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急ピッチでサイクリング環境整備「サイクル県」宣言の山口県に注目 9月の秋吉台ロードレースは斜度20%超の“壁”も

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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5月7日に山口市で行われたJBCFきらら浜クリテリウムのステージでは、秋に開催の「秋吉台カルストロードレース」のPRが行われた Photo: Ikki YONEYAMA

 山口県が2016年度より「サイクル県やまぐち」を宣言して、サイクルスポーツの振興と、観光・文化施策と連携しての取り組みを全県で始めている。県内の交流人口の拡大や地域活性化を目指して、シンボルとなるレースイベントの開催や、コースや立ち寄りスポットなどサイクリング環境の整備などが、急ピッチで進行中だ。

秋吉台でJプロツアーのレース

 この取り組みは、村岡嗣政知事が複数の市長とスポーツツーリズムについて話をする中で生まれたという。県内に高い山がなく道路環境も良いことと、秋吉台や温泉といった観光資源の存在や、瀬戸内海と日本海の両方を有し、この2つが繋がっている唯一の県であることを生かせるスポーツアクティビティとして、サイクリングが選ばれた。

 施策の柱の一つは、国内外にアピールできる大きなシンボルイベントの開催だ。

 9月16、17日には国内最高峰のロードレースシリーズ「Jプロツアー」のレースを連日開催する。16日に初開催される「秋吉台カルストロードレース」は、2011年に国体ロードレースが行われた国定公園・秋吉台を舞台に、また17日の「維新やまぐちクリテリウム」では、日本の道百選に選ばれた、県庁前のパークロードを使用してレースを行う。

 10月7、8日には、マウンテンバイクの国際大会「やまぐち十種ヶ峰国際ダウンヒル」が、山口市北部で2日間行われる。今年国内で行われる唯一のUCI(国際自転車競技連合)公認のダウンヒルシリーズレースだ。

サイクリングコースや拠点を広域整備

コースやサイクリング拠点の整備が県内広域で進む(山口県提供)

 サイクリングの環境整備では、県内で広域サイクルルートを策定。昨年度は3つのメインルート「秋吉台グリーンカルスト街道」「サザンセトオレンジ海道」「角島大橋ブルーオーシャン海道」を柱に、全12ルートが作られた。ルート上にはサイクリングを支援するための「サイクルエイド」「サイクルステーション」を道の駅や商業施設、観光拠点などに設置。昨年度すでに40カ所を整備ずみで、今年度はさらに30カ所を整備する予定だという。サイクルステーションではスポーツ自転車のレンタルも行う。

 また駅構内に、自転車の組み立てなどに便利な「サイクルピット」を、JR新山口駅、新岩国駅、柳井駅、大畠駅の4駅で設置。鉄道との連携では、イベントに合わせてサイクルトレイン運行や、サイクルトレインを活用してのツアーも行っていく。

 このほかサイクリングガイドの育成やサイクルマップの作成、サイクリングに特化した宿泊施設など、複合的な環境整備を進めていくという。

「サイクル県やまぐち」をPRする県観光スポーツ文化部の森重信博さん Photo: Ikki YONEYAMA
JR新山口駅構内に設置された「サイクルピット」 Photo: Ikki YONEYAMA

「秋吉台のレースをUCI公認にしたい」 棟久明博さん

山口県内のレースオーガナイズに携わる棟久明博さん Photo: Ikki YONEYAMA

 実は山口県は、「サイクル県やまぐち」の取り組みが始まる前から、自転車競技大会が盛んな地域だ。ロード、トラック、マウンテンバイク、シクロクロスを合わせて年間10戦以上の連盟公認レースが行われている。その仕掛け人ともいえるのが、「きらら浜サイクルミーティング」など多くのイベントでレースディレクターを務める、山口県自転車競技連盟事務局長の棟久明博さん(39)だ。

 20代前半をロード選手として東京で過ごし、フランスでの武者修行も経験した棟久さんが、故郷の山口に戻ったのは2005年。「帰ってきたら、地元に自分が走るレースがなかったので、知り合いを集めて」と20代で始めたきらら浜のレースは、第1回の50人から13年目・第37回を迎えた今年、400人近い参加者が集まる大会に成長した。

 昨年はJプロツアーのレースを山口に誘致。さらに今年は国定公園・秋吉台を舞台にした「秋吉台カルストロードレース」を開催する。1周29.5kmという大きな公道周回路は、最大斜度20%超という壁のような急勾配を擁する難コースだ。

9月に初開催の「JBCF秋吉台カルストロードレース」は国定公園を走る長距離公道コースとゴール前の“壁”が魅力(美祢市提供)

 国定公園での公道レースも画期的だが、昨年までJプロツアーでは困難だったチームカーの伴走を行えるように調整中だという。「なぜかというと、将来はUCI(国際自転車競技連合)公認レースにしたいからです」と棟久さんは県内のレースをさらに進化させる考えだ。

 県全体が昨年から「サイクル県やまぐち」を掲げてサイクルスポーツの振興に力を入れ始めたのは追い風。棟久さんは「大好きな自転車レースで、故郷の山口県を盛り上げたい」と意気込む。5月20日には下関で行われるサイクリングイベント「ツール・ド・しものせき」の大会前日に、下関市内でクリテリウム大会を開催するという。

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サイクルツーリズム 山口県

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