ツール・ド・熊野2017 第3ステージダミアン・モニエが約100kmを独走し逃げ切り 個人総合はトリビオが優勝

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
  • 一覧

 4日間の日程で行われたツール・ド・熊野(UCIアジアツアー2.2)は、6月4日に和歌山県太地町で最終の第3ステージが行われ、ダミアン・モニエ(フランス、ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)がステージ優勝。1周回目から単独でトップに立ち、約100kmを独走しての逃げ切りとなった。そして、個人総合時間賞はホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)が前日までのリードを守り切り、初優勝を決めた。

個人総合時間賞上位3選手の表彰。左2人目から順に2位のオスカル・プジョル、優勝のホセビセンテ・トリビオ、3位のマルコス・ガルシア Photo: Syunsuke FUKUMITSU

モニエが序盤から独走に持ち込む

 今大会の最後を飾るのは、クジラを目玉とする観光振興で知られる太地半島をめぐる、10kmのサーキット。美しい海が眼前に広がるコースを舞台に、10周回100kmで行われた。ポイントは、太地港からの上りや、テクニカルなコーナーが待ち受けるダウンヒルなどで、変化に富んだルート設計だ。

 前日の第2ステージまでを終えて、総合でトップに立つトリビオと2位のオスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO)までのタイム差は43秒。さらに3秒差でマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)が続く。トリビオから総合タイム1分差に6人がひしめき、例年に違わず僅差での総合争いとなった。こうなると、土壇場での大逆転の可能性もあり、総合上位陣を抱えるチームにとっては一瞬の気の緩みも許されない最終ステージとなった。

美しい海が広がる脇をプロトンが走る Photo: Syunsuke FUKUMITSU
海沿いを独走するダミアン・モニエ Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 レースはスタート直後から逃げを狙う選手たちが果敢に攻めの姿勢を見せる。そんな中で飛び出したのがモニエ。メイン集団も出入りが激しく、タイム差が大きく広がることはないものの、少しずつ独走態勢を築いていく。

 モニエに続けと、有力チームが次々と選手が前方へ上がっていくが、数秒開いては吸収する流れの繰り返し。ようやく追走グループが形成されたのは4周回目。ジョン・アベラストゥリ(スペイン、チームUKYO)、リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、石橋学(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、早川朋宏(愛三工業レーシングチーム)、エドガー・ノハレス(スペイン、セブンイレブン ロードバイクフィリピンズ)、入部正太朗(シマノレーシングチーム)、土井雪広(マトリックスパワータグ)の8人がメイン集団から抜け出し、約30秒差でモニエを追う。

8選手による追走グループ Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 強力なメンバーをそろえる追走グループではあるが、総合9位につける早川やポイント賞ジャージを1点差で追う阿部、その他ステージ優勝を狙う選手たちと、総合上位にチームメートを送り込んでいる選手たちとで思惑が異なり、モニエまで一気に迫る気配は見られない。かたやメイン集団では、こちらも総合5位と6位に選手を送り込んでいるタブリーズ シャハルダリチームがコントロールする場面がみられ、順位のシャッフルを避けようという構えだ。

トリビオがリーダージャージを堅守

 終盤に入ってもモニエは淡々と1人で走り続ける。追走グループとの差も1分以上の開きとなり、ステージ優勝の可能性が広がってきた。追走グループは、早川や阿部、入部が積極的に牽引。メイン集団でも、キナンサイクリングチームはブリヂストンアンカーサイクリングチームが前方を固め、追走グループとの差を縮めようとする。

レース終盤、メイン集団をキナンサイクリングチームのジャイ・クロフォードが牽引する Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 タイム差の変動はあるものの、モニエからメイン集団までの状況は変わらないまま最後の1周回へ。すでに7分以上の遅れで総合争い圏外に位置するモニエだけは、逃げ切りが容認された。後続もペースを上げ、タイム差は縮まったものの、トラブルさえなければステージ優勝は安泰だ。

 そうして単独で最後の直線へとやってきたモニエ。約100kmを独走する圧巻の逃げ切り勝利。2010年にはジロ・デ・イタリア第17ステージを制するなど、グランツールで実績を積んだ選手だが、来日5年目にしてついに日本国内での初勝利を挙げた。

約100kmもの独走劇で勝利を収めたダミアン・モニエ Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 追走グループもメイン集団の猛追をかわし、モニエから38秒差でフィニッシュへ。ここはスプリント力のあるアベラストゥリが2位を確保し、3位には土井が入った。

 さらに6秒差でメイン集団がやってきた。総合上位陣もしっかりと走りきり、前日までの順位には大きな変動が発生しなかった。

逃げグループは38秒差でフィニッシュ。ジョン・アベラストゥリ(右端)が先着した Photo: Syunsuke FUKUMITSU
メイン集団も44秒差でフィニッシュ Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 これにより、トリビオの大会初優勝が決定。2位プジョル、3位ガルシアも変わらず、総合トップ3をスペイン人ライダーが独占した。それに続き、西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)が日本人最上位の4位となった。その他各賞は、ポイント賞がこの日追走グループで点数を加算させた阿部が獲得。山岳賞はハミッド・ポルハーシェミー(イラン、タブリーズ シャハルダリチーム)、ヤングライダー賞は田窪賢次(マトリックスパワータグ)、チーム総合は開催地・熊野地域を拠点とするキナンサイクリングチームが獲得した。

 ツール・ド・熊野第19回大会は、インターネットによるライブ配信や会場内のメインステージでのイベントもあり、これまで以上の盛り上がりを見せた。また、熱い応援はもとより、主催者をはじめ、地元の人々による運営や大会成功を目指して努力する姿も各チームの選手・スタッフの背中を押した。関係者からは、第20回大会を迎える来年への意欲も見られ、国際自転車競技連合(UCI)公認レースとして、より地位や注目度が増すステージレースとなることが期待される。

ツール・ド・熊野 第3ステージ(100km)結果
1 ダミアン・モニエ(フランス、ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) 2時間27分15秒
2 ジョン・アベラストゥリ(スペイン、チームUKYO) +38秒
3 土井雪広(マトリックスパワータグ) +38秒
4 入部正太朗(シマノレーシングチーム) +38秒
5 石橋学(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +38秒
6 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +38秒

個人総合時間賞
1 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ) 7時間41分59秒
2 オスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO) +43秒
3 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +46秒
4 西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +48秒
5 ミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズ シャハルダリチーム) +53秒
6 イリヤ・ダビデノク(カザフスタン、タブリーズ シャハルダリチーム) +56秒
7 山本元喜(キナンサイクリングチーム) +1分2秒
8 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) +1分22秒
9 早川朋宏(愛三工業レーシングチーム) +2分4秒
10 ペーラポル・チャウチャンクワン(タイ、タイ コンチネンタルサイクリングチーム) +2分15秒

ポイント賞
阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) 44pts

山岳賞
ハミッド・ポルハーシェミー(イラン、タブリーズ シャハルダリチーム) 22pts

ヤングライダー賞
田窪賢次(マトリックスパワータグ) 7時間46分7秒

チーム総合
キナンサイクリングチーム 23時間9分10秒

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

UCIアジアツアー ツール・ド・熊野2017

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

  • タイム
    アルプデュエズ01 ディスク

    ディスクブレーキで伝統の走りを進化

  • リブ
    AVAIL ADVANCED

    走る好奇心を止めない リブの新型‟無敵”ロードバイク

  • インプレッション一覧へ

    連載