4日間・726.55kmの戦いキナンら出場のツール・ド・フィリピンが開幕 クロフォード、ルバが総合上位に付ける

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 和歌山県・三重県にまたがる熊野地域を拠点とする UCI(国際自転車競技連合)コンチネンタルチーム、キナンサイクリングチームは2017年シーズンのUCI公認レース初戦として、ツール・ド・フィリピン(Le Tour de Filipinas、UCIアジアツアー2.2)に出場。2月18日に行われた第1ステージでは、ジャイ・クロフォード(オーストラリア)が5位、トマ・ルバ(フランス)が6位でフィニッシュ。総合上位を狙える位置につけた。キナンチームからのレポートをお届けする。

海をバックに選手が記念撮影。(左から)中島康晴、ジャイ・クロフォード、椿大志、トマ・ルバ、山本元喜 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 キナンサイクリングチームにとって、ツール・ド・フィリピンは2年連続の参戦。初出場だった昨年はステージ1勝とポイント賞を獲得しており、チームにとって相性のよい大会ともいえる。今回は、チームキャプテンのクロフォードを筆頭に、ルバ、山本元喜、椿大志、中島康晴がメンバー入り。ジャイを除く4選手は今季加入組だが、いずれもアジアでのレース経験は豊富。特にルバは、この大会を2015年に制しており、現地での注目度の高い存在となっている。

現地テレビ局のインタビューを受けるトマ・ルバ Photo: Syunsuke FUKUMITSU
コースの最終確認をする山本元喜(左)と椿大志 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
アジアでの注目度も高い YONEX製ロードバイク「CARBONEX HR」 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
スタートラインに並んだ選手たち Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 大会の舞台は、フィリピン最大の島であるルソン島。同島南東部のレガスピを出発し、4日間かけて南部のルセナを目指す。総距離726.55kmの戦いに、11カ国・15チームが挑む。第1ステージは、レガスピからソルソゴンまでの164.50km。中盤に待ち受ける1級山岳がレース展開にどう影響するかがポイントとなった。

第1ステージのスタート。山本元喜が先頭を行く Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 現地時間午前8時に出発したプロトン。アクチュアル(正式)スタート直後から次々とアタックがかかる。キナン勢は山本、椿、中島がしっかりと対応。クロフォードとルバが動きやすい態勢を整えた。そして、スタートから20kmを過ぎたあたりで数人の飛び出しと、約10人の追走グループが形成された。続いてクロフォードを含む5人ほどの第2追走グループが生まれる。後方でも多くの選手が前を目指して動いたことで、メイン集団は完全に崩壊。結果的に、アタッキ・チームグスト(台湾)から2人が先頭を走り、約1分30秒遅れてクロフォードとルバが加わった16人のグループが追う格好となった。

 スタートから70kmを過ぎたあたりで、先頭はアタッキ チームグストのジャイ・カルマ(オーストラリア)の1人になる。この一人旅はそう長くは続かず、100km地点を通過した直後に始まる1級山岳の上りで捕まることとなる。

 そして勝負は、この1級山岳で決定する。追走集団に加わっていたダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌサイクリングチーム)がスルスルと抜け出すと、後続との差を広げていく。クロフォードやルバが含まれるグループは、ホワイトハウスを追撃すべくペースアップを図るが、やがて集団の人数が減っていったこともあり、追いつくまでには至らなかった。

 ホワイトハウスは約60kmを独走。そのまま単独でソルソゴンのフィニッシュへとやってきた。ジャージの胸に記されたチームロゴを指さし、両手を誇らしげに広げてフィニッシュラインを通過した。

約60kmを独走し勝利したダニエル・ホワイトハウス Photo: Syunsuke FUKUMITSU
ステージ2位争いのスプリント。右端がジャイ・クロフォード、中央がトマ・ルバ Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 その1分51秒後、クロフォードとルバが含まれる2位グループがやってきた。鈴木龍(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)が集団2番手、ステージ3位となり、日本人選手最上位となった。ここでのスプリントに絡んだジャイがステージ5位、トマが同6位。その後、中島が9分12秒差の14位。後続ではグルペットがたびたび崩れる状況となったが、山本、椿ともに24分34秒差でフィニッシュし、第2ステージ以降につなげている。

 この結果、ホワイトハウスが総合リーダーとなり、クロフォードが2分4秒差の5位、ルバも同じタイム差で6位につけ、個人総合争いで上位を狙える位置につけた。

14位でフィニッシュする中島康晴 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
トマ・ルバはまずまずの出足に満足げな表情 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 第2ステージは、ソルソゴンからナガまでの177.35kmで争われる。中盤に3級山岳が控えるほかは、厳しいアップダウンはなく、スピードに富む展開が予想される。リーダーチームとなるトレンガヌサイクリングチームに対し、総合上位に選手を送り込んだチームがどういった攻めを見せるのかも注目となる。キナンサイクリングチームも攻撃的な走りで、ジャイとトマの総合ジャンプアップを狙っていきたいところだ。

第1ステージ終了後、ソルソゴン市内で行われたパーティでチームプレゼンテーションに臨んだ選手たち Photo: Syunsuke FUKUMITSU
第2ステージに向けて、ミーティングを行う Photo: Syunsuke FUKUMITSU

●監督・選手コメント

石田哲也監督 「初日にしてはよい動きができたと感じている。明日以降も攻めの姿勢を保ち、個人総合 順位のアップとリーダーチームへの仕掛けを続けていきたい」

ジャイ・クロフォード 「アタックの応酬で、それを決めるには運が必要だった。結果的に力のある選手たちだけが残ったね。レース後半は10人で先頭を追いかけていて、その中にトマと自分が入っていたのだけれど、今日のホワイトハウスはスーパーだった。強い選手が勝ったということだね。今日のキナンサイクリングチームの動きはよかった。シーズンインであることを考えると、驚くほどに素晴らしいレースができたと思う。また明日からも挑戦していきたいし、チャンスは十分にあると考えている」

山本元喜 「苦手な暑い中でのレースだったので、スタートから筋肉が動いていない感覚があった。心拍数が上がってきて、なかなか元に戻らなかったので、暑さに慣れていく必要がある。雨のレースは得意なので、明日以降天候も見ながらチャンスを探っていきたい。今日で総合争いから大きく遅れたので、展開に応じてアシストに回ったり、自分に巡ってきたチャンスで狙っていくなどしたい。総合で遅れている分、明日からのステージは逃げを決められればチャンスが膨らむと思う。あとは、ジャイとトマの総合順位を落とさないようにしながら残るステージを進めていきたい」

椿大志 「アタックが繰り返される中で、よい位置につけていることを心掛けていたが、結果的に後方に取り残されてしまった。明日からも似たようなレース展開になると思うので、しっかりとした走りができるよう努めたい」

トマ・ルバ 「シーズン序盤で誰もが狙っていける状態にある中で、難しいレースではあったとはいえ総合で好位置につけられたことはよかった。明日が楽しみになったね」

中島康晴 「シーズン初戦でみんなよい走りができたと思う。序盤は(山本)元喜も椿もアタックに対応していたし、自分もできる限りのことはやった。その結果として、ジャイとトマが上位でフィニッシュできてよかった。個人的にも久々のUCIアジアツアーで、とても楽しめた」

ツール・ド・フィリピン第1ステージ(164.50km)
1 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌサイクリングチーム)3時間56分16秒
2 ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、アタッキ・チームグスト) +1分51秒
3 鈴木龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
4 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、チーム UKYO)
5 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム)
6 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)
14 中島康晴(キナンサイクリングチーム) +9分12秒
60 山本元喜(キナンサイクリングチーム) +24分34秒
66 椿大志(キナンサイクリングチーム) +24分34秒

個人総合時間賞
1 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌサイクリングチーム)3時間56分3秒
2 ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、アタッキ・チームグスト) +1分57秒
3 鈴木龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +2分0秒
4 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、チーム UKYO) +2分4秒
5 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +2分4秒
6 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) +2分4秒
14 中島康晴(キナンサイクリングチーム) +9分25秒
60 山本元喜(キナンサイクリングチーム) +24分47秒
66 椿大志(キナンサイクリングチーム) +24分34秒

ヤングライダー賞
1 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌサイクリングチーム)3時間56分3秒

チーム総合時間賞
1 チームUKYO 11時間54分21秒
2 キナンサイクリングチーム +7分21秒

ポイント賞
1 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌサイクリングチーム) 13pts
7 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) 2pts
8 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) 1pt

山岳賞
1 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌサイクリングチーム) 15pts
5 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) 6pts
7 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) 2pts

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