしなければ…」と焦燥感に駆られている。

 ただし、腰痛が厄介だ。就職した直後、お店で足場を持ち上げようとして傷めた腰は、今なお調子が悪くなることがあるという。この“爆弾”とうまく付き合い、痛みを誘発しないように自転車を楽しむことも課題となる。

自転車の整備に取り組む下元さん自転車の整備に取り組む下元さん

 下元さんと話し合った結果、まずは来年春ごろにロングライドなどのサイクリングイベントを経験し、さらに精進を重ねて、秋の赤城山ヒルクライムを目指すことにした。ほぼ1年がかりの計画だが、その間にトレーニングによって体力をアップさせたり、ソヴェールを乗りこなしたり、マシンのパーツを交換して性能を向上させたりすることができる。ビギナーが厳しいレースに挑むにはちょうどいい準備期間となりそうだ。

◇           ◇

店舗からサイクリングへ向かう下元さん店舗からサイクリングへ向かう下元さん

 手始めに、下元店長と一緒にソヴェールをじっくり観察し、セッティングをきっちり出していくことにした。

 自分の体の大きさや乗り方に合わせてセッティングを調整することは、スポーツサイクルを楽しむ基本中の基本。特に、上半身が窮屈なフォームになってしまうと腰痛を誘発しやすいため、下元さんにとっては重要なポイントとなる。

白をベースに精悍なカラーでまとめられた「ソヴェール」白をベースに精悍なカラーでまとめられた「ソヴェール」
偏平加工された“エアロ仕様”のアルミ製ダウンチューブ偏平加工された“エアロ仕様”のアルミ製ダウンチューブ

 以前の記事でも紹介したが、ソヴェールの販売価格はわずか4万9800円。ロードバイクの小売市場では最も安価な部類に入るだろう。しかし、フレームは軽量なアルミ製で、変速や駆動系のパーツはシマノ2300シリーズ、ブレーキアーチはテクトロ製を採用。ホイールにはアレックスリム社のリムを用いている。つまり、主要な部品を名の知れたブランド品で固めており、一定の耐久性と信頼性を担保しているのだ。

駆動系パーツはシマノで統一駆動系パーツはシマノで統一
デュアルコントロールレバーもシマノ製。変速位置を示すインジケーターを内臓しているデュアルコントロールレバーもシマノ製。変速位置を示すインジケーターを内臓している
シートステーとチェーンステーが湾曲し、乗り心地の向上に寄与しているシートステーとチェーンステーが湾曲し、乗り心地の向上に寄与している

 注目したいのは、フレームのディティールだ。ヘッドからクランク部分へとつながる「ダウンチューブ」は、空気抵抗が少なくなるよう偏平加工が施されている“エアロ仕様”。また、サドル部分から後輪の軸を結ぶ「シートステー」と、クランク部分から後輪の軸を結ぶ「シートステー」にはクネクネと湾曲加工が施されている。衝撃を和らげて乗り心地を良くする狙いがあるとみられる。

 これらの工夫は、1台数十万円もするヨーロッパの高級ロードバイクに通ずる仕様であり、それをソヴェールの価格で実現した意欲は評価に値する。「自転車をフレンドリーな存在にしたい」というカインズの願いが込められた1台だ。

 タイヤはノーブランドだが、意外にも路面のグリップ感がしっとりしていて操縦しやすい。筆者はまえばし赤城山ヒルクライムの実戦で使用したが、不安なく走行できた。アルミ製のハンドルもノーブランドとはいえ、握りやすいアナトミック形状になっている。

ソヴェールの乗り心地を確かめる下元店長ソヴェールの乗り心地を確かめる下元店長
ソヴェールで軽快に走る姿が楽しそうな下元さんソヴェールで軽快に走る姿が楽しそうな下元さん

 いざ、実走へ! 店舗の周辺を走る下元さんは、気持ち良さそうだ。ロードバイク歴が浅いとはいえ、ほぼ同じフォームで乗車するピストバイクに慣れ親しんでいるため、フォームはなかなか堂に入ったもの。ペダリングも軽やかだ。数十分ほどで走り終えて戻ってくると、「コイツでどこまでも走りたいですね」と満足そうな笑顔で語った。

 ただ、元バスケットボールの選手で、身長が183cmもある下元さんにとって、標準仕様のままではハンドルが少し近い。調整のため、ハンドルステム(ハンドルを支える支柱のような部品)をより長いものに交換する必要がある。

 下元さんと相談した結果、次回までにステムを適切なサイズへと交換することに。また今後は、シューズをペダルに金具で固定する「ビンディングペダル」を取り付けて、よりスポーティーな走りを志向していくことにした。

 目指すは来年秋のヒルクライム大会。待ってろ、赤城山! 熱血店長の挑戦は始まったばかりだ。

(文・写真 上野嘉之)
「カインズサイクルパーク」ホームページ


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