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「原点で恩返しをしたい」現役を終えた井上和郎さんが第2の自転車人生 バルバで欧州流“楽しみ方”の伝道師に

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 国内外のレースで数々の活躍をみせた井上和郎さんは2016年11月、14年間のプロ選手生活に終止符を打った。それから4カ月、第2の“自転車人生”の舞台として選んだのは、自らが競技を始めるきっかけとなったサイクルショップだった。そのストアマネージャーとして、「ヨーロッパに根付く自転車文化を伝えたい」と話す井上さんは、自らの豊富な選手経験をふまえ、サイクルスポーツの楽しみを伝え始めている。

バルバワークス ハクサンストアで自転車の魅力を伝える井上和郎さん Photo: Shusaku MATSUO

老若男女が楽しむコミュニティ

北陸に6店舗を構えるバルバワークス。「ハクサンストア」は3月に新たにオープンした Photo: Shusaku MATSUO

 井上さんが働くのは石川県白山市にある「バルバワークス ハクサンストア」で、2017年3月にオープンしたばかりの店舗だ。バルバワークスは北陸地域に現在6店舗を構え、地元の愛好者を中心に、数百人規模のオリジナルイベントを手がけるプロショップだ。

 店内には「初めてセット」などのポップが飾られ、ビギナーが自転車購入と同時に必要になるポンプなどを分かりやすく説明。広く明るい店内にはバイクやパーツ、ウェアなどが整然と陳列され、気軽に訪れることができる。

明るい店内には綺麗に商品が陳列され、ビギナーでも入りやすい雰囲気 Photo: Shusaku MATSUO

 バルバの店舗には、創業者の寺崎嘉彦氏の「自転車の楽しさを広めたい」「自転車競技の面白さを知って欲しい」といった理念が色濃く反映されている。ハクサンストアには来店客がくつろいで自転車談義を交わせるよう、カフェスペースを備えた。ヨーロッパの日常に近く、老若男女が自転車を楽しむコミュニティのハブとして機能させたいという寺崎氏の思いが込められている。

 井上さんは「自転車を始めた頃、自転車に乗ることが純粋に楽しかったのですが、お店に集まったクラブ員の経験者から教わることや、彼らとの繋がりも魅力的でした。これは社長が目指している『ヨーロッパの自転車文化』が持つ側面のひとつなんです」と自転車にのめり込んだきっかけを話してくれた。

 井上さんはやがてプロ選手となり、ブリヂストンアンカー サイクリングチームの中心的な存在として活躍した。

ブリヂストンアンカー サイクリングチームの中心的存在として活躍した Photo: Shusaku MATSUO

 井上さんは現在、ストアマネージャーとしてイベントの企画や接客などをこなしている。また、メカに関することは同僚の山本大樹さんが務め、二人三脚で店を切り盛りする。さっそく選手時代との違いを実感しているようで、「自転車のパーツなどを選ぶとき、選手時代はスポンサーがあらかじめ絞り込んでくれたハイスペックな製品から選べばよかった。でも、お客様は数多くのブランドや製品からご自身の体や目的に合ったものを選ばなければなりません。僕自身、お客様から教わることも多くゼロからのスタートです」と、いつもの穏やかな口調で微笑む。そんな新たな門出を迎えた井上さんにインタビューを行った。

ストアマネージャーとして自らレジ打ちもする Photo: Shusaku MATSUO
同僚の山本大樹さんはメカを担当。自身も実業団で走るレーサーだ Photo: Shusaku MATSUO

◇         ◇

きっかけは「シャカリキ!」

――なぜバルバワークスに入社したのですか

井上さん:自転車に携わって24年ほどたちますが、入り口はバルバでした。中学3年生のとき、同級生から自転車漫画「シャカリキ!」を薦められ、感化されたんですね。地元にあるサイクルショップにすぐに行き、「僕、ロードバイクが欲しいんです」とバルバの門を叩いたのが始まりです。当時は現在の社長がオーダーフレームを作ってくれました。バルバのチームに所属していた間は乗ることももちろんですが、スタッフ、他のお客さんと接するのがとても楽しかった。自分が自転車に乗る環境を提供してくれた場所です。こう思わせてくれたバルバに自らの経験を還元したいと考えました。漠然とあったイメージを実行でき、今に至ります。

自転車漫画「シャカリキ!」を読んでバルバに訪れたという Photo: Shusaku MATSUO

――ストアマネージャーとして重視されていることを教えてください

井上さん:これから自転車を始めていく方、ビギナーの方に『楽しい』と感じていただくべく接客を心がけています。自転車は買って終わりでなく、「買ってから」が始まりです。このスポーツの魅力を伝えるべく、イベントの企画や、ビギナー向けの練習会を開いています。マナー、乗り方講座も好評です。継続してお店というコミュニティと関わっていただきたいですね。

――ビギナーの方々に重点的に何をお伝えしていますか

試乗車のサドル高調整をする井上さん Photo: Shusaku MATSUO

井上さん:僕が選手で当たり前だと思っていたことと、これからサイクルスポーツを始めようと思っている方とは感覚がまるで違います。例えば、選手時代、ピチピチのレーパンを履いて、コンビニをクリートでカツカツ歩くのが当たり前だったと話したら、これから始める方はびっくりしますよね。なので、ウェアひとつにしても競技としての自転車ではなく、スポーツとして楽しむ方法を提案します。ハーフパンツの下に履くパッドもありますし、フラットバーのロードもおススメしています。ハードルを上げすぎないことが重要ですね。

 イベントでも、初めて参加する時は「何を着てきたらいいんだろう」と不安に思う方が多いはずです。ピタピタのジャージに抵抗がある方にはゆったりとしたジャージもご用意しています。まずは一般の方の目線に立つことが重要だと感じました。

――選手だった経験は生かされていますか

「ヨーロッパの自転車文化にあるような“コミュニティ”をバルバワークスで作りたい」と目標を語った Photo: Shusaku MATSUO

井上さん:選手時代はレースで150km以上走るときもあり、集中力やパワー維持のための補給は欠かせませんでした。一方、ビギナーの方々にとっては20~30kmでも長距離だと感じるでしょう。ビギナーの方はロングライドでもエネルギー補給に関して意識がまだあまりないので、エネルギー摂取の仕方はアドバイスすることが多いですね。

 例えばハンガーノック。その感覚はなってみないと分かりません。「あれ、力が入らない」と気が付いたときにはハンガーノック状態になっていて、なってからではいくら補給してもなかなか回復しません。

店内で販売されていた「ザバス ピットインエネルギージェル」や「ザバス ピットインゼリーバー」 Photo: Shusaku MATSUO

 そのような兆候をつかめないサイクリストも多くいらっしゃるのでは?と思っています。ハンガーノックで集中力やパワーがなくなるのは選手もビギナーも実は同じなのです。せっかくロングライドを楽しもうとしていても、ハンガーノックになってしまっては楽しめなくなるどころか、苦しい思い出になってしまいますね。

 なので、イベント前はしっかりと朝食を摂っていただくように話をしたり、「ザバス ピットインゼリーバー」など小さくてポケットに入りやすいものを活用して補給するなどのハンガーノック防止策をお伝えしています。こうしたエネルギー摂取のタイミングや方法を考えることも、楽しく自転車を続けるうえでは必要不可欠ですね。

井上さんは現役時代、エネルギー戦略を考え、レース前に「スーパー ヴァーム」を摂取し、レースに臨んでいた Photo: Shusaku MATSUO

 一方で、イベントなどのロングライドでもエイドステーションの間隔が広いと空腹になってしまい、ドカ食いをして胃に負担をかけてしまうケースもあると思います。内臓に負担をかけるのは筋疲労よりも実は体へのダメージが大きいのです。

 選手時代、苦しい局面でも力を発揮し続けなければならなかったのですが、動き続けながらの補給物をできるだけ最小限にするために、練習前やレース前に必ずアミノ酸VAAMを活用していました。運動で体脂肪が燃え、エネルギーになる力を意識していたので、VAAMはロングライドにもおススメです。またスタイルアップを意識して自転車に乗られている方にもおススメです。

◇         ◇

 この日、バルバワークス ハクサンストアに訪れた廣瀬幸佑さん(20歳)は大学のサイクリング同好会に所属。3年間使用しているシューズの買い換えに訪れた若者に、井上さんは丁寧に接していた。「クリートの位置などを詳しく教えていただきました」と話す廣瀬さんは、ホイールについて説明を受けたり、試乗車に乗せてもらったり、井上さんとの交流に会話を弾ませていた。

パーツ談義に話が弾む Photo: Shusaku MATSUO
選手時代の経験をもとに、的確なアドバイスをする井上和郎さん Photo: Shusaku MATSUO

 井上さんは「実際にお世話になった方だけでなく、これから始める方に楽しみ、魅力を伝えて、自転車を始める原点となったバルバワークスで恩返しをしていきたい。自分がそうしてもらったように」と繰り返し語り、インタビューを締めくくった。

「自転車の原点となったバルバワークスで恩返しがしたい」と語った井上和郎さん Photo: Shusaku MATSUO
井上和郎
井上和郎(いのうえ・かずお)

漫画「シャカリキ!」がきっかけで、自転車競技を始める。2003年に現ブリヂストンアンカー サイクリングチームでプロデビューした。海外チームを経験した後、2011年に古巣へ復帰。2016年11月のツール・ド・おきなわを最後に現役を引退した。現在は「バルバワークス ハクサンストア」ストアマネージャーを務める。

バルバワークス ハクサンストア
住所:石川県白山市新成1丁目321
定休日:木曜日
電話:076-255-7909
バルバワークス ハクサンストアFacebookページ

「VAAM」の主な製品

サイクリング30分前の使用が最適なVAAM Photo: Shusaku MATSUO

●ヴァーム(ボトル缶)
 内容量: 200ml
 エネルギー: 50kcal
 税抜価格: 200円(1本)、1,200円(6本パック)
●ヴァーム顆粒
 内容量: 4g×14袋
 エネルギー: 16kcal(1袋)
 税抜価格: 2,300円
●ヴァームゼリー
 内容量: 180g
 エネルギー: 32kcal(1個)
 税抜価格: 200円

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