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栗村修の“輪”生相談<103>10代男性「『上りで休むダンシング』のコツを教えてください」

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 趣味としてロードバイクに乗り始めて1年半が経つ男子高校生です。

 ヒルクライム時のダンシングについて質問があります。「休むダンシング」のやり方・コツを教えてください。また、ヒルクライムにおけるダンシングをうまくするための筋トレを教えてください。

 シッティングからダンシングをしようとしたとき、ギアを重くしないとうまくダンシングができません。そのためか、ダンシングをしていてもすぐに太ももの膝に近い表側の筋肉がすぐにものすごく痛くなってきます。ダンシングで楽になろうとしてもすぐにそこの筋肉が痛くなり「休むダンシング」をすることができません。

 身長175cm、体重54kgです。プロ選手は目指しておりません。軽いギアをハイケイデンスで回しながらヒルクライムをしています。私は平地のほうが得意なのですが、ヒルクライムレースにも今後参加したいと思い、このような質問をさせていただきました。

 ご返答をお持ちしております。よろしくお願いいたします。

(10代男性)

 ペースアップをする「攻めるダンシング」の対極に位置する「休むダンシング」については、あちこちでお話をしてきました。が、実際にできる人は案外少ないという印象です。

 まず前提ですが、プロを含め、ダンシングに向いた選手とそうでない選手がいます。たとえば全体としては、長身の選手はシッティングが得意で、ダンシングが苦手、というイメージです。クリス・フルームとか。逆に小柄な選手はダンシングが得意なケースが多いですよね。

 さて、決して小柄ではない質問者さんは、軽いギアをハイケイデンスで回す、とあります。この走りかたからして、質問者さんはダンシングタイプの乗り手ではない印象を受けます。たぶん、シッティングタイプなんですよ。

 休むダンシングをするためには、そもそも、基本的なダンシングという動きをマスターしていなければなりません。基本ダンシングができないと、休むダンシングができないということです。ダンシングはシッティングとはまったく別の運動です。大げさにいうと、クロールと平泳ぎくらい違う。共通点は「自転車が前に進む」ということくらいじゃないでしょうか。

 質問者さんは、たぶんシッティングが得意だから、そちらのほうが楽なはずです。するとシッティングを多用するから、ダンシングが(休むダンシングではなく、ダンシングです)上達しない。したがって休むダンシングもできない…という流れだと思います。

ダンシング(立ち漕ぎ)も場面に合わせて使いわけよう Photo: Yuzuru SUNADA

 ですので、まずは、基本ダンシングをマスターしてください。目安は、ちょっとした上りならば下から頂上までずっとダンシングで上れるくらいです。あまり難しいことは考えずに、多少苦しくてもがんばってダンシングで上ってください。そうなれば、ダンシングに必要な筋肉の使い方やバランス感覚が身に付くはずです。

 そうなったら初めて、「休むダンシング」にチャレンジしましょう。休むダンシングを一言で説明することは難しいのですが、一つに、腿の表側の筋肉(大腿四頭筋)よりも、裏側の筋肉(臀筋やハムストリング)をより多く使うことを意識して下さい。裏側の筋肉のほうが、パワーが長持ちするからですね。

 とはいえ、このコメントを読むだけで休むダンシングができるようになるわけはありません。実際に、上りできつい状況を経験するしかないと思います。

 上りで千切れそうになっているとか、苦しんでいるときに、その苦しさを凌ぐために使うのが休むダンシングです。上りで、「やばい、千切れそう…」というシチュエーションを実際に作り出し、そこで楽になるダンシングを探ってみてください。それが休むダンシングです。苦しさを凌げる、ということは、逆にいえば平常時にそれを使えれば休めるということになるからです。

 そして、繰り返しになりますが、休むダンシングの存在に気づくためには、まずは基本ダンシングをマスターしなければなりません。まずはそこからだと思いますよ。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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