ツアー・オブ・ジャパン第8ステージ(東京)【詳報】ラスト100m、インサウスティと阿部嵩之の攻防 プジョルが2年連続の個人総合優勝

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 8日間に渡った「NTN presents第20回ツアー・オブ・ジャパン」(TOJ)も最終日を迎え、ホンアンデル・インサウスティ(スペイン、バーレーン・メリダ)の逃げ切り、2人でのスプリント勝利によって幕を閉じた。途中、強力なメンバーの逃げ集団ができ、辛くも総合優勝を果たしたオスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO)は「とにかくハードなステージで、伊豆よりも大変だった」と振り返った。

2年連続の個人総合優勝を果たしたオスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO) Photo: Shusaku MATSUO

連続するアタック合戦にUKYOが苦戦

日比谷公園前のスタート地点で名前を呼ばれ、歓声に手を振って応えるオスカル・プジョルと選手たち Photo: Kenta SAWANO

 大阪・堺から始まり、各地を巡ったステージレースも東京が最終日。前日の伊豆ステージを1分42秒差で総合首位に立つプジョルが王手をかけて臨んだ。7kmの大井埠頭周回コースを14ラップ、パレードと合わせて合計112.7kmで争われた。見通しが良く、平坦なコースレイアウトで、例年スプリンターが活躍をするステージだ。

 レースのアクチュアルスタートが切られるとブリヂストンアンカー サイクリングチーム、NIPPO・ヴィーニファンティーニ、宇都宮ブリッツェン勢がアタックを連発。この動きにチームを問わず入り乱れてのアタック合戦が続き、総合首位のチームUKYOがチェックに入る展開が続く。

大井埠頭に入ってもアタックの応酬は止まない Photo: Ikki YONEYAMA
日本ナショナルチームも積極的に仕掛ける Photo: Ikki YONEYAMA
2周目にアタックを試みる阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) Photo: Ikki YONEYAMA
レース中盤に形成された18人の逃げグループ Photo: Ikki YONEYAMA

 激しい応酬は1時間以上続いた。小さな逃げグループができてはメイン集団に吸収される展開が繰り返され、途中、18人の先行グループが生まれたが、残り7周回までには一つになり、振り出しへと戻った。

 ようやく展開が落ち着いたのは残り6周回に入るころ。13人の逃げグループが形成され、その中には山岳賞を確定的にしている初山翔(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)が入った。ここまで8ステージ中6ステージで逃げる活躍となった。

 一方のメイン集団はチームUKYOがコントロール。前日に続き、平塚吉光を中心にアシスト勢が働きをみせるも、逃げ集団のペースも速く、タイムギャップがなかなか詰まらない。一時は総合リーダージャージのプジョル自ら集団の先頭を引く場面もみられた。チームUKYOにキナンサイクリングチームやユナイテッドヘルスケア勢が協力に加わり、残り2周回でようやく1分差まで追い上げることができた。

集団はチームUKYOがコントロールを試みる Photo: Ikki YONEYAMA

 残り1周を告げる鐘が鳴ると、逃げグループとメイン集団との差は38秒と逃げ切りも可能な展開となった。残り3kmに差し掛かると逃げグループからインサウスティが単独でアタック。後方ではお見合い状態となったが、残り2kmを切ると阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)がインサウスティを追い、残り1km強を残して合流。勝負は2人のマッチスプリントへと持ち込まれた。

メイン集団のコントロールにはユナイテッドヘルスケアも参加 Photo: Ikki YONEYAMA
逃げ切りを狙う先行グループ Photo: Ikki YONEYAMA

 ゴールに向かってペダルを踏み続ける阿部に対し、インサウスティは阿部の後方で機会を伺った。残り200mからスプリント体制に入った2人だったが、インサウスティが阿部を抜き去り、ステージ優勝を飾った。2位は敗れた阿部が入り、3位は大久保だった。

逃げ集団からさらにアタックを仕掛け、優勝を果たしたホンアンデル・インサウスティ(スペイン、バーレーン・メリダ) Photo: Ikki YONEYAMA

 2位の阿部はレース後に「勝ちが目の前にあっての2位で悔しい。お見合い状態の中から飛び出し、インサウスティに合流した。インサウスティは勝負に賭け前を引かず、自分が踏みやめなかった後ろから差される形となった。彼はずるい走りをしたわけではなく、勝負に徹した結果。自分は『勝てれば優勝、悪くても2位』を天秤にかけ、後ろにつかれても踏みやめないことを選択した」とラスト1kmの攻防を解説した。

 苦戦を強いられたプジョル率いるチームUKYOだったが、2年連続の個人総合優勝が決定。2位にはネイサン・アール(オーストラリア、チームUKYO)が入り、チーム総合優勝のタイトルも手にした結果となった。山岳賞は初山が、ポイント賞はこの日も積極的に動いたマルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)が獲得。新人賞はドメン・ノヴァク(スロバキア、バーレーン・メリダ)となった。

2年連続の個人総合優勝を果たし、東京ステージをフィニッシュしたオスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO) Photo: Ikki YONEYAMA
「前日の伊豆ステージの方がよっぽどイージーだった」と振り返るオスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO) Photo: Ikki YONEYAMA

 プジョルは「他チームのアタックの応酬でとてもハードなステージとなった。(けがのため東京ステージを出走しなかった)ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO)もいたし、前日の伊豆ステージの方がよっぽどイージーだった。平塚、ロドリゴ・ロレンテ(スペイン)、ジョン・アヴェラストゥリ(スペイン)のコントロールによってグリーンジャージを獲得できた。2年連続はとても嬉しい」と喜びを噛み締めた。

 山岳賞の初山は「きょうの逃げは関しては、ここまで逃げ続けた結果に対し『もう一度』とムキになったから。8ステージ中6ステージで逃げた結果となりました」とステージを振り返り、20年ぶりの日本人の山岳賞に対しては「当初は山岳賞を狙う予定ではなかったが、京都で逃げを決め山岳リーダーとなり、いなべでポイントを重ねることができたので目標をスイッチしました。純粋な上りだけでは外国人総合勢には敵わないとわかっていたからです。実際にできること、現実的なことに対して本気を出しました。狙って逃げに乗るのは難しい。それができたということの自身のテクニックは満足しています」とコメントした。

TOJの4賞ジャージが決定した Photo: Ikki YONEYAMA

第8ステージ(東京)結果
1 ホンアンデル・インサウスティ(スペイン、バーレーン・メリダ) 2時間14分47秒
2 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)
3 大久保陣(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +5秒
4 入部正太朗(シマノレーシング)
5 アレクサンダー・クスタース(ドイツ、チームダウナー・D&DQアーコン)
6 イヴァン・コルティナ(スペイン、バーレーン・メリダ)
7 シモン・サジノック(ポーランド、アタッキ・チームグスト)
8 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)
9 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)
10 ショーン・レイク(オーストラリア、アイソウェイ・スポーツ・スイスウェルネス)

個人総合成績
1 オスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO) 19時間00分52秒
2 ネイサン・アール(オーストラリア・チームUKYO) +1分40秒
3 ハミッド・ポルハーシェミー(イラン、タブリーズ・シャハルダリチーム) +1分42秒
4 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ) +2分22秒
5 ラックラン・ノリス(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア) +2分46秒
6 ティモシー・ロー(オーストラリア、アイソウェイ・スポーツ・スイスウェルネス) +2分56秒
7 ドメン・ノヴァク(スロバキア・バーレーン・メリダ) +3分7秒
8 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) +3分12秒
9 ミルサマ・ポルセイェディゴラーホル +3分17秒
10 イヴァン・サンタロミータ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) +3分21秒

ポイント賞
1 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 119pts
2 イヴァン・コルティナ(スペイン、バーレン・メリダ) 73pts
3 ジョン・アベラストゥリ(スペイン、チームUKYO) 69pts

山岳賞
1 初山翔(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) 41pts
2 オスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO) 15pts
3 ハミッド・ポルハーシェミー(イラン、タブリーズ・シャハルダリチーム) 12pts

新人賞
3 ドメン・ノヴァク(スロバキア、バーレーン・メリダ) 19時間3分59秒
2 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) +2分15秒
3 山本大喜(日本ナショナルチーム) +4分51秒

チーム総合
1 チームUKYO 57時間7分27秒
2 アイソウェイ・スポーツ・スイスウェルネス +3分34秒
3 タブリーズ・シャハルダリチーム +6分14秒

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