新製品情報MAVICから「USTチューブレス」登場 ロード用チューブレスの常識を変える高いユーザビリティ

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 フランスの老舗ギアブランド「MAVIC」(マヴィック)から、ロード用チューブレスシステム「UST チューブレス」が発表された。これまでチューブレスタイヤ最大のデメリットとされていた「整備性の悪さ」を解消し、誰もが容易にタイヤ交換を出来るようにした事でチューブレスタイヤの敷居を下げる事に成功。高い精度で作られたタイヤとホイールの抜群のマッチングによって、脱着時の負担を大幅に軽減しながらも確実なタイヤ固定力を発揮し、チューブレスタイヤ独特の低い転がり抵抗を体感できる、高性能で革新的なシステムとなっている。

USTチューブレスシステム断面図 ©MAVIC

万人向けなチューブレスシステム

「Ksyrium Elite UST」「Cosmic Pro Carbon SL UST」 Photo: Satoshi MURATA

 ロードバイクの世界においてのチューブレスタイヤはまだマイナーと言わざるを得ないが、その利点は多岐にわたる。まず、エアチューブという併用部品を必要としないため軽量である事、一般的なチューブ自体が1つ100g程とすると、シーラント(耐パンク液)を30mlずつ注入してもその差は大きい。また、クリンチャータイヤはチューブとタイヤの内部摩擦によって出る熱エネルギーが抵抗となるが、これもチューブレスには起こり得ない。加えて、内部の空気圧で直接タイヤを膨らませる事で真円率が高い。これらの特徴により転がり抵抗をクリンチャー比で15%改善しているという。

キーワードは「EASY」「SAFE」「FAST」 Photo: Satoshi MURATA

 しかし、チューブレスシステムを構築し、快適に運用するためにはタイヤとリムの高いマッチングが不可欠で、それぞれを別にメーカー毎が各々に開発している状況ではサイズと精度を合わせる事が難しく、どうしても個体差や相性の問題が出てしまう状況にあった。

 そのため「チューブレスは性能は良いが交換が難しい」とされ、敬遠される原因となってきたのだが、マヴィックはそれらの問題を、ホイールとタイヤを合わせて1つのパッケージとして研究開発し、最高の相性とトータルでの高性能を実現する独自理論「WTS(ホイール・タイヤ・システム)」によって解決した。

 さらなる高性能を実現し、誰もがチューブレスタイヤのメリットを手軽に体感できるパッケージとして満を持して発表された「ロードUSTシステム」は、まさにこの思想の優位性を具現化したと言えるだろう。

基準規格より厳密な「マヴィック独自規格」

独自のリム形状が高い信頼性と使い易さのポイント Photo: Satoshi MURATA

 マヴィック独自の研究によってリム形状は他に類を見ないものとなっている。図を見て貰うとわかりやすいが、センターグルーブ(溝)の深さを2.8mm、グルーブ半径を4.5mmと、ビード(タイヤの際)を上げやすい独自の寸法とし、更にはグルーブの両サイドに内側に緩く外側にキツい傾斜を付けた0.25mmのハンプ(突起)を配置、低空気圧時にビードが戻ってしまうのを防止している。

 また、サイドウォール高は専用タイヤに合わせて5.2mmとして高いビードホールド性を実現した。リム外周に関しては、ETRTO規格(タイヤの規格)で622サイズに設定された寸法と許容誤差「Φ621.95±0.50」に対し、「± 0.35」との更に厳しい独自規格を設定して品質を高めている。

アルミリムはリムテープ無し Photo: Satoshi MURATA
カーボンリムは専用のリムテープを使用する(仕様は変更される可能性あり) Photo: Satoshi MURATA

しなやかでビードが強い理想的な強度バランス

 USTチューブレスシステムに対応する新開発のタイヤは現状では「イクシオンプロ UST」の1種類。ビードの内周サイズに加えて、その「強度」にも独自の設定と許容範囲を定めて製造する事で、ビード剛性不足によるタイヤ剥がれなどのトラブルを回避する。ケブラービードを採用したタイヤは高い剛性を持ちつつも、低めの空気圧設定でしなやかで快適な乗り心地を実現している。

トレッド面にTubelessの刻印 Photo: Satoshi MURATA

 タイヤ設計はマヴィックオリジナルだが、コンパウンドに関しては50種類以上のテストを行ったうえで、ハッチンソン社「フュージョン5」で実績の有る「11ストーム」が採用された。また、イクシオンプロの過去モデルは前後別の専用タイヤだったが、パターンを逆向きにするだけでどちらにも使える構造に変更された。なお、アルミリム、カーボンリム共に最小限ではあるがシーラントが必要で、また空気圧設定範囲が少々狭い(17Cで7bar、19Cで6bar、最低空気圧は5bar)。

装着方向を変える事で前後共用できる Photo: Satoshi MURATA

 タイヤの空気圧は全方向に作用するため、当然リムからホイール中心方向へも働き、圧によってスポークテンションに影響を与えている。マヴィックによると内圧を7barまで上げた場合、最大で20%、チューブレスの場合は35%のズレがあるという。

 そこで、USTホイールに関してはこのテンションのズレを15%にまで抑える様、リム構造の変更とスポークテンションの変更によって対策を施している。リムだけでなく全体の構成にも見直しが入り、デビューしたばかりのモデルもUSTチューブレス対応のためモデルチェンジを遂げるなど、USTシステム普及におけるマヴィックの本気度がうかがえると言えるだろう。

拍子抜けするほど簡単な装着

 USTチューブラー発表の会場では実際の製品を使ったタイヤ装着体験会も行われており、筆者も試してみる事にした。性能の素晴らしさからチューブレスレディタイヤを実際に使っており、シクロクロス用やロード用の様々な銘柄のタイヤとリムで装着作業を行い、そのほぼ全てで何かしらの苦労をしてきた経験から正直身構えていたのだが、あっけなく感じる程すんなりとタイヤは装着できた。携帯用のハンドポンプでも据え置きポンプでも問題無く作業を終えられたのだ。

ずらりと並んだUSTチューブレス対応ホイールラインナップ Photo: Satoshi MURATA

 目盛りの目視だけなので正確な数値では無いが、たった1BAR(気圧)を少し超えた辺りで早くも一部のビードが上がり、2BARを超えた時には綺麗にビードが上がっていた。既存のチューブレスユーザーからすると驚異の整備性の高さである。これなら出先でのトラブルへの対処も怖がる必要は無く、女性やチューブレスタイヤに慣れてない方にも勧められるだろう。

装着の簡単さに驚く来場者 Photo: Satoshi MURATA

 USTチューブレスシステムは最初に「キシリウムプロUST」「キシリウムエリートUST」でデビューし、順次他のラインナップにも採用されていく予定となっている。すでにAG2RをはじめとしたUCIワールドツアーチームでも使用が開始されているという事で、今後のホイールとタイヤのラインナップ拡充にも期待したいところだ。

ロード UST 2018年モデル
・Comete Pro Carbon SL
・Comete Pro Carbon SL Disc
・Cosmic Ultimate (February 2018)
・Cosmic Pro Carbon SL Disc
・Cosmic Pro Carbon SL
・Cosmic Elite Disc
・Cosmic Elite
・Ksyrium Pro Carnon SL Disc
・Ksyrium Pro Carbon SL
・Ksyrium Disc
・Ksyrrium Elite Disc
・Ksyrium Elite
・Allroad Pro
・Allroad Elite
・Allroad Elite RB

KSYRIUM PRO UST
税抜価格:60,000円(フロント)、70,000円(リア)
重量:1,420g(Front 605g / Rear 815g)

KSYRIUM ELITE UST
税抜価格:40,000円(フロント)、45,000円(リア)
重量:1,490g(Front 650g / Rear 840g)
カラー:グラファイトブラック/イエロー/レッド

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