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ジロ・デ・イタリア2017 最終第21ステージデュムランが圧巻の個人TTでグランツール初制覇 ステージ優勝はファンエムデン

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 ジロ・デ・イタリアの最終第21ステージが5月28日、モンツァからミラノまでの29.3kmで個人タイムトライアル(TT)が行われ、ヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNL・ユンボ)が33分8秒でステージ優勝を飾った。総合4位でスタートしたトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)は15秒差の2位でフィニッシュ。マリアローザのナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)らを逆転し、自身初のジロ総合優勝を果たした。

(左から)総合2位のナイロ・キンタナ、総合優勝のトム・デュムラン、総合3位のヴィンチェンツォ・ニーバリ Photo: Yuzuru SUNADA

 サルディーニャ島をスタートしてシチリア島を経由、そしてイタリア南部から北上してきた今年のジロ。最終ステージは、F1イタリアGPの舞台となるモンツァ・サーキットをスタートしミラノへゴールする。サーキットを1周してから市街地へ飛び出し、緩やかな下り基調でストレートの多いコースを突き進むという、TTスペシャリストが有利なレイアウト。中間計測は8.8kmと17.4kmに設けられた。

 最終日に辿り着いた162人が、総合下位の選手から順にスタートしていった。ファンエムデンは序盤の総合121位スタートとなり、2カ所の中間計測でそれまでの暫定トップタイムを大きく上回るタイムをマーク。平均時速53kmを超えるペースで走り切ってトップに立つと、ファンエムデンの記録を上回る選手が現れないまま、総合上位陣の結果を待つこととなった。

ステージ優勝を飾ったヨス・ファンエムデン Photo : Yuzuru SUNADA
新人賞を獲得したボブ・ユンゲルス Photo: Yuzuru SUNADA

 新人賞を争うボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)、アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)は総合9位、8位でスタート。7位までは大きく離れていたため、新人賞をかけた一騎打ちの様相となった。TTスペシャリストのユンゲルスに対し、マリアビアンカを着るイェーツは28秒のアドバンテージをもっていたが、中間計測の時点でスピードの違いは歴然。最終的にはユンゲルスが1分34秒差で上回り、逆転で新人賞獲得を果たした。

 総合7位のバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)は、TTが得意ではない6位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル)との逆転を目指したが、約1分半の差を埋めるには至らなかった。また、5位のイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)は総合表彰台に届くかが注目され、第1計測で上位のタイムを記録したが、第2計測以降では振るわず。総合5位から7位に変動はなかった。

 総合4位のデュムランはオランダチャンピオンジャージをまとい、気合の入った表情でスタート台に現れた。3位のティボー・ピノ(フランス、エフデジ)とは10秒、2位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)まで14秒、そしてキンタナとは53秒差を覆さなくてはならない。とはいえ第10ステージの約40kmの個人TTでは、キンタナらに約2分以上の差をつけて圧勝しており、実力通りにいけば逆転が可能なタイム差だ。

 そしてデュムランは、逆転優勝を現実のものとする快走を見せた。第1計測をファンエムデンから2秒遅れの好タイムで通過すると、ピノは30秒遅れ、ニバリは23秒遅れとなり、この時点でデュムランが総合2位に浮上。ターゲットとなるキンタナは31秒遅れで、アドバンテージの半分以上を第1計測までで失ってしまった。

 デュムランは大きな体を小さく折り、後ろから見ると頭が背中に隠れるほどコンパクトなフォームで突き進む。第2計測では6秒遅れと、ステージ優勝も見えるタイムで通過。終盤でペースが上がることはなかったが、首位のファンエムデンから15秒遅れの暫定2位でフィニッシュした。デュムランの走りをモニターで見つめていたファンエムデンはタイムを確認すると、驚いたような、安堵したような表情を見せたあと、歓喜の雄たけびをあげた。

ゴール地点のミラノ大聖堂へフィニッシュしたトム・デュムラン Photo: Yuzuru SUNADA

 走り終えたデュムランは、キンタナの走りを固唾を飲んで見守った。第2計測で1分差がつき、ヴァーチャルでマリアローザはデュムランに渡ったが、それでも最後まで何があるかわからない。前年王者ニーバリが第2計測までに好走を見せ、総合2位争いも熾烈になるなか、キンタナも懸命に走る。しかし、キンタナがゴールに近づき、再逆転が不可能なタイムに達すると、デュムランの表情に笑顔がこぼれた。キンタナは1分39秒遅れの27位でフィニッシュ。その瞬間、デュムランが喜びを爆発させた。キンタナはニーバリとの争いも接戦になったが、9秒差で総合2位を確保した。

 デュムランはレース後のインタビューで「自分のTTに集中したかったから、タイム差のことは何も知らなかった」と語り、「フィニッシュラインを越えた時、みんなが『お前の勝ちだ』と言ってきたけれど、テレビを見たら3秒差しかついていなくて怒ったんだ。だけど結局はすべてがうまくいったね」とゴール直後のエピソードを明かした

 デュムランにとっては、初のグランツール総合優勝。2015年のブエルタ・ア・エスパーニャで総合ライダーとしての才能を開花させ、エースとして臨んだ昨年のジロとツール・ド・フランスは、コンディション不良と落車でリタイアと、不本意な結果に終わっていた。今大会は第10ステージの個人TTで総合首位に立つと、難関山岳で苦しむ場面もあったが、遅れてもダメージを最小限に留める粘り強さを見せた。時に攻撃的な走りでライバルからタイムを奪い、TTで大きなリードを奪える、新たなグランツール王者が誕生した。

第21ステージ結果
1 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNL・ユンボ) 33分08秒
2 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +15秒
3 マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシングチーム) +27秒
4 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チーム スカイ) +31秒
5 ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、BMCレーシングチーム) +35秒
6 ヤン・バルタ(チェコ、ボーラ・ハンスグローエ) +39秒
7 ゲオルク・プライドラー(オーストリア、チーム サンウェブ) +51秒
8 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +54秒
9 ヤン・トラトニク(スロベニア、ツェツェツェ・スプランディ・ポルコヴィツェ) +57秒
10 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム) +1分02秒

個人総合(マリアローザ)
1 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) 90時間34分54秒
2 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +31秒
3 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +40秒
4 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +1分17秒
5 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +1分56秒
6 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +3分11秒
7 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +3分41秒
8 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +7分04秒
9 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +8分10秒
10 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +15分17秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 325pts
2 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) 192pts
3 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 117pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ミケル・ランダ(スペイン、チーム スカイ) 224pts
2 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ プロチーム) 118pts
3 オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ) 104pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) 90時間41分58秒
2 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +1分06秒
3 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +8分13秒

チーム総合
1 モビスター チーム 272時間21分54秒
2 アージェードゥーゼール ラモンディアル +59分46秒
3 エフデジ +1時間19分56秒

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