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ジロ・デ・イタリア2017 第14ステージデュムランが攻撃的な走りで山頂フィニッシュを制す 総合争いでもリード拡大

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ジロ・デ・イタリアは5月20日、第14ステージがカステッラーニアからオローパまでの131kmで争われ、1級山岳の頂上フィニッシュを、総合首位のトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)が制した。マリアローザを守る立場のデュムランが攻撃的な走りを見せ、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)ら総合争いのライバルたちからタイムを奪うことに成功している。

攻撃的な走りで第14ステージを制したトム・デュムラン Photo: Yuzuru SUNADA

アルプス山脈での山岳バトル初戦

ファウスト・コッピ生誕の地をスタート Photo: Yuzuru SUNADA

 イタリア半島の南から徐々に北上してきたプロトンは、いよいよ決戦の地であるイタリア北部・アルプス山脈を目指す。スタート地点のカステッラーニアは“カンピオニッシモ”(チャンピオンの中のチャンピオン)と呼ばれたファウスト・コッピの生まれた街。そして、フィニッシュ地点のオローパは1999年にマルコ・パンターニが伝説的な勝利をあげた場所だ。

 2人のイタリアの英雄にまつわる土地を結ぶ第14ステージは、終盤までほぼ真っ平らな道を進んでいき、残り12km地点から最大勾配13%に達するオローパの上りが始まるコースレイアウトとなっている。特に残り7kmを切ってからは平均勾配8%ほどのパンチ力のある上りが続いていく。

 オローパがフィニッシュ地点に設定されたことは過去5回あり、いずれもイタリア人選手が勝利を収めている。直近では2014年にエンリーコ・バッタリーンが勝利しており、今年もロットNL・ユンボの一員として出場している。今大会はイタリア人によるステージ優勝がまだないため、イタリア人選手の動きが注目された。

 そうした中で、逃げ切り勝利を狙いたい選手たちを中心に、スタート直後から激しいアタック合戦が繰り広げられた。なかなか逃げが決まらないため、スタートして30kmを経過するまでは時速53.5kmというハイスピードでレースが展開した。

 残り100km地点でナトナエル・ベルハネ(エリトリア、ディメンションデータ)が単独で集団から飛び出し、セルゲイ・ラグティン(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)とダニエル・マルティネス(コロンビア、ウィリエール トリエスティーナ)が追いつくと、集団は落ち着きを見せる。ようやく3人の逃げが決まって、一気にタイム差が2分ほどまで広がった。

ティボー・ピノのために集団を牽引するエフデジのトレイン Photo: Yuzuru SUNADA

 ところが、エースのティボー・ピノ(フランス、エフデジ)でステージ優勝を狙いたいエフデジが、集団コントロールを開始する。ここへ、モビスターが一人アシスト送り、続いてオリカ・スコットも一人送って、エフデジと共に逃げを追う意思を見せた。もうスプリンター向きのステージは残っていないため、カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)がチームのために集団牽引する姿も見られた。

 そうして、逃げ集団とのタイム差は2分前後に抑えられたまま、レースは進んでいった。

シッティングで猛然と追うデュムラン

 オローパの上りに向けて、逃げ集団とのタイム差をじりじりと詰めていく。残り35km地点を過ぎる頃には、タイム差は1分を切った。

 そして、残り17.6km地点で逃げ集団を吸収すると、オローパの上り口に向けて激しいポジション争いが繰り広げられた。ハイスピードで突き進む集団からは誰もアタックを仕掛けることができない。集団はひとかたまりのまま、オローパの上りへと突入した。

 残り9.0km地点でディエゴ・ローザ(イタリア、チーム スカイ)がアタックを仕掛ける。イタリア人選手がステージ優勝を狙う動きを見せるものの、勾配が急になった残り6.3km地点で失速し、集団に吸収された。

 続いて残り5.3km地点で総合10位のイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)がアタック。この動きにより、総合3位のバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が遅れてしまう。

 キンタナのために、ウィネル・アナコナ(コロンビア、モビスター チーム)が最後の牽引を見せるなか、残り4.2km地点でドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル)がアタック。ポッツォヴィーヴォの動きを利用して、キンタナとザカリンの2人がメイン集団から抜け出すことに成功し、ピノやマリアビアンカを着るボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)は遅れ始めた。

 集団は大きく人数を減らし、キンタナたちを追走するグループにはマリアローザを着るデュムランの他に、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)、ミケル・ランダ(スペイン、チーム スカイ)の4人のみとなっていた。

 残り3.3km地点でキンタナはさらに加速してザカリンを振り切ると、ダンシングを多用しながら軽快に上っていく。このままキンタナがステージ優勝も飾るかと思われたが、デュムラン自ら追走グループの先頭に立ち、得意のペース走行でキンタナを追った。

イルヌール・ザカリンらを引き離すナイロ・キンタナ Photo: Yuzuru SUNADA

 ダンシングで逃げるキンタナに対し、シッティングのまま猛然とペースを上げるデュムランは、一旦は10秒程度まで広がったキンタナとのタイム差をじりじりと詰めていく。あまりのハイスピードに、アダム・イェーツが脱落。その直後、残り1.5km地点でついにキンタナに追いついた。

 デュムランの予想外の走りに驚くのも束の間、デュムランがカウンターアタックを仕掛ける。すると、キンタナは反応が遅れてしまった。キンタナに対して決定的な差はつけられなかったが、この攻防の最中にキンタナの疲労をデュムランは見抜いたようだった。

 デュムランはシッティングのまま両肘をハンドルバーの上に置くTTスタイルで、全くスピードを緩めず、キンタナたちへの攻撃を続けた。ニーバリは完全に千切れてしまったため、ステージ優勝争いはデュムラン、キンタナ、ザカリン、ランダの4人に絞られた。

 残り300m地点、ザカリンが加速すると、キンタナは力なく失速してしまう。デュムランはしっかりとザカリンの背後をマークして、残り100mを切ったタイミングでスプリントを開始。力強いペダリングは最後まで衰えることなく、一気にザカリンをまくり上げると、そのままフィニッシュした。

 デュムランはキンタナに対して24秒タイムを稼ぎ、総合タイム差を2分47秒へと広げることに成功した。さらに山岳ポイントを35ポイントを加算したため、マリアアッズーラも獲得している。

総合リードを拡大したトム・デュムラン Photo: Yuzuru SUNADA

 また、ピノとニーバリはタイムを失ったものの、モレマが1分44秒遅れのステージ22位に沈んだため、それぞれ1つずつ総合順位あげている。ステージ2位のザカリンは総合10位から5位へとジャンプアップを果たした。

 21日に行われる第15ステージは、ラスト50kmが昨年のイル・ロンバルディアと全く同じコースレイアウトとなっている。クライマー向きのテクニカルなステージで、マリアローザを巡る攻防から目が離せない。

第14ステージ結果
1 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) 3時間02分34秒
2 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +3秒
3 ミケル・ランダ(スペイン、チーム スカイ) +9秒
4 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +14秒
5 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +35秒
6 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +41秒
7 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +43秒
8 フランコ・ペリツォッティ(イタリア、バーレーン・メリダ)
9 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +46秒
10 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ プロチーム)

個人総合(マリアローザ)
1 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) 59時間31分17秒
2 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +2分47秒
3 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +3分25秒
4 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +3分40秒
5 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +4分24秒
6 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +4分32秒
7 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ プロチーム) +4分55秒
8 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +4分59秒
9 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +5分28秒
10 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム) +5分36秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 315pts
2 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) 192pts
3 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 117pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) 51pts
2 オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ) 49pts
3 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 46pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) 59時間36分45秒
2 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +2分15秒
3 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +2分27秒

チーム総合
1 モビスター チーム 178時間52分59秒
2 アスタナ プロチーム +3分54秒
3 UAE・チームエミレーツ +10分21秒

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