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先取り!「四国一周1000キロルート」の旅<1>お遍路気分で四国‟環島”にいざ出発 愛媛から香川へ走る瀬戸内ライド

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 四国一周をまわるサイクリングルート「四国一周1000キロルート」を3月14日に発表した愛媛県がPR隊を結成し、同日から3月17日までの4日間で香川、徳島、高知の各県庁と完成した新ルートを辿る「四国一周サイクリング ぐるっとPRツアー」を行った。豊かな自然や四国遍路の歴史、多様な食文化などで訪れるサイクリストを魅了する、その名も「サイクリングアイランドSHIKOKU」。自転車とバスによる駆け足旅ながら、いち早くその魅力を探るツアーに『Cyclist』編集部員が同行した。そのレポートを全5回に分けてお届けする。

「しまなみ海道」への玄関口としておなじみ、愛媛県今治市の来島海峡大橋 ©愛媛県

動き出した「サイクリングアイランドSHIKOKU」

「四国一周1000キロルート」を発表した愛媛県の中村時広知事(中央)とPR大使の一青妙さん(中央右)、サイクリングアイランド四国プロジェクトパートナー門田基志選手(チームジャイアント、中央左)。ほか「ノッテる!ガールズEHIME」の皆さん Photo: Kyoko GOTO

 6年前からサイクリング事業に本格的に取り組んできた愛媛県は、「しまなみ海道」を「サイクリストの聖地」として定着させたほか、県内に26コースのサイクリングルートを設定する「愛媛マルゴト自転車道」といった事業を展開してきた。

 そうした取り組みの発展形として新たに動き出したのが四国4県をあげて取り組む「サイクリングアイランドSHIKOKU」構想だ。瀬戸内海、太平洋、宇和海や四国山地といった雄大な自然資産や、1200年にもおよぶ四国遍路の歴史で育まれたおもてなしの文化など、地域資源の魅力を‟1つの島”として発信することで国内外のサイクリストの呼び込みを図る。

四国一周1000キロルートのルートマップ ©愛媛県

 設定された基本ルートは愛媛県松山市をスタートし、11日間かけて香川、徳島、高知を巡り四国を一周する。同PR隊の隊長でもある「サイクリングアイランド四国プロジェクトパートナー」の門田基志選手(チームジャイアント)らがサイクリスト目線で実走調査を重ねたルートで、一周すれば走行距離975km、獲得標高は6879mとなる。

中村時広知事は「四国をサイクリングアイランドに!」とのメッセージをフラッグに込めた ©愛媛県
門田基志選手が書いたメッセージは「世界のサイクリングアイランドへ!!」 ©愛媛県
PR大使の一青妙さんは「サイクリングでつながる四国と台湾」というメッセージを書いた ©愛媛県
松山市から来島海峡大橋のある今治市に向けて出発 ©愛媛県

 これは、自転車で島を一周する先駆けともいえる台湾の「環島」(ファンダオ)と非常によく似たコースプロファイルで、そうした縁もあって昨年11月に環島を体験した女優の一青妙さんが四国一周のPR大使として就任した。

 今回のルート発表に伴い、愛媛県の中村時弘知事を初め、一青さん、門田選手がそれぞれの「四国一周」にかける思いを記し、PR隊がそのフラッグを携えて各県庁への表敬訪問を含めた旅へと出発した。

足を伸ばして来島海峡大橋へ

1日目のモデルルート。愛媛県松山市から今治市までの47.8km ©愛媛県

 愛媛県庁がある松山市を出発し「しまなみ海道」の玄関口、今治市へと向かう。初日の移動距離は47.8km。到着して走り出すことを考えれば、適度な移動距離。ルートを少し外れるが、しまなみ海道に続く来島海峡大橋を少し渡って‟しまなみ気分”も楽しむもよし、今治駅そばにある「ジャイアントストア今治」で足りない装備を買い足すこともできる余裕をもった設定だ。

ルートから少し足を伸ばして来島海峡大橋をサイクリング ©愛媛県

 「ここに来たら走らずにはいられない!」ということで、来島海峡大橋の半ばまでサイクリングをすることに。晴天に恵まれた当日は、空も眼下に広がる海も青く、走る爽快感はまさしく「天空サイクリング」。瀬戸内海に点在する緑の島々や、橋の下を行きかう色とりどりの貨物船を見下ろす景色はここでしか味わえない絶景だ。

世界初の三連つり橋、来島海峡大橋 ©愛媛県
来島海峡大橋に向かう自転車・歩行者のためのループ橋も巨大 ©愛媛県
橋の上を走る様子はまさに天空サイクリング"。その絶景に歓声があがる ©愛媛県
来島海峡展望台がある糸山公園 ©愛媛県

 しまなみ海道の対岸である尾道まで走りたい気持ちを押さえつつ、近くの糸山公園へと移動。ここには雄大な来島海峡大橋と日本三大急潮の一つである来島海峡の絶景を眺められる展望台で知られる。サイクリストのための設備も充実しており、自動販売機では清涼飲料水などと一緒に換えチューブが販売されている。

公園内には駐輪用のサイクルラックはもちろん、飲料水とともに換えチューブが買える自動販売機が設置されている Photo: Kyoko GOTO
今回のツアーをともにするご当地サイクルユニット「ノッテる!ガールズEHIME」の渡邉愛(まな)さん(左)と渡邉愛羅さん。サイクリストに扮した愛媛のゆるキャラ「みきゃん」と Photo: Kyoko GOTO
ここでいったんバスに乗り換え。「自転車を積み込みますよー」と呼びかけるPR隊長の門田基志選手 ©愛媛県
自転車積載専用のジャイアントのトラック。吊り下げ方式で30台ほどの自転車を一気に運搬できる ©愛媛県

宿坊もある札所でお遍路気分

2日目のモデルルート。愛媛県今治市から香川県の観音寺市までの99.1km ©愛媛県

 2日目のモデルルートとなる99.1kmはバスで移動。海沿いを走るルートかと思いきや、クルマの往来が激しい幹線道路は避け、民家が立ち並ぶ山間の道を行く。地域の暮らしが垣間見える風景に旅情を感じつつ、安全に配慮されたルートを設定したことが理解できる。

 香川県に入り、たどり着いたのは真言宗の総本山、善通寺(ぜんつうじ)。弘法大師の生誕の地といわれる寺で、四国八十八カ所霊場の第75番札所とされる。我々が訪れた日も、白装束に身を包んでお参りするお遍路さんの姿を見た。そもそも「お遍路」とは弘法大師の足跡をたどり八十八カ所の霊場を巡拝することで、どの札所から始めても良いとされている。そして巡礼の目的も最近は多種多様で、健康祈願のほか“自分探し”という人もいるのだとか。

真言宗善通寺派総本山の善通寺。本堂である「金堂」は国の重要文化財に指定されている ©愛媛県
これであなたもお遍路さん? ©愛媛県

 国の重要文化財に指定されている「金堂」へ入り、本尊の薬師如来坐像を拝みつつ説法に耳を傾ける。神聖な雰囲気と仏教の教えに、PR隊も思わず旅を忘れて聞き入った。

本尊の薬師如来を参拝しながら、住職の方の説法に耳を傾ける ©愛媛県

 そして弘法大師が誕生した邸宅跡に建てられたという「御影堂」(みえどう)では、「戒壇(かいだん)めぐり」を体験。100mにおよぶ地下の回廊で自己を見つめ直すという「道場」で、まっ暗闇の中を左手を伝う壁だけを頼りに進む。…が、あまりの暗がりに自己を見つめ直すどころか悲鳴をあげるPR隊も。善通寺を訪れたら、ぜひ拝観してみてほしい。

弘法大師が誕生した跡地に建つ御影堂 ©愛媛県
「戒壇」から這い上がる筆者。光のありがたさを感じた瞬間 Photo: Hiroki NISHIMURA
お遍路や参拝者用の宿坊「いろは会館」。温泉もある ©愛媛県

 善通寺には「宿坊」と呼ばれるお遍路や参拝者用の宿泊施設があり、4,600円(素泊まり)から利用できる。早朝、住職の方が仏壇の前でお経を唱える「お勤め」に参加したり、精進料理を体験することができる。サイクリストも一周の道中に、札所巡りを取り入れてみるのも四国ならではの旅情が味わえそうだ。

瀬戸大橋を眺める夕暮れライド

3日目のモデルルート。香川県観音寺から高松までの66km ©愛媛県

 この日のラストスパートは「3日目」のモデルルート、高松までの66kmをバスと自転車で移動する。

 日が暮れ始めた中、瀬戸内海に沿ってペダルを漕ぎ進むと、左手に香川県と岡山県をつなぐ瀬戸大橋が、夕日に照らされながら美しいシルエットを見せていた。海にかかる大きな橋を目にするたびに、瀬戸内の恵まれたサイクリング環境を実感する。

夕焼けに染まる瀬戸内海と瀬戸大橋 ©愛媛県
高松へ向かって瀬戸内海沿岸の道を走る ©愛媛県

 途中、「より高い場所から夕日を見よう」という提案に、丘を目指して急いで皆でペダルを踏む。斜度10%近くはあろうかという坂が1kmほど続く道。きつい坂を突然駆け上がり、心拍も上がる。それでも夕日を見たいとペダルに込める力を緩めない。そう思わせるパワーが四国の夕日にはあるのだ。

日没めがけて皆で駆け上がった五色台から望む夕日 ©愛媛県

 そしてたどり着いた五色台の展望台。山の向こうへ沈もうとする赤く丸い夕日が、まるで我々を待ってくれていたようだった。その美しさに、またしても旅を忘れて心奪われるPR隊。一青さんも「初日からこんな夕日が見れるなんて、これからの旅がますます楽しみ」と感動に浸っていた。

香川のオコゼ料理に舌鼓

 この日の夜は、香川高松市の居酒屋で郷土料理を堪能。讃岐うどんが有名すぎるせいか、県外にはあまり知られていないようだが、地元ではオコゼ料理のほか骨付き鳥が「隠れた名物」だという。

高松の地元料理に舌鼓を打つ一青妙さん(右)とノッてるガールズの2人 ©愛媛県
香川の郷土料理「オコゼ」の刺身 ©愛媛県
香川の隠れた名物「骨付き鳥」 ©愛媛県

 当日宿泊した「JRクレメントホテル高松」は自転車を室内に持ち込めるので安心。さらに1階には「ジャイアント高松」が3月30日にオープンする予定で、道中のメカトラブルや調整などにも対応してくれる心強い拠点となりそうだ。

宿泊した「JRホテルクレメント高松」は自転車の室内持ち込みが可能 ©愛媛県
ホテルの1Fにある「ジャイアントストア高松」(2017年3月30日オープン) Photo: Kyoko GOTO

⇒<2>「うどんパワーで駆け上がる! 鳴門スカイランの“天空ヒルクライム”」

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