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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<214>2017年の各国ロード・チャンピオンが決定 主要な海外の選手権を総まとめ

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 例年6月の最終週末は多くの国でロードの国内選手権が開催される。時節柄、直後に控えるツール・ド・フランスの開幕が気になるところではあるが、同時に誰が、国内選手権者のみが着られるチャンピオンジャージに袖を通すかも押さえておきたい。そうすれば、ツールに限らず、その先のレースでもチームメイトとは異なるスペシャルなジャージを着てレースに臨む選手に注目しやすいはず。今回は、主要国の国内選手権に目を向け、各国チャンピオンを一覧としてまとめていく。

6月25日に開催されたイタリア選手権ロードレースで優勝したファビオ・アル。亡きチームメート、ミケーレ・スカルポーニのジャージを着ての激勝だった ©BettiniPhoto

アルはスカルポーニのジャージで勝利

 2017年シーズンの国内選手権男子エリート部門は、多くの国で6月21~23日のいずれかに個人タイムトライアル(TT)を、25日にロードレースを実施。日本も同様のスケジュールで両種目を行った(23日個人TT、25日ロードレース)。

 国内チャンピオンに輝くと、国旗やその国のイメージをモチーフとしたチャンピオンジャージが手に入り、翌年の国内選手権まで着用が義務付けられる。どんなに実績や経験が豊富な選手と言えども、年に1人しか獲得できないスペシャルジャージに袖を通すことは容易ではなく、一度も手に入れることなくキャリアを終える選手がほとんど。それくらいレアであり、偉大なジャージであるのだ。

 そうして行われたチャンピオン決定戦。イタリアでは、ファビオ・アル(アスタナ プロチーム)が後続に40秒差をつける快勝。地元サルデーニャ島開幕に燃えていたジロ・デ・イタリアを、トレーニング中の負傷で直前キャンセル。失意の日々を過ごしたが、ここへきて復調をアピール。さらに、このレースでは、4月22日のトレーニング中に事故に遭い命を落としたミケーレ・スカルポーニ(イタリア)のジャージを着用。シーズンイン直前にジャージ交換をしていたといい、その時のものを着ての大勝利となった。

スペイン選手権ロードレースはヘスス・エラダが逃げ切り勝利 Photo: Movistar Team

 スペインでは、ヘスス・エラダ(モビスター チーム)が逃げ切り勝利。フランスでは、アルノー・デマール(エフデジ)がナセル・ブアニ(コフィディス ソリュシオンクレディ)とのライバル対決を制して2度目の王座獲得。ベルギーでは、進境著しいクラシックハンターのオリバー・ナーセン(アージェードゥーゼール ラモンディアル)が5人でのスプリントに勝利し初優勝。オランダでは、ラモン・シンケルダム(チーム サンウェブ)が有力スプリンター同士の対決をモノにし、こちらも初優勝となった。

好調のボーラ・ハンスグローエ勢。ドイツではマークス・ブルグハート(左)とエマヌエル・ブッフマンがロードレースでワンツーフィニッシュ © BORA - hansgrohe / Stiehl Photography

 ツールを前に各選手が好調な走りを見せているボーラ・ハンスグローエ勢も活躍。ドイツではマークス・ブルグハートとエマヌエル・ブッフマンが、スロバキアではユライとペテルのサガン兄弟が、オーストリアではグレゴール・ミュールベルガーとルーカス・ポストルベルガーがそれぞれワンツーフィニッシュ。

 アル、エラダ、デマール、ナーセン、シンケルダム、ブルグハート、サガン兄弟はいずれも7月1日開幕のツール・ド・フランスへの出場が決まっている。色とりどりの、そしてデザイン性に富んだ各国チャンピオンジャージがツールで躍動する。

ツール初日はTT王者にも注目を!

 開幕迫るツールだが、第1ステージはドイツ・デュッセルドルフでの14km個人TT。そう、ロードと同様に個人TTの各国チャンピオンを目にすることもできるのだ。

スティーヴン・カミングスはイギリス選手権ロードと個人TTの2冠を達成 Photo: British Cycling

 ツール出場組では、ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)、スティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)、トニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)、ホナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター チーム)、イグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、エフデジ)が優勝。このうち、カミングスとコノヴァロヴァスはロードとの2冠を達成している。

 個人タイムトライアルのチャンピオンジャージは、着用機会が限られているだけに、貴重な機会に彼らの姿をしっかりとチェックしておきたい。

主要国国内選手権者一覧

 表記はロード/個人タイムトライアルの順。

【イタリア】 ファビオ・アル(アスタナ プロチーム)/ジャンニ・モスコン(チーム スカイ)
【スペイン】 ヘスス・エラダ(モビスター チーム)/ホナタン・カストロビエホ(モビスター チーム)
【フランス】 アルノー・デマール(エフデジ)/ピエール・ラトゥール(アージェードゥーゼール ラモンディアル)
【ベルギー】 オリバー・ナーセン(アージェードゥーゼール ラモンディアル)/イヴ・ランパールト(クイックステップフロアーズ)
【ノルウェー】 ラスムスフォッサム・ティレル(ヨーケル・イコパル)/エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ディメンションデータ)
【ドイツ】 マークス・ブルグハート(ボーラ・ハンスグローエ)/トニー・マルティン(カチューシャ・アルペシン)
【イギリス】 スティーヴン・カミングス(ディメンションデータ)/スティーヴン・カミングス(ディメンションデータ)
【オランダ】 ラモン・シンケルダム(チーム サンウェブ)/トム・デュムラン(チーム サンウェブ)
【アメリカ】 ラリー・ワーバス(アクアブルースポーツ)/ジョーイ・ロスコフ(BMCレーシングチーム)
【ロシア】 アレクサンドル・ポルセフ(ガズプロム・ルスヴェロ)/イルヌール・ザカリン(チーム カチューシャ・アルペシン)
【スロバキア】 ユライ・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)/マレク・チャネツキー(アンプラッツ・BMC)
【ルクセンブルク】 ボブ・ユンゲルス(クイックステップフロアーズ)/ジャンピエール・ドリュケール(BMCレーシングチーム)
【アイルランド】 ライアン・マレン(キャノンデール・ドラパック)/ライアン・マレン(キャノンデール・ドラパック)
【スイス】 シルヴァン・ディリエ(BMCレーシングチーム)/シュテファン・キュング(BMCレーシングチーム)
【チェコ】 ゼネク・スティバル(クイックステップフロアーズ)/ヤン・バルタ(ボーラ・ハンスグローエ)
【デンマーク】 マッズ・ペデルセン(トレック・セガフレード)/マルティン・トフト(BHS・アルメボルボーンホルム)
【ポーランド】 アドリアン・クレック(CCCスプランディ・ポルコヴィツェ)/ミカル・クウィアトコウスキー(チーム スカイ)
【ポルトガル】 ルーベン・ゲレイロ(トレック・セガフレード)/ドミンゴス・ゴンカルベス(RP・ボアビスタ)
【オーストリア】 グレゴール・ミュールベルガー(ボーラ・ハンスグローエ)/ゲオルク・プライドラー(チーム サンウェブ)
【リトアニア】 イグナタス・コノヴァロヴァス(エフデジ)/イグナタス・コノヴァロヴァス(エフデジ)
【日本】 畑中勇介(チームUKYO)/西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)

今週の爆走ライダー−ダミアン・ホーゾン(オーストラリア、オリカ・スコット)

「爆走ライダー」とは…

1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシスト や逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 このほど発表された、オリカ・スコットのツール・ド・フランスメンバー。名簿に記された9人の中に、初出場を決めたホーゾンの名もある。「昨年の12月にはツール出場の可能性があると思っていたけど、すべてがスムーズにいくとは思っていなかった」と、緊張感のある日々を送っていたことを打ち明け、念願のツールメンバー入りにホッと胸をなでおろす。

オールラウンダーとしての実力を着々と伸ばしているダミアン・ホーゾン =ツアー・ダウンアンダー2017チームプレゼンテーション、2017年1月14日 Photo: Yuzuru SUNADA

 2013年のアンダー23(23歳未満)個人TT世界王者は、現チームでプロ入り後山岳を強化。ピレネー山脈に位置する小国・アンドラに拠点を設け、上りに強い脚づくりに励む。それが実を結んだのは、2月のヘラルド・サンツアー。地元開催のステージレースで、ステージ1勝を挙げ、そのままの勢いで総合優勝。4月にはツール・ド・ロマンディで総合11位とまずまずの結果を残しており、オールラウンダーとしての道を着々と歩んでいる。

 来るツールでは、エステバン・チャベス(コロンビア)とサイモン・イェーツ(イギリス)、2人のエースを支える役割を務める。ロマンディ後にはチャベスらとコロンビアでトレーニングキャンプを実施するなど、ツールを見据えた準備はしっかりと行った。

 夢にまで見たツールのスタートライン。アシストとしての役割はもちろんだが、得意の個人TTで争われる第1ステージでも力を発揮したいと意気込む。「この日だけは自由に走ることができると思う」。自分のために走る意欲も忘れない。

 将来的にはオーストラリアを代表するステージレーサーになるだけの逸材として、関係者からの期待も高い25歳。エース2人を盛り立て、同時に自身の経験とする。希望に満ちるホーゾンにとって、初めてとなるフランスでの3週間が幕を開ける。

ツール・ド・フランスでは山岳アシストとしての役割が期待されるダミアン・ホーゾン。その先には自身の将来も見据える Photo: Yuzuru SUNADA
福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

サイクルジャーナリスト。自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、今ではロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。現在は国内外のレース取材、データ分析を行う。自転車情報のFacebookページ「suke’scycling world」も充実。UCIコンチネンタルチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。ウェブサイト「The Syunsuke FUKUMITSU

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