バイクインプレッション2017「PINARELLO DOGMA F10」 常勝イタリアンフレームが繊細かつ大胆に進化
イタリアのレーシングバイクブランド「PINARELLO」(ピナレロ)のフラッグシップモデル「ドグマ」が2017年モデルとしてニューモデル「ドグマF10」へと進化した。常勝バイク「ドグマF8」と同素材である、東レT11001Kカーボンを採用しながらも、剛性は7%アップ。そして重量は6.3%の軽量化を果たし、53サイズのフレーム単体で820gという仕上がりとのこと。先行していたBlack LAVAのみから、Team SKYなどの他カラーの受注もいよいよ始まり、順次入荷する予定だ。
PINARELLO DOGMA F10(ピナレロ ドグマ F10)
価格:625,000円(フレーム、税抜)
1,180,000円(デュラエースDi2完成車、税抜)*試乗車とは異なる
サイズ:42、44、46.5、47、50、51.5、53、54、55、56、57.5、59.5、62
カラー:167/BLACK LAVA
問い合わせ先:ピナレロジャパン http://www.riogrande.co.jp/pinarello_opera/
スペック
フレーム:Torayca T1100 1K Nanoalloy Carbon
フォーク:Torayca T1100 1K Nanoalloy Carbon
変速機:シマノ・デュラエース(F)&(R)
ギヤ:シマノ・デュラエース 50×34T、11-25T(11s)
ホイール:フルクラム・レーシングゼロ
重量:6.7kg(51.5サイズ完成車)



インプレッション BY 松尾修作・米山一輝

米山 それまでのドグマより、大きくフォルムを変えた「ドグマF8」がデビューしたのは2014年。「F8 Xライト」も加わりながら3年弱で新フラッグシップロードがデビューした。空気抵抗軽減にこだわり、シンプルな作りになっていたF8を元に、さらに空力性能をアップさせているという。
松尾 東レT11001Kカーボンという高弾性の素材をF10でも継続採用しているので、パリパリとした乗り味は引き継いでいます。しかし、漕ぎ出しも重量感も軽くなった感触がありました。
米山 走りはピナレロのロードバイク独特の、地面に吸い付くようなフィーリングが健在で、ハイスピードでの安定性とコーナーリング性能の高さは、まさにロード「レーサー」といった佇まい。
松尾 ええ。個人的には硬いだけで、伸びや進みが悪いバイクは好きではないんですが、ドグマは加速し続ける印象が強いですね。F10はその良さを更に伸ばしてきたと思います。また、軽快な取り回しながらも、車体の中心に軸がしっかりとありブレれません。怖い思いをしないまま速度が上がっていきますね。加速力は発進だけでなく、高速からのスプリントも良かったです。
米山 外見の印象は細部の改良といった感じで、ボトル周りの空気の流れを整えるダウンチューブのリブや、フロントホイールの固定レバー周辺を整流するフォーク先端のフラップが目立つものの、フォルムはほぼF8の正常進化といえる。でも、乗るとやはり最新作のF10。

松尾 短時間で体感は難しいものの、全体的なフォルムはさらにエアロ効果が高まっているようですね。振動吸収性は良くなったと感じられるし、エアロで、軽くて伸びがある万能フレームです。コンペティティブなライダーで選ばない理由はないと思います。
米山 一般的なオンロードのレースでは、あらゆる場面に高いパフォーマンスを発揮するはずだ。
松尾 このインプレのロケだけでなく、レースで使ってみたいと思いました。相当硬いですけど、フロントフォークがバイクの進みを阻害せずに、スッと前に押し出してくれるのでストレスはないはずです。下りは言わずもがな優秀で、高速コーナーでもラインをぴたっとトレースできます。 剛性が高い分、“脚にくる”のも事実なので、そういった場合には「F8ライト」のほうがライドを楽しめるという人もいると思います。
米山 剛性は高く乗り心地も硬めなので、それなりに鍛えて走れる人でないと辛いよね。でもレーサーとしては「F8ライト」で感じた突き詰めたある種の心許なさはなく、オールラウンドに安心して乗ることができる。実戦で使ってみたい一台だ。
(編集 齋藤むつみ)
