上りでエースを任されるステージもオーストラリアで海外チーム初戦を終えた牧瀬翼 「世界は広い」とワクワク

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 今季オランダのロードレースチーム「マースランドスター・ヴェリス・CCN インターナショナル」に移籍した牧瀬翼が、1月14~17日にかけ、今季初戦となるオーストラリアでのステージレース「サントス・ウィメンズツアー」(UCI2.2)に出場しました。海外チームでの初陣を、本人のレポートで振り返ります。

チームでの集合写真。いつも笑顔があふれる(右から2人目が牧瀬) Photo: Maaslandster Veris CCNチームでの集合写真。いつも笑顔があふれる(右から2人目が牧瀬) Photo: Maaslandster Veris CCN

◇         ◇

 私は今、オーストラリアにいます。アデレードで開催された今回のツアーは、UCIレースの開幕戦で、男子レースと共に行われる大きなレースです。

 今回、現地入りの2日前まで、タイで與那嶺恵理選手と武井亨介コーチと一緒にトレーニングさせて頂いて、レースの前日にアデレードに着きました。オーストラリアは日本と反対の季節で、夏のど真ん中。毎日が40℃を超える灼熱でした。

 今季所属する、マースランドスター・ヴェリス・CCNチームはオランダに拠点を置く、インターナショナルチームです。今回のレースに出場する選手は、オランダ、オーストリア、スイス、ニュージーランド、オーストラリアから集まりました。多国籍のチーム。楽しくやっています。

第1ステージ 77位(3分18秒遅れ)

非常に多くの観客に驚いたチームプレゼンテーション Photo: Maaslandster Veris CCN非常に多くの観客に驚いたチームプレゼンテーション Photo: Maaslandster Veris CCN

 106kmのレース。前半は下り基調のアップダウンで、最後に15km上ってゴール。

 チームオーダーは、私が最後の上りでエースを務めるというもの。チームマネージャーのサラと武井コーチとの間で、「マキセをエースにして組み立てたい」「それもいいじゃない」というやりとりがあったそう。昨日、部屋に戻るたびに、机の上に食べものが増えていた不思議な現象は、監督だったのか!と、このオーダーを聞いてわかりました。(たくさん食べろってことですね)

 レース中は、チームメイトが「ボトルは?」「大丈夫?」と、頻繁に声をかけてくれ、私が走りやすい位置で、皆がそばで走ってくれました。昨日初めて会った、走れるかもわからない私をサポートしてくれたのです。しかし、時差ぼけと少しの疲れから、この日はスタートから身体がとてもきつく、サポートしてもらったチームメイトより後ろ、第3グループでのゴールでした。久々に全部の脚が攣りました。

 レース後の夕方に、アデレードの街中でプレゼンテーションがありました。とても多くのファンが集まっていて、この中で自分が走れ、ステージに立てる喜びをひしひしと噛みしめました。

第2ステージ 57位(同タイム)

 アデレードの街中での32.2kmクリテリウム。

 チームには、オーストリアのクリテリウムチャンピオンとスプリンターが2人いるので、この日は私は、「リラックスしてイージーで」と言われていました。ただ、昨年アメリカで経験したクリテリウムの激しさとスピードを思い出すと、私にはイージーにならないことは明白でした。

第2ステージで耐える。耐える Photo: Maaslandster Veris CCN第2ステージで耐える。耐える Photo: Maaslandster Veris CCN

 この日やることは「ファーストアタック」。逃げたときのパワーを確認しながらと言われていたのですが、アタックしてからメーターを確認したら、ガーミンの電源が切れていました(笑)。電源を入れてパワーが表示されているころには捕まり、データを取る間もない短いアタックでした。

 そのあとは、前方の位置どりが少しずつわかってきて、前方で展開できる時間が多く、余裕もありつつ集団でゴールしました。武井コーチからのアドバイスで、前方で攻めの気持ちで積極的に走ろう!と言われた意味がしっかり理解でき、また私の自信になりました。

 女子のレースの後に男子のレースもあったので、観客数がとても多く、今まで感じたことがない大歓声の中でのレースでした。日本語の応援も耳にして、とても嬉しかったです。

第3ステージ 58位(1分36秒遅れ)

宿泊拠点のアデレード大学には大きなプールがあり、レース後のクールダウンにぴったり Photo: Maaslandster Veris CCN宿泊拠点のアデレード大学には大きなプールがあり、レース後のクールダウンにぴったり Photo: Maaslandster Veris CCN

 92.4kmのロードレース。アップダウンが続く、ローリングコースです。日に日に状態は良くなってきていたので、今日は粘って耐えようと思い挑みました。

 序盤からペースが速く少しきつめ、集中して粘りました。落車も多く、一度巻き込まれて、ホイールのスポークを曲げてしまいましたが、転倒まではせずに耐えれました。

 チームメイトは今日も私をサポートしてくれましたが、肝心な最後のQOM(Queen Of Mountain=山岳賞)の坂で先頭集団に付けずに第2グループでゴールでした。あともう一歩で第1集団でのゴールが出来たので悔しいのですが、昨年の自分より、大きく強くなっていて、レースを楽しめるようになってきました。

 とても暑かった一日。データを確認すると気温が最高43℃、平均気温が36℃でした。日差しが強く肌から暑さが染み込んできます。肌がこんがりと焼けてきて、友達からは「カンガルーよりも黒いね」とメールが来ました(笑)。

第4ステージ 75位(14秒差)

あのペテル・サガンと! ちなみに男性との写真はお断りしていました(右端が牧瀬) Photo: Maaslandster Veris CCNあのペテル・サガンと! ちなみに男性との写真はお断りしていました(右端が牧瀬) Photo: Maaslandster Veris CCN

 最終日。1周1.2kmのサーキットコースでのクリテリウム。1時間プラス2周で行われました。

 この日はスタートが夕方だったので、チームメイトと朝ごはんライドに行きました。男子のスタート地点でペテル・サガン選手と遭遇し写真を撮ってもらいました。

 タイ合宿の成果だと思いますが、今までは、レースを走るたびに疲労がたまってきていたのが、今回は、レースを走るたびに身体が動くようになってきていて、この日が一番いい状態でした。

 やることは第2ステージと同じく「ファーストアタック」。この日はチームからも「アタックだよ」と言われたので、攻めることを決めていました。

最終日のクリテリウム。攻めていきました Photo: kirsty baxter最終日のクリテリウム。攻めていきました Photo: kirsty baxter

 スタートしてファーストアタックは決まらずに周回を重ねます。横風が強く位置取り次第で大きく体力を消耗するレースでした。アタックできるチャンスをずっとうかがいながら、後半に一度アタックをしました。1周逃げ続けて力尽きましたが、攻めたこの日のレースは、すべて出し尽くし楽しかったです。

 総合成績はトップから5分8秒差の64位。最後まで大きな落車、トラブルがなくゴールでき、走りきれたこと。攻める姿勢を見せて、チームから信頼を得れたことが、自信になりました。

次戦はメルボルン すべてが「楽しい」!

 レース期間中は、毎日武井コーチへフィードバックを行い、翌日の作戦を立て、レースでそれを試し、またフィードバックを行いました。コーチを通じて客観的に自分を見て、自分でもレースを楽しめる状態になってきています。今、感じている瞬間、感じている空間、過ぎていく時間、すべてが「楽しい」です。

日本人のファンと Photo: Maaslandster Veris CCN日本人のファンと Photo: Maaslandster Veris CCN

 今まで「海外は厳しい、ムリだよ」と笑われたり、言われたりしたことが数えられないくらいありました。しかし、今はその言葉から受けていた自分へのマイナスイメージはありません。この世界でチャレンジができるということ、チャレンジできる場所に立てていることを実感して、とてもワクワクしています。知らなかった世界を見て、知って、感じて、「世界は広い」という言葉の意味を初めて知ったからです。

 私は、自転車に出会って10年になりますが、6年前に一度、自転車が嫌いになり3年間やめていた時期があります。自転車の楽しさを教えてくれた方との出会いがあり、再び自転車に乗り始めて今に至りますが、昨年もとても苦しい一年でした。競技に集中できず、苦しい時間、葛藤した時間が多く、体調を崩してばかりでした。

 今は昨年、やめずに続けていて良かったと心から思います。自転車で繋がる世界、出会えた人たち、この場所でもっともっと見てみたい知りたい世界があります。この場所に立ち続けるためにも、自分自身の成長、日々進化していく取り組みをしていきます。

 次のレースは1月28日。メルボルンへ移動し、「カデル・エヴァンス・グレートオーシャンレース」(UCI1.2)に出場します。これからも、応援よろしくお願いします。

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