体験型のおもてなし電動自転車で巡る外国人向け東京ツアー「サイクリングホリデー東京」の人気の理由

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 東京の千代田区や港区を中心に利用者が急増している赤い小径の電動アシストバイク、「ドコモ・バイクシェア スマートシェアリング」。このシェアバイクを利用した外国人観光客向けガイドツアーが人気を集めているという。徒歩より広範に、かつ公共交通機関よりきめ細かく巡れる自転車の機動力は確かに東京都心を観光するには適した乗り物だが、外国人を引き付ける魅力はそれだけではないはず。その理由を探るべく、ガイドを実施している「サイクリングホリデー東京」のプレス向けツアーに“外国人目線”で参加してみた。

自転車で巡る東京ガイドツアー「サイクリングホリデー東京」 ©Cycling Holiday Tokyo

“口コミ力”で利用客が倍増

 同サービスがスタートしたのは2016年10月。日本でのサイクリングガイドの先駆けであり、国内外で長くツアーを運営してきた丹羽隆志さんに「ドコモ・バイクシェア」が声をかけたのがきっかけだった。

 「電動アシストのシェアバイクを利用したインバウンド向け観光サービスができないものか」

 その狙いは的中し、半年の間で利用者は急増。最初の月の利用はわずか2人だったのが「毎月倍々」(広報担当の中村浩一郎さん)となり、10月のサービス開始以来、延べ利用者数はすでに100人を超えているという。インバウンド向けメディアにツアーの広告を出している影響もあるが、何より“口コミ力”による部分が大きいという。

東京駅の建物としての歴史を解説。このように要所で解説を交えながら進む。もちろんすべて英語 Photo: Kyoko GOTO

 常時開催しているレギュラーツアーは「モーニングAMツアー」と「アフタヌーンPMツアー」の2つ。モーニングAMツアーは東京スカイツリーや浅草寺を含む東京の東エリアへ。アフタヌーンPMツアーは皇居を中心に下町~ウォーターフロントエリアを巡る。それぞれ3時間、15km程度で料金は税込7,236円(18歳以下は5,832円)。 なおこの価格には自転車の利用料金、ヘルメットのレンタル料も含まれている。 他にも冬季のイルミネーションを巡るイブニングツアーや、夏の夜のオーバーナイトツアーなど、ユニークなシーズナルツアーも実施している。

総合プロデューサーの丹羽隆志さん(写真右)ほか、ツアーに同行するガイドの皆さん Photo: Kyoko GOTO

 ガイドスタッフは総勢10人(2017年5月現在)。自転車に乗るのが好きで、英語によるコミュニケーションが可能というのが条件だが、なにより重要なのはガイドとしてのおもてなしの気持ち。「サイクリングホリデー東京」ではガイドの質を確保するために一定の検定を実施し、合格した人を採用しているという。

乗ると笑顔になる電動アシスト自転車

スタート前に走行時の注意点についてレクチャーを受ける Photo: Kyoko GOTO

 参加者は自転車に乗りやすい格好であれば、とくにマストな持ち物はない。スタート地点に集合すれば希望に応じたサイズの電動アシストバイクとヘルメットが用意されている。スタート前に20分ほどかけてバイクの操作方法、日本の交通ルールやマナーをしっかりレクチャー。もちろん全て英語による説明だ。そして万が一、はぐれたときを想定して“迷子カード”を配布し、準備が整ったところで出発となる。

電動アシストの操作画面。アシストは3段階で調整可能だが、個人的にはアシストは「強」がおすすめ Photo: Kyoko GOTO
変速ギアも3段階で調整可能 Photo: Kyoko GOTO
軽い漕ぎ出しに最初は少し戸惑うが、慣れるとすこぶる快適! Photo: Kyoko GOTO

 電動アシストバイクは漕ぎ出しのストレスがなく、いつものように漕ぎ出すとぐいっと進む感覚に一瞬戸惑いを覚えるが、慣れてしまえば実に快適で楽しい。中村さんが「電動アシストバイクに乗ると皆笑顔になる」といっていたのも頷ける。

 小径車ゆえの姿勢も相まって、まるで普通に椅子に座った状態で足をくるくる回しているような感覚で景色が流れてゆく。道に応じて踏み込む必要がなく、坂も後ろから押されているように進むので脚力のない年配の方や、自転車に乗り慣れていない人でも問題なく乗りこなせる。

バスよりゆっくり、かつ機動力も高い自転車 Photo: Kyoko GOTO

 また、スピードを上げ過ぎるとアシストがなくなり重くなるため、脚力のある人でもゆっくり走りたくなる。すぐに徐行スピードに落とせるので、不安を感じて車道から歩道に乗り上げた場合でも歩行者の妨げになる印象はない。これが通常の自転車ツアーと異なる大きな魅力だ。

自転車だから巡れる“穴場”

皇居の平川門前で ©Cycling Holiday Tokyo

 今回参加したのは「アフタヌーンPMツアー」。まずは丸の内の駐輪ポートを出発し、東京駅を経由し、皇居の脇を漕ぎ進む。東京在住でも知らなかった緑あふれる園内の木立へと案内される。

 いまは新緑の季節だが、カエデやもみじなどがあり、日本ならではの四季折々の表情が楽しめそうだ。知らなければアクセスできない場所だが、知っていても観光としての優先順位は低くなりそう。そんな穴場を訪れるのも自転車ツアーならではの醍醐味だ。

東京とは思えない自然。「こんな場所を自転車で走れるなんて」と日本人メディアの参加者もびっくり ©Cycling Holiday Tokyo
新緑あふれる公園の一角。日本ならではの四季折々の表情が期待できそう Photo: Kyoko GOTO

 武道館の横を通過し、田安門(たやすもん)をくぐり抜けて内堀通り沿いの道を行く。東京を知る我々が普段通り過ぎてしまうような場所にこそ、目を向けると穴場が隠れているようだ。

武道館に近い田安門を潜り抜ける ©Cycling Holiday Tokyo
高台から皇居を見下ろし、昔の地図で現在地を確認。すぐそこが海だったと知り、参加者一同「へえ~~」 Photo: Kyoko GOTO

 眼下に首都高速、その先に皇居を見下ろし、さらにその先にはビル群を望む。江戸時代の地図で自分たちの居る場所を確認し、眺めている大手町や丸の内エリアがかつては海だったことを、総合プロデューサーの丹羽隆志さんが教えてくれた。

下町の入り組んだ路地も外国人観光客にとっては珍しい風景 Photo: Kyoko GOTO
途中にある和菓子屋に立ち寄り、饅頭やおだんごをゲット ©Cycling Holiday Tokyo

 下町では大通りから一本入った裏路地を行く。我々にとっては見慣れた道でも、外国人にとっては珍しい道なのだろう。中村さんによると、外国人にとっては街中の自動販売機の多さ1つとっても関心の的なのだという。

とある神社には富士塚があった。東京にいながら富士信仰を体験できるスポット Photo: Kyoko GOTO
再び路地を潜り抜け、辿り着いたのは月島の「もんじゃストリート」 Photo: Kyoko GOTO

 その後、一行はウォーターフロントエリアを巡ったのち、築地市場を経て、銀座の歌舞伎座周辺のポートに到着。地下鉄の東銀座駅へと案内し、ツアーは終了となる。途中にもシェアバイクのポートは多々あるため、途中で疲れたり、大雨などが降ってきた場合は、周辺ポートに自転車を返して途中離脱するケースもあるという。「これもシェアバイクを利用する強み、というか”楽っぷり”のひとつなんですね」と中村さん。また、事前に巡りたい場所を伝えられた場合、コースのカスタマイズも柔軟に対応する。ツアーでありながら既定のプランにとらわれない自由さも観光客にとってはありがたい。

ベイエリアを抜け、整備中の新豊洲市場へ Photo: Kyoko GOTO
ベイエリアのライドを締めくくるのは、遠くに見える2020東京五輪会場予定地の眺め Photo: Kyoko GOTO

‟スキル”を生かした東京ガイドに

 サイクリングホリデー東京では現在、東京を「ドコモ・バイクシェア スマートシェアリング」でガイドするスタッフを募集している。ガイドマニュアルもあり、海外の方との基本的なコミュニケーションなども併せ、実際にガイドに出れるようになるまでの研修も実施する。

サイクリングホリデー東京の中村浩一郎さん Photo: Kyoko GOTO

 現在、ツアーで活動しているガイドの多くが定年退職者。「たどたどしくもある英語、自転車への愛、そして東京を自転車で走る楽しさを知ってほしいという気持ち」(中村さん)で、 観光客とのコミュニケーションを楽しみつつ、ガイドとしてのスキルや知識を磨いているという。

 ガイド応募に関する詳細・問い合わせは「サイクリングホリデー東京」(info@cyclingholiday.tokyo担当:丹羽)まで。

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