マルコが直撃!NIPPO・ヴィーニファンティーニ 2017<1>クリーンに若手と日本人選手を育成 ペロージGMが語るNIPPOの2017シーズン

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 日本とイタリア、2つの母国をもつUCI(国際自転車競技連合)プロコンチネンタルチーム「NIPPO・ヴィーニファンティーニ」が、2017年の活動を本格的にスタートさせた。同チームのフランチェスコ・ペロージGMはマーケティングの専門家から2年前、31歳の若さでチーム運営の中心に立ったという異色派。これまで指揮を執った2シーズンの成果と、今シーズンに向けての展望を聞いた。

Photo: Marco FAVAROPhoto: Marco FAVARO
フランチェスコ・ペロージ(Francesco Pelosi)

イタリア、ラ・スペツィア生まれ。広告代理店Sun-TIMES Communication社長。選手としてU23を経験し2006年に引退。ファルネーゼヴィーニ・セッレ・イタリアなどプロコンチネンタルチームの広報として活動。2015年からNIPPO・ヴィーニファンティーニのゼネラルマネージャー

クリーンに若手と日本人選手を育成

 ――チームがプロコンチネンタルとなり、2年が経ちました。振り返ってみると、どのような2年間でしたか

 この2年間はとても貴重な期間でした。まだ途中の段階ですが、若手選手の育成、日本人選手の強化、そしてオープンでクリーンなスポーツを目指すこと。この理念の下でチームが動いています。チームの透明性を理解してもらうため、昨年から選手たちの生体パスポートのデータを公開しています。世界で初めての試みです。

 レースの結果においては、徐々に大会で優勝をし始めています。日本人選手もイタリア人選手も成長している証です。

 ――初めから勝つことにはこだわれなかったのでしょうか

 自転車競技は長いスタンスで見ないとだめです。チームがすぐに勝つことはごくまれな例です。NIPPOとしてまずは選手たちの成長が最優先課題。レースに勝つことはその成果の現れです。

 ――2015年にプロコンチネンタルに昇格し、すぐにジロ・デ・イタリア(以後ジロ)という大きな舞台に立ちました

 RCSスポルト(ジロの主催者)はチームの可能性を信じたと思います。若手選手の成長には学ぶべきベテランの存在とともに、レースの参加が必要不可欠です。特にグランツールと呼ばれるレース(ジロ、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャ)はとても貴重な大会です。

2016年のジロ・デ・イタリアでは、キャプテンのクネゴがブルーの山岳賞ジャージを長くキープして存在感をみせた © NIPPO Vini Fantini2016年のジロ・デ・イタリアでは、キャプテンのクネゴがブルーの山岳賞ジャージを長くキープして存在感をみせた © NIPPO Vini Fantini

 ジロではステージ優勝はできなかったものの、2015年にフェアプレー賞を獲得。2016年にはダミアーノ・クネゴが13日間連続山岳リーダージャージを維持し、山本元喜もチームに所属している日本人として初めてジロを完走しました。そして エドワルド・グロス(ルーマニア)は最終ステージでステージ優勝にあと一歩まで迫りました。とても大きな成果だと思います。

アレドンドは新たなキャプテンになれる

 ――将来的にワールドチームへのランクアップを念頭に入れていますか

 チームとして勝つことのみにこだわれば、それが最終ゴールです。でもNIPPOの理念は異なります。「若手選手の育成」を目標としているので、今はプロコンチネンタルのランクはちょうどいい。大きな目標はヨーロッパツアーでは15位以内、アジアツアーでは3位以内に達すること。その次は日本人選手を成長させることです。もちろん3年後に開催される東京オリンピックを強く意識しています。

 ――経験のあるイヴァン・サンタロミータ、アラン・マランゴーニ、マルコ・カノラ(いずれもイタリア)やジュリアン・アレドンド(コロンビア)の獲得にはどんな意味があったのでしょうか

 この選手たちの獲得でチームの強化を図っています。昨年までクネゴが唯一のキャプテンでした。アレドンドは新たなキャプテンになれると確信しています。

 サンタロミータやマランゴーニは、若手選手の育成に役に立てると判断しました。そしてキャプテンを支えるための十分な能力を持っています。高いレベルのレースの招待を受けるには、強いキャプテンに加えて強いサポートが必要です。高いレベルの大会に参加しないと若手選手も育ちません。

 マランゴーニは8年にわたりワールドツアーを経験していて、チームをまとめる中心的な存在として期待しています。サンタロミータはイタリアナショナルチャンピオンにも輝くなど経験が豊富で、若手選手に技術を伝えてくれると思います。

 ――日本人選手や新人選手はどうでしょうか

トレーニングキャンプで真剣な表情を見せる小林海(左) Photo: Marco FAVAROトレーニングキャンプで真剣な表情を見せる小林海(左) Photo: Marco FAVARO

 内間康平と中根英登はかつてコンチネンタル時代にこのチームに所属していました。日本国内のコンチネンタルも経験しており、きっと大役を果たしてくれると思います。伊藤雅和も強い選手です。小石祐馬も窪木一茂も2年目ですので、即戦力として活躍してくれるでしょう。

 ネオプロ(プロになったばりの選手)の中でずば抜けて才能のある選手は、小林海と二コラ・バッジョリ(イタリア)。将来的に誰がワールドツアーで活躍しても不思議ではありません。

 ――日本人とイタリア人、選手やスタッフの間でコミュニケーションの問題はないでしょうか

 言葉がコミュニケーションにおける壁になっていることは否定できません。しかし、日本人選手はイタリア語も含め、イタリアのレース文化を強く学びたい意欲があります。自転車競技のチームプレーを通して、言葉が完璧に通じなくても連帯感が生まれます。またイタリア人選手にも、日本語を学びたい人がいます。互いに助け合う精神は大きな壁を壊しています。

日本の自転車競技の発展につなげたい

 ――先の話では成長するにはレースへの参加、特にジロのような長いレースの参加は欠かせないとおっしゃっていました。昨年まで所属した山本元喜について聞きたいのですが、なぜ昨年ジロが終わってから期待されていた成長が残せなかったのでしょうか

 確かにジロやツールへの参加は選手にとって大きな転換期になります。一方、グランツールが終わると、リバウンドも激しい。疲れて回復が遅くなる選手も多いです。山本の場合、昨年は1月アルゼンチンで行われたツール・ド・サンルイスから強かったことを忘れてはなりません。第4ステージには大逃げが成功しステージ優勝をわずかの差で逃しました。5月のジロが終わると疲れが出てくるのが自然なことです。

チームと支援者が交流した「スピニング教室」でスピニングバイクにまたがるペロージGM。元選手だけあって綺麗なフォーム Photo: Marco FAVAROチームと支援者が交流した「スピニング教室」でスピニングバイクにまたがるペロージGM。元選手だけあって綺麗なフォーム Photo: Marco FAVARO

 イタリア語で次のような言葉があります「ti cambia la cilindrata」(ティ・カンビア・ラ・チリンドラータ=エンジンの馬力が変わる)。選手の「質」というものが飛躍的に上がるからです。彼は今年は日本のコンチネンタルチームで活動することになりますが、きっと昨年の成果が表れてくると思います。

 ――2年連続NIPPOはジロに参加しました。もし今年は出場できなかったらチームとしてマイナスの影響はあるのでしょうか

 影響はないと思います。確かにジロに選ばれることは大きな名誉です。一方、ほかのレースも同じように大事です。特に同じ時期に開催されるツアー・オブ・ジャパン。3度目の招待があれば嬉しいですが、ジロがすべてではありません。使うエネルギー大きいので、その代わりにほかのレースに集中できます。

 ――JAPANプロサイクリングについて聞きたいのですが

 素晴らしいプロジェクトだと思います。自転車競技をまたぐ大きなプロジェクトだからです。JAPANプロサイクリング会長である橋本聖子議員の言葉を思い出しますと、ロード、トラック、BMX、マウンテンバイクと4つすべての競技でメダルを獲得するという目標を掲げています。NIPPOはこのプロジェクトの要として選ばれました。日本における自転車競技の発展につながればと期待しています。

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