スマートフォン版はこちら

2020年新種目【動画付き】これが東京五輪メダル狙うBMXフリースタイル・パーク演技 15歳中村輪夢が公開練習

by 澤野健太 / Kenta SAWANO
  • 一覧

 2020年東京五輪の新種目に決まったばかりのBMXフリースタイル・パークのメダル最有力候補と期待される15歳の中村輪夢(りむ)が6月12日、東京都内で練習を公開した。6月9日、採用が決定してまだ3日あまり。「何よりBMXが注目されることがうれしい。2年半で成長して金メダルを狙います」と早くも目標を定め、報道陣の前で、圧巻の五輪想定演技を披露した。

世界レベルの高いエアを披露する中村輪夢 Photo: Kenta SAWANO

世界標準の大技を連発

 「(BMXフリースタイル・パークが)オリンピックの新種目に決まったことが、まだ信じられないけれど、狙うからには金メダルを取りたい」。そう言ってのけた輪夢は約30人の報道陣を前に、臆することなくビッグトリックを連発した。ハンドルだけを握り、サドルからもペダルからも体を離し、空を飛ぶようなポーズを決める「スーパーマン」、高さのある後ろ宙返り技「バックフリップ」、縦と横方向にそれぞれ1回転する3D技「フレア」など、国際ルールにのっとった1分間の演技をノーミスでクリアした。

 身長165センチ、表情にあどけなさも残る15歳。しかし初めて見る者を圧倒するような演技だった。全日本フリースタイルBMX連盟理事長の出口智嗣さんは「東京五輪のメダル最有力候補です。年上の僕から見てもハンパない練習量を積み、小学生のころからなんでも質問してきて、それをものにしていた努力も素晴らしかった」と話す。

会見で抱負を話す中村輪夢 Photo: Kenta SAWANO

 プロライダーでもあった父・辰司さんが経営する京都のBMXショップ「HANG OUT」(ハング・アウト)の店先で3歳の時に12インチのBMXに乗ってからずっと二人三脚で技を磨き続けた。学校から帰ればすぐにショップの前やパークで練習。休日には「朝9時から日が暮れるまで練習している」という。

 輪夢という名前は、自転車好きならお気づきの通り、父・辰司さんが自転車にちなんで「リム」と名付けたもの。父の指導だけでなく、全国のプロが主催するスクールにも通ったことで技のバリエーションも豊富で質も高くなった。出口さんは「以前のプロはとっておきの技を1つもっているような状態だったが、彼はいろんなトップライダーの良いところを学んで吸収してきた。まさに『日本のハイブリッド』と言える存在」と評価する。

日本でも数人しかできないという「スーパーマンシートグラブ」を披露 Photo: Kenta SAWANO

2020年に“理想的”18歳

本人も「こんなにたくさんの報道陣は初めて」と驚くなか取材を受ける Photo: Kenta SAWANO

 さらに18歳で東京五輪を迎えるという年齢も魅力的だという。出口さんは「近年BMXフリースタイルの世界のトップは21、22歳の選手が多く、低年齢化は進んでいる」と分析。また「フリースタイル・パーク」はスケートパークなどの専用の施設に設置されたセクションでダイナミックな技を決めるため、けがはつきもの。「転倒などからのダメージからも回復が早いのが利点」とも解説する。小学校高学年ではキッズクラスで国内タイトルを総ナメし中学生でプロ転向。2015年にアメリカで開催されたリーコン・ツアー優勝(13~15歳クラス)で同一年代で世界の頂点に立ち、今年からエリートの世界大会に臨む。

世界レベルの高いエアをを決める中村輪夢 Photo: Kenta SAWANO

 これまでBMXフリースタイルの世界で選手たちが目指す頂点は「Xゲームズ」だった。父・辰司さんも「これまではXゲームズを目指して輪夢と頑張ってきたが、3日前から目標にオリンピックが加わった。でもBMXがもっとメジャーになるのには『ヒーロー』が必要。彼はそのヒーローになって欲しい」とさらなる活躍を期待した。

レッドブル、G-Shockがスポンサー

二人三脚で練習を重ねた父の辰司さんと Photo: Kenta SAWANO

 順調な競技生活だが、まだまだマイナーなBMXフリースタイル競技。この日の会見も「こんなに報道陣が集まったにも日本のBMX界では初めてではないか」(出口さん)という状況。多くのプロライダーが自費で遠征を続けている。

 輪夢一家も以前は自費で全国や世界の大会を回っていたが、15歳で実力が認められ、レッドブル、オークリー、G-Shockの一般スポンサーのほかにBMXブランドのSUBROSAなど6社がスポンサーにつくようになった。それでもまだBMXだけで生計を立てられるライダーは少ないだけに輪夢は「小さな子供たちが目標になるような選手になりたい」と自覚している。

名前の由来となったリムを指さす中村輪夢 Photo: Kenta SAWANO
バイクはスポンサードを受けるSUBROSAで統一。タイヤはシャドー「コンテンダー」  Photo: Kenta SAWANO

 まだ高校1年生だが、今年からエリートのワールドカップに参戦する。昨年UCI(国際自転車競技連合)でワールドカップが始まり、日本でも全日本フリースタイルBMX連盟が発足したばかりだ。調整がうまくいけば第2戦の8月19日のブダペスト大会(ハンガリー)に参戦する。「まだまだ世界のトップには足りないところが多いけれど、誰よりも目立つために、誰よりも高く飛びたい」。純粋な気持ちで3年後の東京五輪を見据えた。

BMXフリースタイル・パーク

BMXフリースタイル種目の中でも、「パーク」と呼ばれる木やコンクリートでできたジャンプ台などのセクションが設置されたエリアで、様々なトリック(技)を決めて採点する種目。採点は、難易度、高さ、流れ、独創性などを基準に行われる。

中村輪夢(なかむら・りむ)

2002年2月9日、京都府生まれ。3歳でBMXを始め、5歳で大会に初出場。2016年、世界の強豪も参戦したG-Shockリアルタフネスで優勝。好きな食べ物は焼肉(誕生日も2/9)。バイクはSUBROSAと契約。身長165cm、体重55kg。

関連記事

この記事のタグ

2020東京五輪 BMX BMXフリースタイル

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載