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「琵琶湖サイクリストの聖地碑」完成記念銅像は「夢の中のおかしな話」? モデル、田中セシルさんの除幕式&初ビワイチレポート①

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 まさか自分が銅像になるなんて…! 琵琶湖一周サイクリング「ビワイチ」のシンボルを目指して立てられた「琵琶湖サイクリストの聖地碑」のモデルとなった田中セシルさんにとって、最初の依頼は「夢の中のおかしな話」だったそうです。Cyclist記事への出演がきっかけとなった“大抜擢”から半年。4月6日の除幕式とその後のライドイベントに参加したセシルさんに、ビワイチに寄せる思いやイベントの感想をレポートしてもらいました。

「琵琶湖サイクリストの聖地碑」と対面した田中セシルさん Photo: Kenta SAWANO

◇         ◇

「おてんば心」から生まれたポーズ

 「ビワイチ」とは…琵琶湖を自転車で一周するコースは約200キロ。1泊2日で、反時計回りに走る人が多い。自転車は左側通行なので、湖岸側を走ることができることからという。(コトバンクより)

 2016年は約5万2000人が挑戦したと推計されるビワイチ。サイクリストの間ではすっかりポピュラーな言葉のようですが、私はちょうど1年前にこの言葉と出逢いました。都内で自転車にはよく乗るといってもクロスバイクまで。ロードバイクには乗ったことのない自転車ビギナー・田中セシルが、“プチ・ビワイチ”を体験するという取材で琵琶湖に訪れたのです。

2016年3月、波のない湖面を漁船タクシーで全速力で進む。風を全身に浴びた田中セシルさんは「気持ちいいー」 Photo: Kenta SAWANO

 “プチ・ビワイチ”とは漁船タクシーに乗り、琵琶湖を横断してスタート地点に戻るというショートコース。1日で効率よく琵琶湖を堪能できる、ビギナーさんにもオススメのビワイチ体験です。

 3月の滋賀はまだ肌寒く、カチコチだった体を緩めるためにストレッチをしたことを思い出します。現在記念碑が建つ「第二なぎさ公園」からプチ・ビワイチをスタートしました。

 澄んだ空気、鳥のさえずり、キラキラした湖面、目に映るもの全てが新鮮で、次々と変わる景色に小さな感動が積み重なっていきました。歩いていたら気がつかないような緩やかな坂道や段差もタイヤから体にダイレクトに伝わってくるのが心地良くなりました。

 「気持ちいい〜!」と大声で叫んでいる自分がいました。さらに心の中で10回ほど叫んだころ、「長命寺港」に到着しました。ここで漁船タクシーに乗るため、船を待ちます。ここまで走り続けてきた時間が止まってしまうのが勿体なくて、しばらく一人で自転車と戯れていました。

 例えば、ペダルに片足をかけたままぐーんともう片方の脚を上げて“ストレッチ”。子供のころからそんなことばかりして遊んでいましたが、大自然に感動し、おてんば心が騒ぎ立っていたのかもしれません。そんな私の姿は、記者のカメラにしっかり押さえられていました。

2016年3月、長命寺港で像のイメージとなった〝柔軟体操〟 Photo: Kenta SAWANO

 漁船タクシーで到着した沖島では、飛び跳ねる芝海老をその場でかき揚げにしてもらって食べたり、湖面に浮かぶ白髭神社の鳥居を船で通ったりと、エキサイティングな体験ばかり。

 西側の港に着いてからはまた違った琵琶湖の表情を感じながらのサイクリングに感動したことを覚えています。楽しみにしていた鯖寿司、東京でいつも買っている大福、天然酵母のパン屋さん。食べ物はもちろん、空気が美味しい! そして立ち寄る先々のお店にバイクラックが設置してあり、街全体がこんなにもサイクリストを歓迎してくれていることに驚きました。

銅像は「夢の中のおかしな話」?

 初めてのプチ・ビワイチ体験は、自転車は移動手段のひとつという考えしか持っていなかった私に、新しい世界を教えてくれる機会となりました。その夜、自転車推進関係者の皆様との会食に参加させていただき、滋賀県守山市の宮本和宏市長に初めてお会いしました。記者の方が撮影した写真を市長に見せながら、プチ・ビワイチの素晴らしさについて話に花が咲いたころ、長命寺港での足上げポーズに驚かれた市長。「ぜひまた琵琶湖にいらしてください。そして次回はぜひ一緒にビワイチしましょう!」という嬉しいお言葉をいただき、握手を交わしました。

 みなさんのビワイチを盛り上げようという熱意と意気込みが強く伝わってきて、興奮冷めやらぬプチ・ビワイチ体験となりました。

除幕式に出席する田中セシルさん。左からジャイアント・ジャパン中村晃社長、守山市の宮本市長。右端は滋賀県の池永肇恵副知事 Photo: Kenta SAWANO

 それから半年後、守山市から、「セシルさんの足を上げたポーズの銅像を建てたい」というお話をいただきました。にわかには信じられない話でした。ちょうど眠りについたころのお電話で、私は「夢の中でおかしな話になっている、夢の中ならもう少し寝よう」と、そのまま眠ってしまったのを覚えています。

 それが、目がさめると…夢が現実になっている!? とはいえ、どちらにしても実際にこの目で見るまでは信じないことにしよう。そう心に決めたのです。

 そして1年後の4月6日、その日は本当にやってきました。布をかけられた銅像を前に除幕式が始まり、未だ見えぬ銅像の姿に期待と不安で胸がいっぱいでした。記念碑の除幕式に参加することも、紅白ロープを持って引くことも、もちろん初めての体験でした。

「やっと会えたね!銅像のセシルさんこんにちは」と像に声をかける Photo: Kenta SAWANO

 銅像とのご対面の瞬間、「やっと会えたね!銅像のセシルさんこんにちは」と声をかけました。しかし、銅像になったセシルさんはなかなか私と目を合わせてくれません。未来へ向かう強い眼差しで遠くを見据えているようでした。

関係者全員で記念撮影 Photo: Kenta SAWANO

 その場に集った皆さんは、この記念碑設置を通じ、ここから世界に向かって琵琶湖サイクリングの素晴らしさを発信する聖地になる!という希望に満ち溢れていました。琵琶湖を一望でき、松林と砂浜に囲まれた素晴らしいロケーションの中に、感動を体いっぱいに表現した銅像。素敵なビワイチスタート地点の誕生でした。

式典を終え「琵琶湖サイクリストの聖地碑」を見つめる田中セシルさん Photo: Kenta SAWANO
琵琶湖沿いの絶景に設置された「琵琶湖サイクリストの聖地碑」 Photo: Kenta SAWANO

「スイーツ」のち「土砂降り」

 除幕式が終わると、女性ライダーLivエンジェルと、地元企業の女性サイクリストによるビワイチがスタートしました。

女性だけのライドイベントへ出発する田中セシルさん Photo: Kenta SAWANO

 そうそう、この香り、この景色。1年前に1回通っただけなのに、あの時の記憶がどんどん蘇ってきました。「風は今年の方が暖かいなぁ〜」などと思いながら湖岸沿いを走っていると、黄色いモンシロチョウが目の前を通りました。少しスピードを緩め、「お先にどうぞ」と道を譲れる心の余裕が生まれている自分に、去年よりも少しの成長を感じました。

藤ヶ崎龍神の絶景ポイントで女子だけで記念撮影 Photo: Kenta SAWANO

 休憩スポットで記念撮影をし、ライドのゴール地点、クラブハリエのバームクーヘンでおなじみ「たねやグループ」の旗艦店「ラ コリーナ近江八幡」に向かいました。1年前にいただいてからすっかりファンになったバームクーヘンを味わえると聞いてワクワク。頭は焼きたてのバームクーヘンでいっぱいながらも、湖岸から少し道を外れると田んぼや菜の花畑が広がる別世界で、また違った自然を感じることが出来ました。

つくしの生える田んぼ沿いを一列にライド Photo: Kenta SAWANO 

 無事に全員で店に到着し、記念撮影となりました。共に先頭を走らせていただいた滋賀県の池永肇恵副知事は、自転車に乗ることが出来なかった3カ月前に1から練習を始めたと聞きびっくりしました。ご多忙の中、新しい事に挑戦し続ける副知事の勇気に感動しました。

 ジブリ映画の世界にいるような可愛らしい建物のラ コリーナでいただく焼きたてのバームクーヘン。ひとくちひとくちを噛み締めながら、これから始まる本格的なビワイチに向けて心と体を整えていました。

ラコリーナでクラブハリエのバームクーヘンをそろっていただきます Photo: Kenta SAWANO
楽しみにしていたクラブハリエのバームクーヘンを笑顔で食べる Photo: Kenta SAWANO

 再び湖岸沿いに戻り、Livエンジェルの皆さんとビワイチの続きがスタート! 長命寺港から先は初めて走る道で、鮮やかな緑色や黄色、紫の植物に気を取られながらも、みなさんに遅れを取らぬよう、必死について行きました。

 風が強くなってきて前輪が風に持っていかれそうになる怖い瞬間が何度かありました。雨の心配もあり、さらにスピードアップする一行の祈りもむなしく、パラパラと雨が降り始めました。

雨にもかかわらず笑顔でビワイチを楽しむ Photo: Kenta SAWANO
長浜のクラブハリエ ジュブリルタンで2度目の「スイーツ休憩」。おいしいパンをいただきます Photo: Kenta SAWANO 

 雨の中のライドは初めての体験でした。サングラスに着く水滴で視界も悪く、濡れた体は体温を奪われ、なんといっても地面とタイヤが濡れているので滑りやすく簡単に転びそうで怖かったのです。身体が強張って固まって行く感覚…筋肉が張って乳酸が溜まり、身体が思うように動かない。それでも変わらないスピードで進み続ける一行に、どこまで付いていけるか不安になってきました。

最後は土砂降りの雨の中、目的地の「旅館・紅鮎」に到着 Photo: Kenta SAWANO

 止まりたい、サングラスを拭きたい、凝り固まった身体をストレッチしたい…そんなことが次々に頭をよぎる自分に腹が立ちました。でも、きっと私だけじゃない、辛いのはみんな一緒かも知れない。何も言わずに黙々とペダルを漕ぎ続けるエンジェルズの後ろ姿がカッコよくて、勇気をもらいました。

 息を深く吐いてゆっくり吸い込もう、足だけでなく全身でペダルを漕いでみよう。辛くて痛くて冷たくても、仲間がいるから頑張れる。そう繰り返し、やがてビワイチ1日目が終わりました。

田中セシル 田中セシル(たなか・せしる)

モデル・ダンサー・振付師。元新体操選手でウォーキング&ボディメイキングトレーナー。渡辺麻友(AKB48)や橋本環奈のバックダンサー、Rev.from DVL/東京パフォーマンスドール/相沢まきなどの振付も手掛ける。平均身長172cm、平均股下82cmのモデルダンスチーム「SpininGReen」(スピニングリーン)のリーダーとしてダンス×ファッション×テクノロジーを融合させた新しいエンターテイメントの創造に挑戦中。オフィシャルブログ「Dance! Step! Jump!

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Cyclist for Woman Liv インタビュー(女性向け) ビワイチ

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