マルコが直撃!NIPPO・ヴィーニファンティーニ 2017<2>「日本人はもっとハングリーに」 2年目の福島晋一監督が選手のそばで見つめる未来

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 昨年、NIPPO・ヴィーニファンティーニで、プロの監督として第一歩を踏み出した福島晋一氏。2013年に引退するまで長らく日本のトップ選手として国内外で活躍し、現役時代は果敢なチャレンジ精神でレースを沸かせてきた。監督に立場を変え異国の地で、選手のそばで見えてきたものは一体何だろうか。

NIPPO・ヴィーニファンティーニの監督(スポーツディレクター)として2年目を迎えた福島晋一監督(右)。今季からチーム入りしたヴァレリオ・テバルディ監督と Photo: Marco FAVARONIPPO・ヴィーニファンティーニの監督(スポーツディレクター)として2年目を迎えた福島晋一監督(右)。今季からチーム入りしたヴァレリオ・テバルディ監督と Photo: Marco FAVARO

日本人はもっとハングリーにならないと

 ――2016年は監督デビューでした。どんな一年でしたか

 正直言いますと行き当たりばったりの年でした。大役を任され、とりあえず様々なことを覚えるのに一生懸命でした。失敗をしながらも経験を積んできました。昨年はアジアのレースが多かったですが、その中で選手との信頼関係を築くのに細心の注意を払いました。ただイタリア語の習得は一番のネックです。イタリアのチームの監督している以上、イタリア語をちゃんとしゃべれないとだめです。

 ――NIPPOにはイタリア人のほかコロンビア人、ルーマニア人、日本人など様々な国籍の選手がいますが、意思疎通にはイタリア語は必須ですか

監督1年目だった2016年、ジロ・デ・イタリアでもチームカーを運転した © NIPPO Vini Fantini監督1年目だった2016年、ジロ・デ・イタリアでもチームカーを運転した © NIPPO Vini Fantini

 そうですね。昨年は選手たちが英語やフランス語で話してくれて、クネゴ選手も一生懸命に英語で話してくれました。でもやはりここはイタリアですのでイタリア語を勉強しないとだめです。

 ――監督の目から見てイタリア人選手と日本人選手の間に違いがありますか

 イタリア人選手は強く見えますが、ここは彼らの国ですからレースの場合はなんらかのアドバンテージが働くと思います。ポテンシャルとして日本人選手も大きな差はないと思いますが、自転車競技はヨーロッパのスポーツですので、その意味ではある種の壁を乗り越えなければならない。でもイタリアにやってくるオーストラリア人、ロシア人などもみんな同じ立場です。違うのがハングリー精神。日本人はもっとハングリーにならないとだめだと思います。例えば、「俺はこのレースで日本人の中で一番上だった」「完走できた」とか。そういう低いレベルの中で満足してほしくない。世界基準で自分の実力を測って、それでちゃんと活躍できる選手になってもらいたいです。

成績が出ても満足してはダメ

 ――今年6人の日本人選手がNIPPOにいます。一番伸びると思う選手は誰ですか

 中根選手に期待していますし、伊藤選手も早くけがを克服してほしいです。才能を伸ばす最後のチャンスだと思いますから。また小林海選手はデータの上で期待できます。でもデータはデータで成績ではありません。そのデータを実際に成績に結び付けないとダメです。そして成績を出すのは良いことですが、そこですぐに満足してはならない。成長が止まります。上へ行くまで、とにかく頑張ってもらいたいです。

福島晋一監督(右端)と、2017シーズン、NIPPO・ヴィーニファンティーニに所属する6人の日本人選手(左より小石祐馬、窪木一茂、内間康平、伊藤雅和、小林海、中根英登) © NIPPO Vini Fantini福島晋一監督(右端)と、2017シーズン、NIPPO・ヴィーニファンティーニに所属する6人の日本人選手(左より小石祐馬、窪木一茂、内間康平、伊藤雅和、小林海、中根英登) © NIPPO Vini Fantini

 ――12月に続き、1月は2回目の合宿となります。どんなメニューをこなしていますか

 今年からNIPPOに参加したトレーナーのマウリツィオ・マッツォレーニ(※)が練習内容を作っています。今回の合宿は7日間。初日には乳酸値のテストもありました。12月に行った合宿の成果を確かめるためです。4kmの登坂を3回行い、その都度ワット数を上げる。ゴールで血液を毎回摂取し、乳酸の値の変化を見て、選手の仕上がりを確認するテストです。トレーニングのデータはすべてマッツォレーニに送られます。そしてデータを分析し、各選手にさらに細かく指示が出されます。チームの戦力となれる選手をベストのコンディションでレースに出場させるためです。

(※)マウリツィオ・マッツォレーニ Modus Vivendiスポーツ科学センター社長。スポーツ科学が専門。レオパード・ラジオシャックを経て、チームアスタナのパーソナルトレーナーとして活動。携わった選手は、ファビオ・アール、パオロ・ティラロンゴなど。

自転車にフレンドリーなイタリア

 ――練習している間は、監督はサポートカーで選手たちについていきます。車の中でどんなことをしていますか

サポートカー内で練習メニューをチェックする Photo: Marco FAVAROサポートカー内で練習メニューをチェックする Photo: Marco FAVARO

 まずは我々監督の役割は選手たちにきちんと仕事(練習)をさせることです。そして選手たちのサポートをします。素早くパニーニ(イタリア風サンドイッチ)や水を与えたりします。また私の場合、日本人に日本語で指示をすることです。練習メニューのすべてがイタリア語ですから、勘違いのないようにします。何もないときは基本的に運転の隣にいる人は、運転している人の話し相手をします(笑)。

 ――誰が練習コースを設定しますか

 地元出身の選手や土地勘のある選手に任せています。ここ(リグリア州東部)はデネグリ選手の出身地ですので、毎回いいコースを考えてくれます。3月に行われるステージレースの一つ、ティレーノ~アドリアティコのコースも走ります。短いけど、きつい登坂はたくさんあります。

 ――最後になりますが、イタリアはどんな国ですか

 イタリアは自転車に対しとてもフレンドリーな国だと思います。たとえば、練習している自転車に対し、並列をしても警察は何もいいません(筆者注:イタリアの交通法では自転車2台までの並列走行は認められています)。車の追い越しも上手。イタリアも道が狭いですが、運転手は安全な抜き方に慣れています。日本と比べて接触事故は非常に少ないです。

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