男子エリート日本勢は完走ならずワウト・ヴァンアールトが男子エリート2連覇 UCIシクロクロス世界選手権

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 シクロクロス2016-17シーズンの世界王者を決める、UCI(国際自転車競技連合)シクロクロス世界選手権2017が1月28、29日、ルクセンブルク・ベルヴォーで行われ、最終種目として行われた男子エリートでは、22歳のワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ベランダスウィレムス・クレラン)が2連覇を達成した。同種目には日本勢3選手が出場したが完走は逃し、小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)が51位、前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)が53位、沢田時(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)はリタイアに終わった。

大会最終種目の男子エリートで優勝。2連覇を達成したワウト・ヴァンアールト © UCI大会最終種目の男子エリートで優勝。2連覇を達成したワウト・ヴァンアールト © UCI

かつてない難コース

 今大会の舞台となったルクセンブルク南部のベルヴォーは、フランスとの国境に位置する街。コースはルクセンブルク大学の敷地内に設けられた。

大会開幕前の公式練習では、雪と泥が入り混じったコースに悪戦苦闘する選手が目立った © UCI大会開幕前の公式練習では、雪と泥が入り混じったコースに悪戦苦闘する選手が目立った © UCI

 同国でのUCIシクロクロス世界選手権の開催は初めて。アップダウンが繰り返されるテクニカルなコース設定であるうえ、大会開幕前から雪が降り続き、より難しいコンディションでレースが行われると見込まれた。実際に、28日に実施されたカテゴリーでは雪と泥が入り混じる路面状況となり、バンク状のキャンバー区間ではクラッシュが多発。フレーム破損や負傷によるリタイアが相次いだ。

ヴァンアールトとファンデルプールの一騎打ち

 大会の最後を飾った男子エリート(規定60分)は、ヴァンアールトとマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)の、ともに22歳の両国エースの勝負に注目が集まった。ただ、ヴァンアールトは膝を故障、ファンデルポールも昨年末のレースでクラッシュし負傷。このほどようやく復帰したばかりだ。

 不安を抱える両者であるが、レーススタートと同時に飛び出しホールショット(トップで最初のコーナーへ突入)を決めたのはファンデルポール。これにケヴィン・パウエルス(ベルギー、マルクス・ナポレオンゲームズ)が続く。ヴァンアールトはその後ろのパックに入った。

 1周回目を終える頃には、ファンデルポールがパウエルスを引き離し独走態勢に持ち込んだ。2周回目以降、繰り返しバイクを交換し、フレッシュな状態でレースを進める。後ろでは、ヴァンアールトにエンジンがかかり始め、3周回目終了時点でファンデルポールとのタイム差を4秒にまで縮めた。

4周回目にワウト・ヴァンアールト(左)がトップに合流。マテュー・ファンデルポールとの一騎打ちとなった © UCI4周回目にワウト・ヴァンアールト(左)がトップに合流。マテュー・ファンデルポールとの一騎打ちとなった © UCI

 そして4周回目、ファンデルポールがピットでバイク交換をしたタイミングでヴァンアールトがトップに合流。いよいよシクロクロス界を牽引する若い2人の頂上決戦の様相となった。どちらかが前に出れば、もう一方がコーナーやアップダウンを利用して抜き返す状況。3位以下とのタイム差は大きくなり、中盤にして勝負の行方は2人に絞られた。

 大きな局面は6周回目に入ろうかというところで訪れた。ここまで快調に走ってきたファンデルポールの後輪がパンクしたのだ。明らかにスピードが落ち、前へ出たヴァンアールトの動きに対応ができない。こうなるとレースはヴァンアールトの流れに。ファンデルポールもピットまで踏ん張り、バイク交換をして前を目指したが、完全にリズムをつかんだヴァンアールトの姿を近くに捕らえることは最後までできなかった。

 ラスト1周回の鐘を聴く頃には、両者のタイム差は40秒にまで広がった。多くの選手がコーナーやキャンバー区間でタイヤを取られ悪戦苦闘する中、ヴァンアールトは危なげない走り。前日の競技を含め、落車が多発した区間を慎重にクリアすると、ついに優勝を確信。コースを囲む観客に向かって高々と拳を突き上げ、フィニッシュラインまでのウイニングライドとなった。

 ジュニア時代から世代のトップを走り続け、エリート3年目にして2回目の世界王者に。かつての世界チャンピオンで、心臓疾患のため若くして現役を退いたニールス・アルベルト氏がヴァンアールトを指導する。その手腕も大きく評価されることだろう。

 ファンデルポールは2番手こそ守ったものの、2年ぶりの王座奪取ならず悔し涙を流しながらのフィニッシュ。涙が止まらないまま表彰台へと上がった。

 3位争いはめまぐるしく選手が入れ替わった中、ベテランのパウエルスが確保。昨年に続く銅メダル獲得で、フィニッシュでは小さくガッツポーズを見せた。

UCIシクロクロス世界選手権 男子エリート結果
1 ワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ベランダスウィレムス・クレラン) 1時間2分8秒
2 マテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン) +44秒
3 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、マルクス・ナポレオンゲームズ) +2分9秒
4 ラルス・ファンデルハール(オランダ、テレネットフィデア・ライオンズ) +2分52秒
5 コルネ・ファンケッセル(オランダ、テレネットフィデア・ライオンズ) +3分9秒
6 ローレンス・スウィーク(ベルギー、エラ・サーカス) +3分29秒
51 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) -3Lap
53 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) -4Lap
DNF 沢田時(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)

男子エリートの表彰。左から2位マテュー・ファンデルポール、優勝ワウト・ヴァンアールト、3位ケヴィン・パウエルス © UCI男子エリートの表彰。左から2位マテュー・ファンデルポール、優勝ワウト・ヴァンアールト、3位ケヴィン・パウエルス © UCI

女子エリートはカントがベルギーに初の栄冠をもたらす

 1月28日に行われた女子エリート(規定40分)では、サンネ・カント(ベルギー)とマリアンヌ・フォス(オランダ)が熾烈な優勝争いを展開。4周回目にカントが落車したことで、フォスの独走態勢に入ったが、最終の5周回目にまさかのチェーントラブル。その場で直す間にカントが追いつき、勝負はふりだしに戻った。

女子エリートはサンネ・カントが悲願の初優勝 © UCI女子エリートはサンネ・カントが悲願の初優勝 © UCI

 勝負が決まったのは、最後のキャンバー区間を終えた瞬間。カントが猛然とラストスパートし、最後の舗装区間も勢いは衰えず。スプリントにかけたフォスだったが、カントのスピードに屈する形となった。

 シクロクロス王国のベルギーだが、女子エリートでは意外にもこれが初の優勝。カント自身も、昨年は優勝候補筆頭に挙げられながら3位に終わっており、見事に雪辱した。

 日本勢は3選手が出場。與那嶺恵理(FDJ・ヌーヴェルアキテーヌ・フュテュロスコープ)は、後方からのレースとなりながらもフィニッシュを目指し、29位で終えた。今井美穂(群馬)、武田和佳(Liv)は度重なる落車で遅れをとり、それぞれ30位、35位だった。

UCIシクロクロス世界選手権 女子エリート結果
1 サンネ・カント(ベルギー) 43分6秒
2 マリアンヌ・フォス(オランダ) +1秒
3 カテリーナ・ナッシュ(チェコ) +21秒
4 ルシンダ・ブランド(オランダ)
5 マーガリー・ロシェット(カナダ) +36秒
6 エヴァ・リヒナー(イタリア) +53秒
29 與那嶺恵理(FDJ・ヌーヴェルアキテーヌ・フュテュロスコープ) +8分15秒
30 今井美穂(群馬) -1Lap
35 武田和佳(Liv) -1Lap

ベルギーに初めて、女子エリートの栄冠をもたらしたサンネ・カント。左は2位のマリアンヌ・フォス © UCIベルギーに初めて、女子エリートの栄冠をもたらしたサンネ・カント。左は2位のマリアンヌ・フォス © UCI

女子アンダー23の坂口は28位

 男女のエリートのほか、男女合わせて3つの年代別カテゴリーでマイヨアルカンシエルが争われた。

男子ジュニアはイギリスが表彰台を独占。トーマス・ピドコック(中央)が優勝した © UCI男子ジュニアはイギリスが表彰台を独占。トーマス・ピドコック(中央)が優勝した © UCI

 大会最初の競技となった男子ジュニア(規定40分)では、トーマス・ピドコック(イギリス)が優勝。ダニエル・トゥレット、ベン・ターナーとチームメートが続き、イギリス勢が表彰台を独占する快挙。日本勢唯一の参戦となった村上功太郎(松山工業高校)は、スタート直後に落車に見舞われながらも少しずつ順位を上げて、最終的に30位でフィニッシュした。

 女子アンダー23(規定40分)では、アンネマリー・ヴォルスト(オランダ)が優勝。前回覇者のエヴィ・リチャーズ(イギリス)は3位。坂口聖香(マースランドスター・ニッチリビング・CCN インターナショナルサイクリングチーム)は、途中10番手前後を走行していたが、下りでフェンスに絡んでしまうアクシデントに見舞われ、順位を大きく下げてしまった。最終的に28位で終えている。

 現地時間29日午前に行われた男子アンダー23(規定50分)は、ヨリス・ニューウェンハウス(オランダ)が後続に1分以上の差をつける圧勝。織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)は49位だった。

女子アンダー23の表彰。アンネマリー・ヴォルスト(オランダ)が優勝した © UCI女子アンダー23の表彰。アンネマリー・ヴォルスト(オランダ)が優勝した © UCI
男子アンダー23で圧倒的な強さを見せたヨリス・ニューウェンハウス © UCI男子アンダー23で圧倒的な強さを見せたヨリス・ニューウェンハウス © UCI

UCIシクロクロス世界選手権 男子ジュニア結果
1 トーマス・ピドコック(イギリス) 41分24秒
2 ダニエル・トゥレット(イギリス) +38秒
3 ベン・ターナー(イギリス) +44秒
4 ロリス・ローリエ(スイス) +52秒
5 アントワーヌ・ブノワスト(フランス) +1分23秒
6 イェーレ・カンプス(ベルギー) +1分37秒
30 村上功太郎(松山工業高校) +5分18秒

UCIシクロクロス世界選手権 女子アンダー23結果
1 アンネマリー・ヴォルスト(オランダ) 43分47秒
2 エレン・ノーブル(アメリカ) +10秒
3 エヴィ・リチャーズ(イギリス) +26秒
4 ローラ・ヴェルドンショット(ベルギー) +1分8秒
5 マノン・バッカー(オランダ) +1分41秒
6 ニコラ・ノスコヴァ(チェコ) +1分44秒
28 坂口聖香(マースランドスター・ニッチリビング・CCN インターナショナルサイクリングチーム) +6分15秒

UCIシクロクロス世界選手権 男子アンダー23結果
1 ヨリス・ニューウェンハウス(オランダ) 53分58秒
2 フェリペ・オルツ(スペイン) +1分23秒
3 シーベン・ワウテルス(オランダ) +1分29秒
4 ティース・アールツ(ベルギー) +1分34秒
5 ニコラ・クレッペ(ベルギー) +1分38秒
6 ジョシュア・ドゥボウ(フランス) +1分56秒
49 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) -3LAP

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