ジロ・デ・イタリア2017 第18ステージヴァンガーデレンが涙のグランツール初優勝 デュムランは孤軍奮闘で総合首位を堅守

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
  • 一覧

 ジロ・デ・イタリアは5月25日、第18ステージがモエナからオルティセイ(セント・ウルリッヒ)までの137kmで争われ、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)がミケル・ランダ(スペイン、チーム スカイ)との勝負を制して、グランツール初となるステージ優勝を飾った。また、総合首位のトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)はアシストを失いながらも、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)と同タイムゴールでマリアローザを守っている。

ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)がジロ・デ・イタリア第18ステージを制してグランツール初優勝 Photo: Yuzuru SUNADA

難易度星5つの超難関ステージ

 アルプス山脈に沿うように東へ進むプロトンは、ドロミテ山塊へと突入する。1級山岳2つ、2級山岳2つ、3級山岳1つと5つのカテゴリー山岳を登り、獲得標高は4000mを越えてくる超難関ステージだ。最後の1級山岳は、ラスト3.3kmの平均勾配が9.3%、最大勾配が12%の強烈な上り区間が登場する。タイム差をつけやすいコースレイアウトになっており、佳境を迎えた個人総合のマリアローザ争いに加えて、新人賞のマリアビアンカ争いにも注目が集まった。

 スタート直後にはマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、BMCレーシングチーム)、ナトナエル・ベルハネ(エリトリア、ディメンションデータ)、ディエゴ・ローザ(イタリア、チーム スカイ)の4人の逃げが生まれるものの、メイン集団ではアタック合戦が継続。何度も追走されるものの、なかなかタイム差が広がらずにレースは推移していった。

最初の1級山岳、ポルドイ峠を越えていく、トム・デュムランらメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 最初の1級山岳を越えた頃に、ようやく逃げが決まった。先行していた4人からはボアーロが脱落し、代わりにヴァンガーデレン、ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック)、ジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)、ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)、ヤン・ヒルト(チェコ、ツェツェツェ・スプランディ・ポルコヴィツェ)、アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム)、ウィネル・アナコナ(コロンビア、モビスター チーム)、オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)、ミケル・ランダ(スペイン、チーム スカイ)らを加えた、計19人による集団が形成された。

 残り90kmからの2級山岳の上りが始まると、メイン集団ではバーレーン・メリダとオリカ・スコットが集団コントロールを開始して、一気にペースアップを図る。すると、山岳を苦手とするチーム サンウェブのアシスト陣が次々と千切れてしまい、集団内にはエースのデュムランとローレンス・テンダム(オランダ)を残すのみとなった。

アシストを失ったデュムランが孤軍奮闘

 2つ目の2級山岳の上りが始まると、逃げ集団ではドンブロウスキーのアタックをきっかけに動きが活発化した。ペースアップした逃げ集団からは、前日ステージ優勝を果たしたロランや山岳ポイントを狙うフライレらが遅れてしまい、ヴァンガーデレン、ドンブロウスキー、ヴィレッラ、ヒルト、ベルハネ、ランダ、ローザの7人のみが逃げる状況となった。

 メイン集団ではテンダムが遅れ、チーム サンウェブのアシストは全滅。デュムランは単騎で、ライバルチームからの攻撃に対応せねばならなくなった。チャンスとばかりに、集団に残るモビスターアシスト陣が強烈なペースアップを開始。ゴルカ・イサギレ(スペイン、モビスター チーム)が牽引を終える頃には、メイン集団は10数人に減っていた。

 お膳立てが整ったところで、ついにキンタナがアタックを仕掛けた。逃げ集団から降りてきたアマドールとアナコナのアシストを受けつつ、メイン集団との差を一気に20秒以上突き放した。

ナイロ・キンタナがアンドレイ・アマドールのアシストを受けて抜け出しを図る Photo: Yuzuru SUNADA

 アシストのいないデュムランだったが、キンタナのアタックを悠然と見送った。すると、総合タイムでデュムランから1分12秒、キンタナから41秒遅れているニーバリがアタックする。逃げ集団から遅れてきた元チームメイトのダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ プロチーム)がニーバリを牽引するシーンもあり、上り途中でニーバリはキンタナに合流した。

 一方のデュムランはニーバリのアタックも見送り、マイペース走行を徹底していた。だが、第14ステージでもマイペース走行で逃げるキンタナを捉えたように、この日のデュムランも静かに猛スピードでキンタナとの差を詰めていった。そして、ちょうど山頂に到達する頃に、キンタナとニーバリたちに追いつくことに成功。アシストを総動員して攻撃を仕掛けたキンタナであったが、アシストのいないデュムランに危なげなく対処されてしまった。

逃げ集団からランダとヴァンガーデレンが飛び出す

 逃げ集団では、ランダとヴァンガーデレンが長いダウンヒルを利用してアタックしていた。ドンブロウスキーやヒルトのいる追走集団から20秒、メイン集団から50秒のリードを持って、最後の1級山岳を上っていく。ハイペースで上る2人は後続を徐々に引き離し、逃げ切りが濃厚となっていく。

 残り6km、ヴァンガーデレンが先手を打ってアタックを仕掛けるものの、不発に終わる。上りでは離せないと判断したのか、後続の追走のプレッシャーも手伝い、膠着状態が続いたままフィニッシュ地点へ向かった。

抜け出したミケル・ランダ(手前)とティージェイ・ヴァンガーデレン Photo: Yuzuru SUNADA

 残り500m地点にある最大勾配13%の激坂区間は、ランダが先頭でクリア。そのまま一気に加速したランダが先行するが、残り100mのコーナーでイン側を突いたヴァンガーデレンが前に出ると、そのままランダを突き放してフィニッシュ。グランツール初ステージ優勝を遂げた。かつてツール・ド・フランスで新人賞を獲得した経験があったものの、長い間周囲の期待に応えられなかった28歳のヴァンガーデレンは、レース後に涙を流して勝利を喜んだ。

総合上位3人がにらみ合うメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 一方の総合争いでは、残り7km地点でキンタナが再びアタックするが不発に終わる。すると続いて、ニーバリがカウンターでアタック。これにはデュムランが即座に反応して、ニーバリの飛び出しを許さない。

 今度はここまで守りに徹していたデュムランが自らアタック。以降は、キンタナもニーバリも動くことができず、3人揃ってフィニッシュした。難関ステージで早々にアシスト選手を失ったデュムランだが、キンタナとニーバリからタイムを失うことなくマリアローザのキープに成功した。

 一方で、総合4位のティボー・ピノ(フランス、エフデジ)、同5位のイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、同6位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル)は、デュムランをマークするキンタナとニーバリを差し置いて先行することに成功したため、この日だけで1分近く総合タイムを挽回している。

 また、この日1分12秒遅れのアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)が、3分55秒遅れのボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)を逆転し、マリアビアンカを獲得した。先頭で逃げ続けたランダは優勝は逃したものの山岳ポイントを65点加算して、マリアアッズーラ争いで独走状態となった。

 第19ステージは、ラスト15.5km地点から始まる1級山岳ピアンカヴァッロが最大の見どころとなるだろう。難関ステージを凌いだデュムランに、ライバルたちはどう立ち向かうのか。激しさを増したマリアビアンカを巡る攻防にも注目だ。

第18ステージ結果
1 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) 3時間54分04秒
2 ミケル・ランダ(スペイン、チーム スカイ) +0秒
3 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +8秒
4 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル)
5 ヤン・ヒルト(チェコ、ツェツェツェ・スプランディ・ポルコヴィツェ) +11秒
6 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +24秒
7 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +34秒
8 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
9 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +1分06秒
10 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)

個人総合(マリアローザ)
1 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) 80時間0分48秒
2 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +31秒
3 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分12秒
4 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +1分36秒
5 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +1分58秒
6 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +2分07秒
7 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +3分17秒
8 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +5分48秒
9 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +7分06秒
10 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +7分34秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 325pts
2 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) 192pts
3 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 117pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ミケル・ランダ(スペイン、チーム スカイ) 189pts
2 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ プロチーム) 108pts
3 オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ) +104秒

新人賞(マリアビアンカ)
1 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) 80時間07分54秒
2 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +28秒
3 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +0時間5302分27秒

チーム総合
1 モビスター チーム 240時間20分15秒
2 バーレーン・メリダ +57分13秒
3 キャノンデール・ドラパック +58分07秒

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

UCIワールドツアー ジロ・デ・イタリア2017 ジロ2017・レース詳報

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載